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東京レトロゲームショウ2015:第11回は,リマスター版の「Age of Empires II: The Age of Kings」で,中世世界の覇者を目指そう
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印刷2015/07/23 12:00

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東京レトロゲームショウ2015:第11回は,リマスター版の「Age of Empires II: The Age of Kings」で,中世世界の覇者を目指そう

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今週のテーマ:オレの作った美しい町を見よ(そういうゲームじゃない)

 過去の名作タイトルに勝手に光を当てる,ちょっとはた迷惑かもしれない週刊連載「東京レトロゲームショウ2015」。今週は「Age of Empires II: The Age of Kings」(以下,AoE2)を取り上げたい。

リマスター版として2013年にリリースされた「Age of Empires II: HD Edition」のオープニング画面。おお,懐かしい。リマスター版もちゃんと日本語に対応している
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 AoE2は,1997年の「Age of Empires」(以下,AoE)の続編で,1900年代最後の年である1999年にMicrosoftからリリースされたタイトルだ。世界中で大ヒットし,数々の賞を受賞したほか,開発を担当したEnsemble Studiosのゲームデザイナー,ブルース・シェリー(Bruce Shelley)氏をスターダムに押し上げた名作でもある。ちなみにEnsembleは,2001年にMicrosoftの傘下に入ったものの,新作の不振が続き,2009年に解散させられるという運命をたどっている。

Ensemble Studiosのロゴと,オープニングムービー。当時はすごいCGだと思ったものだ。「一将功成りて万骨枯る」という風情の味わい深い内容になっている
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 1995年の「Windows 95」のヒットで一躍,世界企業に成長したMicrosoftは,おそらく新OSの普及に拍車をかけるためだろう,翌年(1996年)あたりからPC向けゲームタイトルのパブリッシングに力を入れ始めた。同社の作品としてよく知られているのはもちろん,「Microsoft Flight Simulator」シリーズだろうと思うが,このほかにもいくつかの作品を発売していた。もっとも,どのタイトルもおおむねバイオレンスなし,お色気なしの,いかにもMicrosoft的な,なんとなくお行儀がいいゲームだったと思う(※個人の印象です)。Microsoftがはっちゃけるのは,Xbox(2001年)以降の話だ。
 ともあれ,AoE2もその流れで,実は初代AoEをプレイしていなかった筆者は,古代文明をいろいろ勉強できてしまう知育的なタイトルに違いないと思っていた。いやまあ,そういう側面も確かにあるんですけどね。

各勢力の技術ツリー。勝つ気ならば要暗記。勢力は,中国,アステカ,ケルトなど18種類用意されており,それぞれが個性的だ
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歴史的事実を紹介するところも用意されており,タメになる。ゲーム的には,フレーバー程度
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基本的に,偵察していない土地はこのように黒く覆われているが,以下のスクリーンショットでは撮影の都合上,設定画面でこの条件をオミットしていることをご承知いただきたい
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 AoEシリーズのジャンルはリアルタイムストラテジーだ。4Gamerでは通常RTSと表記するが,釈迦に説法だと思いつつ一応説明すると,RTSはターン制のストラテジーと異なり,ゲームがリアルタイムで進んでいくので(マルチプレイでなければ,ポーズはできる),大変忙しいという特徴がある。最初のRTSタイトルがなんだったのかについては諸説あるようだが,筆者は1995年に発売された「Command&Conquer」の対戦を,めっちゃ楽しんだ記憶がある。OSは「Windows 3.1」だったよ,たぶん。

資源を集め,施設を建てることで文明は「暗黒の時代」から「領主の時代」「城主の時代」,そして「帝王の時代」へと進んでいく
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 あまり期待せずに始めたAoE2だったのだが,こうやって記事に書くくらいだから,すっかりやめられなくなってしまったわけだ。事の起こりは「エレファント」だ。ペルシア帝国の固有ユニットであるエレファントだが,何かの攻略本を読んだところ,エレファント軍団がその巨体にモノを言わせつつ,寄せ来る敵兵士をバッタバッタとなぎ倒して進んでいく場面が紹介されていた。

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見よ! ついに堂々のエレファント軍団誕生だ。4匹しかいないけど
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進め,わがエレファント軍団よ。……動きが遅いなあ,もう

 おお,これはすごい。というわけで,筆者もペルシア帝国を選び,手間ヒマかけてエレファント,それもスペシャルなエリートエレファント軍団を作り上げて敵地に送り込んだのだ。はっはっは,蹂躙してやれ! ところが,エレファント部隊の前に現れた敵の僧侶が妙なお祈りをしたところ,エレファント軍団は全員寝返って,反対にこちらに襲いかかってきたのだ。すべてをエレファントにかけていた筆者はその姿を見て,まさにゾーっとしたのだが,そもそも動物なんかに頼った筆者が悪いのかもしれないと思い直した。

