プレイレポート
ミステリアスな怪奇事件と命をかけた恋愛劇。「POSSESSION MAGENTA」のプレイレポートをお届け
「アルカナ・ファミリア」シリーズを手がけたCOMFORT×HuneX×さらちよみ氏の完全新作タイトルであり,ミステリアスな物語とのギャップを感じさせる,カラフルなグラフィックスや,ポップな音楽,豹変するキャラ達を担当した豪華声優陣の迫力演技などにも注目の本作を一足早くプレイしてみたので,そのプレイレポートをお届けしよう。
「POSSESSION MAGENTA」公式サイト
平和な高校生活を突如襲った怪事件
「実はさ,生徒が1人行方不明なんだよ」
校門で朝の挨拶運動中の生徒会長が,気になる噂を教えてくれる。ここから奇妙な事件はスタートする |
通学の途中で偶然見つけた,自分にしか見えない不思議なカード。このカードが事件の謎を解く重要な鍵となる |
その生徒は,友達と遊んでいる最中に,突然人が変わったように暴れだし,そのまま行方不明になったという。心配に思いつつも変わらぬ日常を過ごした次の日,鈴は学校に向かう途中でキラキラ光るカードを拾う。自分にしか見えない不思議なカードにモヤモヤしながら学校へ向かうと,行方不明だった生徒が時計台に異様な姿で磔にされた状態で発見された。
その日を境に,彼女の親しい人達が突然豹変する奇妙な出来事が頻発する。拾った不思議なカードで彼らを元に戻せると知った鈴は,事件の謎を解くため奔走することに……。
テレビドラマのようにテンポよく進むストーリー
本作は,テキストを読み進めるアドベンチャー形式で進行していく。ストーリーは“ACT.”(章)で区切られていて,ACT.1では祭 綾女,ACT.2では橙山光介,というように,ACT.ごとに特定のキャラクターをメインとしたシナリオとなっている。
ACT.で分けられたシナリオは,ドラマのようにテンポがよく,事件の謎も徐々に明らかになっていくので,続きが気になり,最後まで休まず一気にプレイしてしまった。メインキャラを順番にフォーカスしていくため,プロローグからエピローグまでのボリュームは多く,やりごたえは十分だ。2周め以降も毎回プロローグから始めることになるので,全エンディング制覇を目指すならスキップやセーブ機能をうまく活用しよう。
突然何かに取り憑かれたかのように豹変する仲間達
ストーリーを進めていくと,メインキャラ達が次々とポゼってしまう。普段は心にしまっている悩みやトラウマが原因で,狂気に囚われてしまった彼らは,主人公への思いも歪んでしまう。そして遂には「自分のものにならないのならいっそ……」といった身勝手な理屈で襲いかかってくる。このポゼったキャラ達を正気の状態に戻すこと(作中では「ピュリファイ」「ピュリする」と表現される。英語の「purify(=浄化)」から)が,ゲームを進行するうえで必要不可欠で,ピュリできなければ,否応なくバッドエンドを迎えてしまう。
ピュリファイをするには,まず使用するタロットカードを選択する。キャラ達がポゼった原因と対応した意味を持つカード選ぼう |
カードには意味の異なる【正位置】と【逆位置】があるので,ポゼっている状態とは逆になるように位置を選択すればピュリは成功だ |
街中でタロットカードを発見することも。背景右下にアイコンが出現したら,タッチスクリーンを操作してカードを探そう |
カード以外にも,ゲーム内ではやっている「うさねこ」のアイテムが見つかることも。これを集めるといいことがあるらしい…… |
「彼を助けられなければ,死ぬのは私」というキャッチコピーのとおり,ピュリできなかった時に迎える結末は,非常に残酷で悲劇的だ。ただゲームオーバーになるのではなく,しっかり作りこまれたドラマティックで切ないシナリオとなっているので,筆者のように狂愛好きな人には,あえてバットエンドを見てみるのもオススメ。とは言え,ピュリしなければ事件の真相に辿りつけないどころか,物語自体が進行しないので,まずはきっちりピュリしていこう。
シリアスな展開を和ませる,甘酸っぱいデートイベント
シリアスに展開する怪奇事件の捜査と並行して,メインキャラ達との交流やデートイベントといった,日常のエピソードが楽しめるのも本作の特徴の1つだ。各ACT.でメインになっているキャラからアプローチされるので,それに応じればデートイベントが発生する。デートのチャンスは各キャラ2回ずつ。イベントを発生させれば,最終ACT.の個別エピソードへ入るための恋愛値を上げることができるが,ストーリー進行に影響はないので,お目当てのキャラ以外を飛ばして進めても問題ない。
また,学校を中心に繰り広げられる,キャラ同士のほのぼのとしたやり取りは,シリアスな事件捜査での緊張を和ませてくれる。中でも,唯一の後輩で,天然キャラの桃井 優一郎は,常にマイペースで,人とズレた感覚を持っているので面白シーンが多い。食堂でほかの人のメニューを見ながら空腹をごまかす,“エアランチ”をしているエピソードは,筆者のお気に入りだ。
事件の解決が主目的となっている「POSSESSION MAGENTA」。恋愛よりも,謎解き要素のほうが強い印象だが, 真相解明の過程で芽生える,くすっぐたいような淡い恋心と,ポゼったキャラ達からぶつけられる狂気に満ちた愛情は,それぞれ違ったドキドキを与えてくれる。全編を通して猟奇的なシーンは多いが,さらちよみ氏が手がける鮮やかなグラフィックとのギャップもあり,どこか怪しく美しいと感じてしまった。
また,狂気に囚われたキャラ達の豹変っぷりは,個人的には一押しのポイント。「まだ叫ぶの!?」と思ってしまうほど絶叫している声優陣の熱演は必聴だ。ミステリー好きや,狂愛系が好きな人はぜひプレイしてほしい。
「POSSESSION MAGENTA」公式サイト
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(C)HuneX/COMFORT