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インディーズゲームのパブリッシングを行うUnity Games Japan,メディアスケープ,アクティブゲーミングメディアの主要スタッフが集った座談会をレポート
そんなインディーズゲーム市場に大きな関心を寄せて,とくに積極的な働きかけをしているメーカーの一つがソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア(以下,SCEJA)だ。4Gamerでもお伝えしているとおり,最近では東方Projectの二次創作ゲームがPlayStationプラットフォームでプレイできるようになるという「ZUN×PlayStation」が話題を呼んでいる。
こうした中,インディーズゲームへの取り組みを積極的に行っているパブリッシャ,Unity Games Japan,メディアスケープ,アクティブゲーミングメディアのスタッフがインディーズゲームについて意見を述べるという趣旨の座談会が,都内にあるSCEJA本社で2014年12月18日に行われた。ここでは,海外および日本におけるインディーズゲームの現状や各社それぞれの動きなど,さまざまなことが語られた。本稿では,その内容をまとめてみたい。
ミッションは,一人でも多くの人がゲームを作って成功できるようにすること
今回の座談会に参加したのは,進行役を務めたSCEJAの伊東章成氏,Unity Games Japanの大前広樹氏,メディアスケープの江崎 望氏と小山田文雄氏,アクティブゲーミングメディアの水谷俊次氏の5人だ。まずは大前氏が,インディーズゲームの現状に関して意見を述べた。
ご存じのとおり,Unityと言えば今や最もポピュラーなゲーム開発エンジンの一つ。Unity制作のゲームとしては「白猫プロジェクト」(iOS/Android)や「チェインクロニクル」(iOS/Android)などが有名だろう。大前氏によると,Unity Games Japanは「誰でもゲームを作れるようにしたい」という思想のもとに立ち上げられたブランドである。現在,その願いはある程度実現し,「一人でも多くの人がゲームを作って,成功できるようにしたい」という次のフェーズへ移行しつつあるとのこと。
インディーズゲームはその尖った作品性もあって,どちらかと言えばマイナーな存在だ。しかし,フェスでインディーズゲームを楽しそうにプレイしているプレイヤーの姿を見た大前氏は,インディーズゲームは多くの人に受け入れられる可能性が十分あるという確信を持ったという。そして,一つでも多くのタイトルが成功して日の目を見られるようにするために,Unity Games Japanとしてパブリッシング事業を開始したのである。
12月11日にPS4版がリリースされた,アラスカ先住民族“イヌイット”をテーマにしたアドベンチャーゲーム「Never Alone」は,普通だったらまず成立しないゲームだからこそPS4でリリースできたと伊東氏は語る。
本作のコンセプトはイヌイットの伝承を後世に残すというものであり,インタフェースや字幕の翻訳はされているものの,日本語音声によるローカライズは一切行われていない。その代わりに,現地で収録されたイヌイット語の語りでゲームが進行していく点に,本作ならではのこだわりが感じられる。また,独特の音楽やグラフィックスについても,プレイヤーから高い評価を受けている。
大前氏曰く,昔はこうしたアクの強いゲームが珍しくなかったが,現在でもそういった作品を求める人は多いという。そして,ユーザーがそうしたゲームを見つけやすい環境を,今後も作っていきたいと話していた。
「Doujin」を世界に広げていくという取り組み
すでにお伝えしているとおり,東方Projectの二次創作ゲームをPlayStationプラットフォームで遊べるようにするプロジェクト「ZUN×PlayStation」と,その取り組みをさらに拡大した「Play,Doujin!」の立ち上げが告知されているが(関連記事),これはもっと多くの同人サークルにチャンスを広げていきたいという想いからであると江崎氏は言う。
またタイトルのリリースに先立ち,PS Vita用のカスタムテーマ2種類が配信されている。これには,ユーザーの目を引くことはもちろん,「Play,Doujin!」の勢いを見せて,未参加の同人作家にアピールしていきたいという狙いも含まれているそうだ。
江崎氏によると,同人サークルは法人ではないため,さまざまな取り決めが非常に難しいという。誰が中心人物なのか,外から見ると実態が掴みづらいというのも欠点の一つである。
伊東氏との出会いによって,SCEJAでインディーズゲームを大きく展開していくプロジェクトが進められていることを知った小山田氏は,このタイミングで自分達が同人サークルとパブリッシャとの橋渡しの役目をするしかないと決めたと話していた。ちなみに伊東氏によると,「同人」を「Doujin」と表記しているのは海外で展開していくためとのことだ。
水谷氏はまず,アクティブゲーミングメディアではインディーズゲームが持っている可能性をどれだけ広げられるかに注力しているとコメント。同人サークルのクリエイターに話を聞くと,開発資金の不足や,コンシューマや海外でリリースしたいのになかなか出せないという問題を抱えているケースが多い。
そこで,コピーライターとして広告の仕事もしている水谷氏は,良いものを世界に届ける広告の力と,PLAYISMが持つローカライズの力を掛け合わせることによって,インディーズゲームを世に広められるのではないかと考えたという。
こうして座談会は進んでいき,話の尽きないまま終了へ。伊東氏は最後に,純粋にゲームを面白いと思ってくれる人を増やすためにも,これからもインディーズゲームの展開を続けていきたいと述べて座談会を締めくくった。
「ZUN×PlayStation」と,それを拡大させた「Play,Doujin!」に顕著だが,同人ゲームが家庭用ゲーム機でリリースされるなど,一昔前は考えられなかったことだ。今回のような取り組みによって,良質なインディーズゲームが今後続々と日の目を見ていくことを期待したい。
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