プレイレポート
モウ誰モ信ジラレナイ……。秀逸なシナリオと思考型パズルが魅力的な「極限脱出ADV 善人シボウデス」のプレイレポートを掲載
前作で好評だった,脱出ゲームとしての完成度の高さと,ミステリアスな展開でプレイヤーを引っ張る秀逸なシナリオは,本作でももちろん健在。加えて,一新された登場キャラクターや,より遊びやすく調整されたゲームシステムなど,前作経験者にとっても,新規プレイヤーにとっても注目すべき点が多い。本稿では,そんな善人シボウデスのプレイレポートを,ネタバレに注意しつつお伝えしていこう。
※本稿はニンテンドー3DS版のプレイを元に執筆しています
「極限脱出ADV 善人シボウデス」公式サイト
緊張感溢れるストーリー展開は今回も健在
“協力”と“裏切り”の果てにあるものは……?
■プロローグ
見知らぬエレベーターで目が覚めた「シグマ」は,かたわらにいた謎の少女「ファイ」と出会う。初対面のはずなのに,なぜかシグマのことを知っているというファイ。そのことに激しく動揺したシグマは,ファイに詰め寄ろうとする。その瞬間,エレベーター内のモニターに派手な格好をしたウサギが現れた。「ゼロ3世」と名乗ったそのウサギは,シグマとファイが乗っているエレベーターが,もうすぐ落下することを唐突に告げた。
なんとかエレベーターから脱出した2人は,その後,広い倉庫に集まっていた7人の人物と出会った。その時,またもやゼロ3世が現れ,敗者には死の罰が与えられるという「アンビデックス(裏切り)ゲーム」(以下,ABゲーム)の開始を告げる。信頼と裏切りが入り交じるABゲームの果てには,いったい何が待っているのか。そして「ゼロ3世」の正体とは……。
本作のストーリーでは,「ルール違反を犯したら死」という極限状態が描かれている。そのため,常に死と隣合わせという状況が生み出す緊張感や,行動を制限されることからくる圧迫感を,主人公シグマを通じてたっぷりと味わうことができる。
1人1人が力を合わせれば,生き残る確率もグンと上がるはずなのだが,なにしろ,登場人物達はほとんどが初対面。当然信頼感など生まれておらず,表面上は協力的だが実は裏切りを考えている者や,自分だけ助かりたいがために,他者を出し抜こうと考えてる者もいる。そのためシグマ(プレイヤー)は,常に疑心暗鬼で,施設からの脱出を目指すこととなるのだ。
なおノベルパートでは,ときおり出現する選択肢の選び方によって,一緒に行動する仲間が変化したり,ストーリーが大きく分岐したりする。閉鎖的な世界で展開される物語とはいえ,リプレイアビリティは相当なものである。
しかし本作には,過去のシーンにジャンプできるフローチャート機能が用意されている。「失敗したかな?」と思ったら,取り返しのつかない事態に陥る前にやり直すことも可能なので,心が折れる前に活用してみるといいだろう。
プレイヤーを飽きさせない多彩な謎解きが魅力
初心者でも安心の難易度調整機能も嬉しい
ここからは,本作のキモとも言える「脱出パート」について紹介していこう。
脱出パートの基本は,下画面で調べたい場所をタッチして情報を得て,その情報を元に思考型パズルを解く……というものである。2画面を駆使してのプレイは非常に快適で,操作性に関するストレスを受けることなく,探索に集中することができる。
ちなみに脱出パートでは,ジャイロセンサーやタッチペンを使ったギミックも多数用意されており,バリエーション豊かな謎解きがプレイヤーを飽きさせない。ネタバレを避けるため詳しい説明は避けるが,制作者の奇妙なこだわりやセンス,遊び心が感じられるものが多く,アドベンチャーゲームファンだけでなく,パズルゲームファンでも楽しめる作りになっている。
前作「9時間9人9の扉」の完成度が高すぎただけに,システム的な進化が実感しづらいのは確かだが,シナリオ/謎解きの面白さや,西村キヌ氏が描くキャラクターの魅力,豪華声優陣によるノベルパートのフルボイスなど,注目すべき点が多い「善人シボウデス」。今回紹介したのは3DS版だが,PS Vita版も同時に発売されているので,より美しいグラフィックス/サウンドでプレイしたいという人には,そちらもオススメである。
ともあれ本作は,前作からの正当進化を果たした続編という印象。前作とのストーリー的なつながりは薄いものの,前作をプレイしていればニヤリとできる要素が多数含まれているので,シリーズファンにはぜひプレイしてもらいたい1本だ。
「極限脱出ADV 善人シボウデス」公式サイト
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極限脱出ADV 善人シボウデス
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