プレイレポート
PS Vita「魔界戦記ディスガイア3 Return」をプレイ。PS3版の全DLCやVita版のさまざまな追加要素を加えてより“ごんぶと”なSRPGに
ディスガイア3の発売以後にPlayStation Storeで配信されたキャラクターやシナリオなどのダウンロードコンテンツをすべて収録し,さらにVita版の発売にあたり新キャラクターと新シナリオの追加が行われた本作は,ただの移植に留まらないボリュームに仕上がっている。今回は,そんなディスガイア3 Returnの魅力を,Vita版で追加された要素を交えつつ,お伝えしていこう。
ちなみに,ナンバリングタイトルということで知らず知らずのうちに敬遠している人もいるかもしれないが,「ディスガイア」シリーズはどのタイトルから入っても問題なくプレイできるようになっているので,これまで触れたことのない人もぜひご一読を。
人間のモラルが通じない「魔立邪悪学園」
ディスガイア3 Returnの舞台となる魔立邪悪学園は,人間界の掟というか一般的なモラルが一切通用しない学校だ。授業をサボったり授業料を納めなかったりするのが「優等生」であり,真面目に出席したり宿題を欠かさずやってきたりするのが「不良」(ワル)である,というのがこの学校の価値観となっている。
主人公は,そんな学校の理事長の一人息子「マオ」だ。彼は学園きっての優等生であると同時に,何かの研究に勤しんでいるらしくしばしば誰かを解剖したがる変態でもある。そして,そういうマオとは対照的に,良識や美談で悪魔達を脅し,放課後にはボランティアでゴミ拾いとかもしてしまう学園ナンバーワンの不良「ラズベリル」が,本作のヒロインだ。
このほか,自称勇者かつ唯一のツッコミ役として大活躍する「アルマース」や,ラズベリルの手下として異様な存在感を放つ「折り鶴の明日禍」「リリアンの狂子」といった個性的なキャラクターを交え,1割の友情と9割の笑いでもって進んでいくのが,本作の物語というわけである。
ちなみにマオの目的は,学園の理事長であり,魔王でもある実の父親を打倒すること。魔王を倒すのは勇者と昔から相場が決まっているので,自称勇者のアルマースは不幸にも目を付けられてしまったのだ。
Vita版の新キャラクター&新シナリオ
さて,ディスガイア3 Returnにおける追加要素の目玉といえば,やはり新キャラクターの「ルチル」と「ステラ」の存在だ。ルチルは人間界から獣耳属性付きでやってきた素直でちょっと大人しい感じの女の子。ステラは魔立邪悪学園のライバル校(?)「死立魔神学園」の生屠会長という肩書きを持つツンツン系のお嬢様といったところで,二人共Vita版の新シナリオをクリアするとパーティメンバーとして仲間に加えられるようになる。
・Vita版の追加シナリオ
「テスト争奪バトル編」(アルマース&サファイアが活躍)
「初恋!? 超不良伝説編」(狂子&明日禍が活躍)
「邪悪学園文禍祭編」(ビッグスター様&極上のサルバトーレが活躍)
「死立魔神学園編」(ルチル&ステラが活躍)
発売に先駆けて,本編をクリアしなくても二人が登場する新シナリオを遊べるようになるという「日本一コマンド」が公開されているので新キャラクターの活躍をいち早く見たいという人は活用すべきだ。ただし,「死立魔神学園編」をプレイするには,あらかじめほかの3つのシナリオをクリアしなければいけないので,この点だけは注意しておこう。
ルチルとステラに話を戻して,彼女達の印象を簡単に述べるならば,とにかく可愛いの一言に尽きる。ルチルのほえほえーっとしているところは愛してしまうプレイヤーが多そうだし,ステラのどこかミステリアス(?)な魅力もコアなファンを集めそうだ。
「死立魔神学園編」では,彼女達の愛と友情の物語が存分に楽しめるのだが,主人公のマオはやりづらそうだったりするのが,面白いところでもある。
ディスガイア3 Returnの戦闘は……?
ディスガイア3 Returnの戦闘は,基本的にはオーソドックスなシミュレーションだ。フィールドが細かいマスで区切られ,キャラクターごとに決められた移動力や射程を考慮しつつ布陣を敷くというもので,この点において迷うことはほぼない。ただ,戦闘にも物語同様にぶっ飛んだ要素をいくつも取り入れているのが,ディスガイアシリーズの特徴でもある。
その最たるものは,「投げる」と「ジオエフェクト」の2つ。
投げるは言葉どおり,画面上のものを投げる。ブロックはもちろん,敵味方問わずにキャラクターも投げられる。これによって本来ある移動力や射程を無視して,ごり押しで戦況を変化させられるのだ。
たとえば,高機動のキャラクターで一気に敵陣に乗り込み,奥にいる魔法使い系のキャラクターを味方側に投げて袋だたきにするといった荒技も可能である。まぁ,その投げたキャラクターは敵陣に一人取り残されるわけで,そこから生還できるかはまた別の話なのだが。
しかも,投げで飛んできたキャラクターを再び投げることも可能で,これを利用すれば2回3回と連続で投げて遥か遠くに味方キャラクターを置いてくることもできる。最終的な使い方はプレイヤー次第になるが,この“投げ”は,ちょっとした発想から思わぬ攻め方が生まれるシステムになっている。
もう一つのジオエフェクトは,色の付いたマス上のキャラクターにさまざまな影響を与えるという,いわゆる地形効果。ただその効果は経験値+50%といった嬉しい効果から,敵だけパワーアップ,マス上のキャラクターが無敵といった使い方を間違えるとちょっとやっかいなことになりかねない効果まで,多種多様だ。
ジオエフェクトはジオブロックという色つきのブロックによって決定されるため,これを動かせばプレイヤーの意図に合わせてジオエフェクトを操作できることにもなるのだが,戦場でのブロック配置が動かしやすい位置とは限らない。敵を攻撃する前にまずはブロックを処理する必要に迫られることもあり,これをスムーズに進められるかが戦闘の行方を左右する場合も多い。
シミュレーションRPGの醍醐味は詰め将棋のような面白さだが,本作ではそれを飛び越えた非常にユニークな戦闘を楽しめるのも大きな魅力と言えそうだ。
もちろん,ここで紹介したのはあくまで基本的なことで,モンスターを武器として戦える「魔チェンジ」や,ど派手な演出のキャラクター固有技など見どころがたくさんある。そして何より,レベル上限9999という規格外のやり込み要素が,ディスガイアシリーズ最大の特徴であることは言うまでもない。
Vitaの新機能はスパイス程度に
PlayStation Vitaのローンチタイトルということで,Vitaならではの操作を取り入れたシステムに期待している人もいるかもしれない。本作では背面パッドを使ったマップ操作や,タッチスクリーンによるアイテム欄のスクロールなど,細かい部分に採用はされているが,これはゲームのクオリティそのものを左右するほどではない。元々のユーザーインタフェースが使いやすかったこともあって,あくまで操作の補助といった形になっている。
ただ,やりこみ要素が豊富で,思わず夢中になってしまう中毒性の高さには,携帯機であるVitaとの相性の良さを感じた。空いた時間であったり,ちょっとリラックスしている時間を利用して,長い期間遊べる作品になっていることは間違いないので,Vitaを使って“ごんぶと”に遊びたいという人には文句なしにオススメ。
Vitaでどのタイトルを選ぶべきか迷っているという人は,ぜひ候補に加えるべき作品だ。
「魔界戦記ディスガイア3 Return」公式サイト
- 関連タイトル:
魔界戦記ディスガイア3 Return
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