知らないうちに,こんなに巨大になっていた敵勢力。成長のためには「町の人」を大量に作る必要があるが,人数の上限があるため「町の人」を作りすぎると,兵力に当てる分がなくなってしまう。このあたりのバランスが重要だ
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わがエレファント軍団の襲いかかる敵の船団。それにしても,すごい数の敵だ
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しかも僧侶によって回心させられた,裏切り象まで出る始末。象のヤツめ

 このように,ユニット間の相互関係は割と複雑であることを理解した筆者だが,ちょうどその頃,「コンスタンティノープルの陥落」に凝っており,続いてトルコでビザンティンを攻めてみた。気分はメフメト2世だ。行け! エリートイェニチェリ軍団よ。千年帝国にインドーを渡してやるのだ! ……とはいえこのイェニチェリ,砲撃力はやたら高いが生身であるため,投石機や大砲や騎馬の攻撃にもろく,さらにシステム的な都合で大量生産が難しいこともあって,壊滅するとそれっきり。逆にビザンティンのカタフラクトに攻め滅ぼされてしまった。なるほど,必ずしも歴史の再現は狙っていないのだな,ということを筆者は理解した。まあ,当たり前な気もするけど。

ちょっと分かりづらいと思うが,こちらのエリートイェニチェリ軍団と,敵のカタフラクト部隊が交戦している。がんばれエリートイェニチェリ
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(左)あっさり全滅するエリートイェニチェリ。あれ? 調子に乗ったカタフラクトはわが城に攻撃を加えるか,ヤツらも全滅した(右)。このように,どうしても消耗戦に陥るため,より多くの部隊を作り出したほうが有利になる
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 そんな中で筆者は,今度は街の建設にはまった。「町の中心」という施設からスタートし,城や戦士の養成施設など,プレイヤーはさまざまな施設を建て,金や石といった資材を集めていく。だが,そんな町作りの途中,やっぱり住宅地はこのあたりに集めて,お城はここよね,見張りの塔はこのへんに建ててっと,ああキレイ,みたいな状況に陥ったのだ。AIが作った町なんか,ダラダラ広がってるだけで,てんでダメよ。お城は適当に建ってるしー,という感じ。そのため,町作りの途中で敵の攻撃を受けると,おまえ,何やってんだ,ルール知らないんじゃないの,と必要以上にムカっとくるようになってしまい,もはや,目的を完全に見失ったが,実はこれ,かなり多くのプレイヤーがたどる道でもあるらしい。

このような美しい都市作りが理想だが……
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都市作りにかまけていると,敵の大軍にいきなり襲われて全滅する。なにこの大軍
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 ここから,対人戦に進んでストイックにAoE2道をきわめるもよし,マップエディタでシナリオを作るのもよし,筆者のように,カスタムマッチで「ほぼ勝てそうな戦い」を設定して,中世の覇者を気取るもよしと,遊び方はいろいろだ。
 上にも書いたように,RTSは忙しい。金鉱や森に町の人を派遣して資源を集め,その間に養成所で兵隊ユニットを作り,そんなことをしながら攻撃部隊を送り出したり敵の攻撃をしのいだりと,手を止めるヒマがない。神の視点で進めるアクションゲーム,という雰囲気のプレイ感覚はRTS独特のもので,病みつきになる人は,とことんなってしまうようだ。歴史的事実はおおむねフレーバー程度なので,詳しくない人でも大丈夫だが,文明やユニットの特性については,勝とうとするなら熟知する必要が絶対にあり,奥は深い。

リマスター版では,水や炎の表現が美しくなった印象だ
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 現在,最も入手しやすいAoE2は,「Steam」で購入できる「Age of Empires II: HD Edition」だろう。これは,2013年にリリースされたリマスター版で,内容はオリジナル版とほぼ一緒だが,「Steam Workshop」に対応しているほか,グラフィックスが改善されている。また,驚いたことに10年以上ぶりの最新拡張パック「Age of Empires II HD: The Forgotten」がほぼ同時期にリリースされており,これを導入することで,イタリアやインカなど,5種類の新文明を使ったプレイが可能になる。上記のように,Ensembleはもうないので,リマスター版の制作は北米のHidden Path Entertainmentと,カナダのSkyBox Labsが担当している模様だ。

Steam「Age of Empires II: HD Edition」紹介ページ


 というわけで,16年前の作品でありながら現在でも十分に通用する面白さを持つAoE2。さあ,次はゴートで美しい城壁都市を築こう。え,ゴートは石壁を作ることができない? うーん,なんてあけっぴろげな人々なんだ。
  • 関連タイトル:

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