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[COMPUTEX]リリースを7月に控えるWindows 10の利点や機能がアピールされたMicrosoftプレスカンファレンス
本稿では,このプレスカンファレンスの概要をレポートしよう。
AndroidやiOSからのアプリケーション取り込みを重視するMicrosoft
Windows 10は,これまでのWindows OSから大きく方向性を変更したもので,PCからスマートフォン,据え置き型ゲーム機やヘッドマウントディスプレイにいたるまでを,1つのOSでカバーすることを目指して開発された。そのため,プログラムコードをほとんど変更することなく,他のデバイスでも動作する「Universal Windows App」(以下,UWA)として開発できるようになっているのが特徴だ。
Microsoftは,Windows 8でもこうした環境の実現を目指してはいた。しかし,結局は従来型のWindowsアプリケーション(デスクトップアプリ)とタッチ操作向けのWindowsストアアプリに分離してしまい,その実現に失敗した経緯がある。
そこでWindows 10では,Windowsストアアプリ改めUWAをウインドウ表示できるようにし,デスクトップアプリのように操作できるようになった。そして,同じアプリケーションがそのまま,Windows 10搭載スマートフォンであるWindows Phoneでも動作するようになるわけだ。
アプリケーションの開発環境も拡充されており,JavaやC++で書かれたAndroidアプリケーションをそのまま動くようにしたり,Objective-Cで書かれたiOS用アプリケーションからのコード変換を可能にしたりといった対策により,アプリケーション不足の解消を狙う。とくに深刻なアプリケーション不足が問題視されていたWindows Phoneでは,これらの施策によってアプリケーションが増えることが期待されている。
Windows 10は,リリース後最初の1年間はWindows 8.1/7ユーザーに対して無償で提供されることが決まっているので,多くのユーザーが移行する可能性がある。もちろん,10億台のすべてがWindows 10に置き換わることはあり得ないが,それでも多くのユーザーが移行を選択すれば,一気にWindows 10のプラットフォームは増加するだろう。プラットフォームが整えば,Windows 10向けのアプリケーションやサービスの提供が,Windows 8.xよりも増加する可能性はあるというわけだ。
このアピールは,COMPUTEX TAIPEIというPC見本市では,大きな意味を持つ。アプリケーションやサービスが拡大すれば,Windows 10搭載PCを新たに購入するユーザーも増える可能性があり,台湾に多いPCメーカーや周辺機器メーカーにとっても,大きなビジネスチャンスの可能性があるからだ。
最新ビルドでWindows 10の機能を紹介
Windows 10 Mobileは出遅れ気味
さて,そのWindows 10だが,現在はInsider Previewとして開発版を提供しており,ユーザーによるバグ報告や「ここの翻訳がおかしい」といった要望などを受け付けている段階だ。今回のカンファレンスでは,Windows 10の最新ビルドである「10130」を使い,スタートメニューやウインドウのスナップ機能といった機能が紹介された。目新しい話題ではないので,写真中心で簡単に紹介しよう。
Windows 10では標準の地図機能「Bing maps」も強化される。日本の地図も強化されるようだ。また,新Webブラウザの「Edge」は,Webページ上に手書きやテキストの書き込みが可能になるといった,新しい機能を盛り込んでいる。
顔写真をプリントした紙をカメラにかざしても,ログインはできないというデモの様子 |
音声エージェントのCortana。今のところ,日本語対応は時期さえ不明確だ |
Windows 10の新機能で目玉の1つが音声エージェント機能「Cortana」である。自然な会話のように喋るだけで,
とはいえ,Cortanaの音声入力は,Windows 10のリリース直後からすべての国・地域の言語で使えるわけではない。日本語での音声入力も,リリース直後は使えない予定だ。
ゲームに関わる話題としては,やはりDirectX 12への対応が最大のトピックだろう。ステージでは,Snail Gameの「King of Wushu」を,DirectX 12版に変更したものを披露。レンダリングの速さやキャラクターの同時表示数といった性能面の優位性を,DirectX 11版との比較でアピールしていた。ちなみにDirectX 12版は,Snail Gamesのエンジニア2人が,6週間かけてDirectX 11版から移植したとのこと。
カンファレンスの最後には,Windows 10を搭載するPC新製品が多数紹介された。ゲーマー向けのPCではDellやMSIといった,お馴染みの製品が披露されている。
Dellのおむすび型ゲーマー向けデスクトップPC「ALIENWARE Area-51」もWindows 10版が投入される予定 |
知名度は低いものの,日本でも製品を展開しているOrigin PCは,「GeForce GTX 980 Ti」の2-way SLI搭載PCを披露 |
とくにメディアの注目を集めていたのは,東芝が開発中の2-in-1ノートPC「Astrea」だ。4K解像度の液晶パネルや「Skylake」こと第6世代Coreプロセッサを搭載しているほか,顔認証のWindows Helloにも対応しており,薄型ながらディスプレイが360度回転してタブレットになる機構などを備えているなど,いかにも凝ったノートPCを得意とする日本メーカー製らしい製品だった。
さて,今回のカンファレンスで筆者が気になったのは,スマートフォンやタブレット向けのWindows 10である「Windows 10 Mobile」の動向だ。Windows 10のリリース日である7月29日には間に合わないことが明らかにされているが,カンファレンス会場の展示コーナーでも,Windows 10 Mobile Readyの端末は2製品しか紹介されておらず,しかも,展示されていた端末では,Windows Phone 8.1が動作しているという状況だった。
サービスやアプリケーションでは「モバイルファースト」を標榜するマイクロソフトだが,肝心のOS開発は遅れていると見られる。あらゆるデバイスで同じ環境を実現するWindows 10の世界が完成するのは,もう少し先の話になりそうだ。
Microsoft 日本語公式Webサイト
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