レビュー
新型Atom+LTE通信機能搭載の優秀な「どこでもブラウザゲームマシン」
Surface 3
一般消費者向けに国内で販売されるSurface 3は,ソフトバンクモバイルが,
- 上位モデル:メインメモリ容量4GB,内蔵ストレージ容量128GB:9万1800円(税別),9万9144円(税込)
- 下位モデル:メインメモリ容量2GB,内蔵ストレージ容量64GB:8万1800円(税別),8万8344円(税込)
10インチ級タブレットとしては重いが,スタンドのおかげで使いやすい
冒頭の写真では,専用キーボードの「Surface 3 Type Cover」や専用スタイラス「Surface ペン」とセットになった状態となっているが,Surface 3の製品ボックスに含まれるのは,タブレット本体とACアダプターなどだけで,これらは別売りのオプションだ
10.8インチサイズで解像度1920×1280ドット,アスペクト比3:2という液晶パネルを採用する本体は,サイズが267(W)×187(D)×8.7(H)mm,重量は約641gとなっている。
Surfaceシリーズ特有の角張ったボディデザインのおかげか,10インチクラスのタブレットとしては持ち運びしやすい。シリーズ最薄とはいえ,10インチ級のタブレットとしては分厚くて重いほうだが,ノートPCと考えれば軽量だ。
実際に手に持ってみても,フル機能のWindows 8.1が快適に動くと考えれば,まずまずのサイズ感で十分軽く感じる。長時間手に持って操作するタブレットというよりも,手軽に持ち歩けるWindows PCと考えたほうがいいだろう。
ちなみに,バッテリー駆動時間は,ビデオ連続再生時で最大10時間とされており,バッテリーだけでも長時間使えそうだ。
キックスタンドは作りもしっかりしており,タッチ操作で画面に力を加えた程度では角度が変わることもなく,安定して利用できるのもいい。サッと開いて自立,サッと閉じて持ち運び,といった動作がしやすいのは,他のタブレット端末では味わえない魅力だ。
タブレット端末であるSurface 3だが,やはりその真価は,別売りオプションであるキーボード付きカバーのSurface 3 Type Cover(以下,Type Cover)を導入してこそ発揮されると思う。Type Coverは,液晶パネルを保護する薄いカバーに,キーボードがついたもので,Surface 3の下側面と独自のコネクターで接続される仕組みだ。
もちろん,市販のBluetoothキーボードを使用することも可能だが,Type Coverと組み合わせた状態こそが,Surface 3の完成形といえ,実際に使いやすくもある。
一見すると入力しにくそうな見た目に反して,Type Coverは,十分打ちやすいキーボードだ。磁石で本体と合体するので,使っている最中に突然外れるようなこともない。閉じれば本体がスリープになるので,そのまますぐに持ち運べるという手軽さも評価に値する。
厚さが薄いのでキーストロークはロクにないが,そこそこの打鍵感があり,入力に苦労するほどではない。サイズも十分なので,スマートフォンやタブレット向けの小型Bluetoothキーボードよりもはるかに打ちやすい。ペラペラの板というわけではなく,強度もそれなりにあるので,膝の上でも入力できるというのは,個人的にポイントが高いところだ。
Y!mobileのLTEサービスに対応
スマートフォン感覚でどこでも通信できるのは便利
なお,Surface 3自体はSIMロックフリーで,どのSIMでも挿入できる。しかし,Microsoftによれば,国内販売される製品はY!mobileのサービスに最適化されているとのことで,国内の対応バンドもそれに合わせたものだという。NTTドコモや,NTTドコモのネットワークを使うMVNOのSIMを挿しても通信はできるが,Y!mobileで使うのが無難だろう。
Y!mobileのSIMカードが挿入済みなので,LTEによる通信が可能。モバイルネットワークの表示は「SoftBank」になっていた |
テザリング(接続の共有)も利用可能。APNの設定項目があるので,海外で現地SIMを挿して通信することもできる |
今回のテストレポートは時間の制約もあったので,持ち歩いての通信速度チェックはしていない。しかし,4Gamer編集部内で簡単なスピードテストを行ってみたところ,下り通信速度で20Mbpsを超えたので,ゲームも含めて大抵の用途で問題ないのではないだろうか。海外旅行に持っていき,現地のプリペイドSIMを挿して通信することもできるので,世界のどこでも使えるというわけだ。
ベンチマークテストでSurface 3の実力をチェック
そこで,編集部側でいくつかのベンチマークテストを実行して,Surface 3の実力を確認してもらうことにした。ただ,今回は試用期間が限られていたため,スティック型PC「Compute Stick」のハードウェア短評で比較対象に使ったWin
まずはグラフィックス性能のテストから見てみよう。グラフ1は,「3DMark」のIce Storm Unlimitedプリセットをまとめたものだ。総合スコアでは前世代Atomの「Atom Z3770」を搭載するThinkPad 8に大差をつけ,「Core i7-4500U」を搭載するFit 13A比でも86%程度という,Atomとは思えないほどの好成績を残している。
Graphics scoreもFit 13A比で85%程度と優秀だが,一方でCPUコア自体の性能がものを言うPhysics scoreは,誤差程度ではあるもののThinkPad 8に負けているというのは興味深い。
