連載
ミュージック フロム ゲームワールド:Track 165 「クーロンズ・ゲート」「Summer Pockets」
それでは,今週も「ミュージック フロム ゲームワールド」で,今聴いておきたい2枚をお届けしましょう!
世界各地に「陰界への扉」が開いたら──
「KOWLOON'S GATE Saman Land」
タイトル | KOWLOON'S GATE Saman Land | |
発売日 | 2018年9月19日 | |
価格 | 3000円(税抜) | |
発売元 | GT music | |
コピーライト | (C)Sony Music Direct(Japan)Inc. All rights reserved. |
今週の1枚めは,1997年にリリースされたPlayStation用ソフト「クーロンズ・ゲート」の最新イメージアルバム,「KOWLOON'S GATE Saman Land」を紹介します。
本作は「『陰界への扉』が世界各地に存在したら──」をテーマに,「クーロンズ・ゲート」の作曲者である蓜島邦明氏が新たに13曲を制作。さまざまなサンプリングサウンドを取り入れ,時にメロディアスに,時にカオスな様相を見せる楽曲が展開されます。
1曲めは「KOWLOON'S GO」。アルバムの幕開けを飾るこの曲は,6つの空間を渡ってシャーマンに会いにいく情景を描いた曲。サンプリングボイスに民族楽器と電子音が融合するという,「クーロンズ・ゲート」のBGMでもよく見られた構成と,中盤から姿を見せるメロディアスな展開で,ぐいぐいと“シャーマンランド”の世界へ導かれていきます。
3曲めの「シャーマン ヨーロディ」は男性ボーカルによるヨーデルをフィーチャーした,独特の緩さが心地いいナンバー。6曲めの「お ん な の み や こ」は前半の軽快なリズムパートが印象的ですが,妖艶な女性ボイスと男性コーラスによるセクシーな絡み,そして謎の打楽器群による変拍子モードへと突入する後半パートは,異国の迷宮に迷い込んでしまったかのよう。
9曲めの「URARA」は景気のいい掛け声が挿入される,独特のリズムがクセになる祭囃子のような曲で,思わずリピートしたくなります。12曲めの「コズミックダンス」は曲名に“ダンス”と付いているものの,まるで無重力空間を漂うかのような浮遊感ある仕上がりです。そしてラストの「あなたをみて」は,女性コーラスとアコースティック楽器でしんみりと進行する曲。シャーマンランドとの別れが近づき,名残り惜しい気分にさせられます。
ライナーノーツでは,サウンドプロデューサーである須藤 朗氏のコメントに加え,蓜島邦明氏によるアルバムコンセプトの解説,そして各楽曲への興味深い1行コメントが添えられています。また有田シュン氏によるライナーノーツの一文,「陰界の世界一周を楽しもうじゃないか!」には,本アルバムの楽しみ方が集約されていると言っても過言ではないでしょう。新たな「陰界への扉」が開かれた本アルバムは,「クーロンズ・ゲート」の世界をディープに楽しめる1枚です!
「KOWLOON'S GATE Saman Land」特設サイト
夏の陽ざしを感じるKey最新作のサントラ
「Summer Pockets Original SoundTrack」
タイトル | Summer Pockets Original SoundTrack | |
発売日 | 2018年9月26日 | |
価格 | 3500円(税抜) | |
発売元 | Key Sounds Label | |
コピーライト | (C)VisualArt's/Key |
今週の2枚めは,ゲームブランドKeyより2018年6月にリリースされた「Summer Pockets」のサントラ,「Summer Pockets Original SoundTrack」を紹介します。作・編曲はKey作品でお馴染みの折戸伸治氏,麻枝 准氏,竹下智博氏,水月 陵氏,どんまる氏が担当。夏の田舎を舞台にした,ノスタルジックかつ瑞々しいサウンドをCD3枚組に収録しています。
DISC1の1曲めは,鈴木このみが歌うオープニング曲「アルカテイル」。夏の陽ざしがよく似合う爽やかなポップチューンで,イントロのピアノソロやストリングスを絡めたアレンジ,透明感のある伸びやかなボーカルなど,聴きどころが満載! 5曲めの「夏休みの過ごし方」は開放的なメロディと癒しのアレンジが魅力的で,聴いていると外へ出かけたくなります。13曲めの「振り返らなくてもヤツはいる」はゲーム内の卓球勝負のシーンで流れる,ギターリフを前面に押し出したハードな曲です。
DISC2は,神秘的なサウンドで奏でられる10曲め「Deep Blue Blue」に注目。ピアノと鉄琴が紡いでいく高音の旋律に思わずうっとり……。13曲めの「Wing of Glass」は軽く歪ませたギターをバックに,緩やかに感傷的なメロディが流れていく,個人的にもお気に入りの曲。16曲めの「紬の夏休み」はヒロインの一人,紬ルートで流れる挿入歌。コミカルな歌詞が付けられたこの曲ですが,実はドイツ民謡の「小鳥の結婚式」が元になっています。
そしてDISC3の12曲めは,エンディング曲「Lasting Moment」のフルバージョン。鈴木このみのパワフルなボーカルが堪能できる,爽快な1曲に仕上がっています。
Key作品ではゲームと同じくらい,音楽面が注目されます。筆者も過去に「Kanon」と「AIR」でKey作品の洗礼を受け,それ以来,新作が発表されるたびにサントラのリリースも楽しみにしてきました。最新作となる「Summer Pockets」のサントラは,そんなファンの期待にバッチリ応えてくれる1枚です。普段はあまり美少女ゲームを遊ばないという人も,まずは試聴動画を聴いてみてください。良質な音楽体験が待っていますよ!
「Summer Pockets」公式サイト
|
- 関連タイトル:
クーロンズゲートVR suzaku
- 関連タイトル:
Summer Pockets
- この記事のURL:
(C)JETMAN Inc. All Right Reserved. (C) Sony Music Entertainment(Japan) Inc.