英国時間2012年10月30日,ARMは,新世代命令セットアーキテクチャ「
ARMv8」に基づくプロセッサIPコアシリーズ「
Cortex-A50」を発表した。現行の「ARMv7」世代は32bit対応に留まるところ,ARMv8採用のCortex-A50シリーズでは,32bitに加え,
64bitにも対応するのが大きな特徴だ。
今回発表されたのは,ARMの「
big.LITTLE」戦略に基づく「
Cortex-A57」と「
Cortex-A53」の2製品。「big」を受け持つCortex-A57は,2Xnmプロセス技術を用いて製造され,最大16コア構成が可能なプロセッサIPコアで,32bitモードにおける性能は,「Superphone」(スーパーフォン)と呼ばれるハイエンドスマートフォンの2012年モデルと比べて最大3倍に達するという。電力効率が5倍に高められる点や,暗号化を高速化する新しい命令セットの採用,浮動小数点演算性能の引き上げといったところもトピックといえるだろう。
一方,「LITTLE」担当のCortex-A53は,20あるいは32nmプロセス技術で製造され,1〜4コア構成が可能なプロセッサIPコアとなる。現行製品であるCortex-A9と同等の32bit性能を,同一のプロセス技術で比較したときにCortex-A9より40%小さなサイズで実現できるというのがポイントだ。
big.LITTLE処理に組み込まず,Cortex-A53を低価格なスマートフォンのメインプロセッサとして使うことももちろん可能であるため,たとえばデュアルコアやクアッドコアで搭載すれば,現行のハイエンドスマートフォンとほぼ同等のプロセッサ性能を,より小さなSoCサイズ(≒低価格)で獲得できることになると思われる。
ARMによれば,Cortex-A50シリーズ搭載製品は,2014年にも登場の見込み。Cortex-A50シリーズの登場以降,据え置き型ゲーム機をモバイルデバイスで置き換えていくと,ARMの鼻息は荒いが,ともあれ2年後が楽しみである。