連載
東京レトロゲームショウ2015:第19回 「ロードモナーク」で,国産RTSにも名作があったことを世間にお知らせしたい
本物の「東京ゲームショウ2015」が盛り上がる時期になったが,「ああ,東京レトロなんとかね。あったね,そんなの」と読者に忘れ去られてしまいそうな杞憂はまったく心配しなくていいと思う人気連載「東京レトロゲームショウ2015」。今回は,今もなお愛し続けている人が多いはずの「ロードモナーク」に大きく注目してみたい。
「ロードモナーク」は,1991年に日本ファルコムから発売されたPC-9801用シミュレーションゲームだ。リアルタイムでゲームが進行することが大きな特徴で,当時はそんな言葉がなかったので一律に「シミュレーション」と呼ばれていたが,最近のジャンル分けに従えば,RTSと呼べるのではなかろうか。ちなみに本作は,日本ファルコム創立10周年記念作品にして「ドラゴンスレイヤー」シリーズの7作目でもあるのだが,ドラスレらしさはあんまりなかったりする。
本作は4つの国家が勢力争いをしており,各陣営に一人ずつ存在する王様を倒せば,その国家は滅亡する。プレイヤーは,各ステージで自国以外の国家を滅亡させることが目的となるのだが,これがまたホント,ヤミツキになっちゃう面白さなのだ。
本作に登場する国家は,王様と部隊で構成されている。部隊は村で勝手に繁殖し,勝手に敵陣に攻めていき,さらには勝手に新しい村を作っていく。いわばオートで内政と戦闘をこなしてくれるのだが,そのうえで効率よく自国を発展させるためには,いい感じでプレイヤーがゲームに介入する必要があるのだ。
プレイヤーの大きな仕事の一つが,税率の設定だ。出生率と収入に大きく関係しており,税率を下げると出生率が高くなる。つまり新しい兵士が出現しやすくなるため,軍事力は大きくなるが,収入は下がってしまう。逆に税率を高めると,出生率は減少し,代わりに国庫への収入が増えるというトレードオフの関係になっている。
まず,国力の礎となる村を作成するためには,お金が100必要になる。また2000人以上の部隊は維持費が必要になり,さらには,敵を足止めするための柵を作成したり,水場に橋を作るときにもお金がかかる。何かしようとするたびに資金が必要になるのは,現実世界と同じだ。
このため,状況に応じて最適な税率を設定していくことが,本作の大きなゲーム要素になっている。といっても難しく考える必要はなく,ほとんどの場合は,最低(0%)か最大(30%)に設定するだけだ。
さて,こうして自国を強くしていくわけだが,相手の国を滅ぼすのはなかなか大変。王様は非常に強く,確実に勝つためには敵の3〜4倍の兵力が必要になるのだ。また王様のパワーは,減らしてもすぐに総人口と同数に回復してしまう。
そのため,王様を倒すにはまず相手国の部隊や村を減らし,総人口を減らすことが効果的になる。王様のパワーと総人口の差が大きくなると,王様のパワーの一部が部隊となって出現するので,結果的に王様のパワーを減らせるのだ。
こんな感じでライバル国のすべてを滅亡させればそれでオーケーかというと,実はそうでもない。本作にはクリアまでのタイムリミットが設定されており,1ステージに与えられる猶予は3200日。後述する評価基準を満たしてうまくステージクリアできると残り日数が持ち越しで増えていくが,そうでないと,残り日数が大きく減少してしまう。というわけで,いかに効率的に勝利できるかが,本作の醍醐味となっているわけだ。
一度クリアしたステージには何度でも再挑戦できるため,ステージを終わらせたあともコツコツと繰り越し日数を増やしていくというお楽しみがある。ちなみに,トータルの残り日数によってゲーム中の認定証が得られるため,どこまで段位を上げられるかチャレンジするのも熱い。
というわけで,シンプルなルールながらかなり熱い戦略が楽しめる「ロードモナーク」。D4エンタープライズが運営中の「プロジェクトEGG」では,本作に加えて上級者向けの続編である「アドバンスド・ロードモナーク」も配信されているので,気になった人はぜひ遊んでみよう。
Project EGG「ロードモナーク」紹介ページ
(C)Nihon Falcom Corporation. All rights reserved.(C)2007 D4Enterprise Co.,Ltd.
(C)2007 MSX Licensing Corporation.
- 関連タイトル:
プロジェクトEGG
- この記事のURL:
キーワード