マルチプラットフォーム対応のグラフィックスベンチマークテストである「GFX
OpenGL ES 2.0ベースの「ティラノサウルス」および「1080p ティラノサウルスレックス オフスクリーン」でも,Fit 13A比で79〜86%程度のスコアを実現している。
Atom Z3770は,統合型グラフィックス機能(以下,iGPU)におけるシェーダプロセッサの「Execution Units」(以下,EU)が,4基しか搭載されていなかった。それがAtom x7-Z8700では16基になっているとのことで,4倍も増量されたわけだ。Fit 13AのCore i7-4500Uは,EU数が20基ということなので,Surface 3がこれに近いスコアを記録しているというのも,驚くには当たらないといったところか。
Atomのイメージを覆すグラフィックス性能に対して,CPUコアの性能はどの程度なのだろうか。それを測定したのが,「Geekbench 3」の結果だ(グラフ3)。こちらでは,ほとんどの項目でSurface 3とThinkPad 8のスコアが同等で,Fit 13Aには大きく差を付けられるという結果となった。
傾向としては,3DMarkにおけるPhysics scoreと似通っており,これらの結果から見ると,Atom x7-8700のCPUコアはAtom Z3770のCPUコアと比べて,ほとんど性能は変わっていないように見える。
最後のグラフ4は,PC総合ベンチマーク「PCMark 8」のスコアをまとめたものだ。Surface 3のスコアはThinkPad 8とあまり変わらず,Fit 13Aには大きく差を付けられるという,Geekbench 3と似たような傾向が見られる。
家庭向けアプリケーションの使用を想定した「Home 3.0」で,
最後に,実際のブラウザゲームによるテストとして,Flash Playerベースのゲームである「艦隊これくしょん -艦これ-」(以下,艦これ)と,Unity Web Playerベースの「大航海時代V」をSurface 3でプレイした様子を動画で掲載しておこう。
艦これはおおむね快適に動作しているが,航空戦で飛び交う飛行機や,戦闘終了後に舞う紙吹雪の表示がやや遅いようだと,デモプレイをしてくれた編集部の某提督は述べていた。
一方の大航海時代Vでは,5隻対5隻での砲撃戦シーンで顕著にフレームレートが低下しているものの,それ以外,たとえば嵐に襲われている場面などは,
実際にSurface 3を使っていると,テキスト入力やWebサイトの閲覧といった程度であれば,待たされたり引っかかったりするようなこともなく,スムーズに作業できることを体感できた。今回のテスト機材がメインメモリ容量4GBの上位モデルであることも,体感での快適さにつながっているのではないかと思う。価格差は1万円程度なので,快適な動作のためにも上位モデルを選んだほうがいいだろう。
動作が軽快でモノとしても高品質
価格が許容できるならモバイルマシンとしてアリ
Adobe Systems製の写真編集ソフトや動画編集ソフトのように負荷の高いアプリケーションを試してみたわけではないし,多分それらを快適に動かすほどのパワーはなさそうだが,写真や動画を見たり,ブラウザゲームで遊ぶ程度あれば,Surface 3には十分なパワーがあるのではないかと思う。LTE通信機能を内蔵しているので,スマートフォンでのテザリングやモバイルWi-Fiルーターを使うことなしに,どこでもブラウザゲームが遊べるマシンというのは,人によってはなかなか魅力的に感じるのではないか。
Microsoft純正のタブレット端末ということもあって,Windows 10の動作もまず不安はあるまい。10万円というモバイルノートPC並みの価格は,人を選ぶ面があるものの,これから買うタブレット端末,あるいは2-in-1デバイスとして,Surface 3は有力な選択肢となるだろう。
●Surface 3の主なスペック
- OS:Windows 8.1
- ディスプレイパネル:10.8インチ液晶,解像度1920×1280ドット
- プロセッサ:Atom x7-Z8700(4C4T,定格1.6GHz,最大2.4GHz,L2キャッシュ容量2MB)
- メインメモリ容量:2GB,4GB
- ストレージ:容量64GB,128GB,およびmicroSDカード
- アウトカメラ:有効画素数約800万画素
- インカメラ:有効画素数約350万画素
- バッテリー容量:未公開
- バッテリー駆動時間:最大10時間
- LTE対応:対応(nanoSIM,SIMロックフリー)
- LTE通信周波数帯:2.1GHz,1.7GHz,900MHz,
2.6GHz(海外使用時), 800MHz(海外使用時) - 3G通信周波数帯:2.1GHz,900MHz,
1.9GHz(海外使用時), 850MHz(海外使用時) - 無線LAN対応:IEEE 802.11ac
- Bluetooth対応:4.0
- 本体サイズ:267(W)×187(D)×8.7(H)mm
- 本体重量:約641g
- そのほかの搭載インタフェース:USB 3.0(Type-A),USB 2.0(Micro-B)mini DisplayPort,
3.5mmミニピン(アナログヘッドセット対応)
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