プレイレポート
「アルスラーン戦記×無双」を先行プレイ。放映中のアニメーションに忠実なストーリーと「無双」シリーズの爽快なアクションが融合された意欲作だ
今回,本作のサンプルROMで実際に途中までプレイしたので,ゲームの完成度やプレイフィールについてお届けしたい。なお今回プレイしたのはPlayStation 4版で,操作系についての呼称はそちらに準じている。
アニメ版アルスラーン戦記の世界を,トゥーンレンダリングで完全再現
「アルスラーン」戦記と言えば,中原の大国「パルス」の若き王太子アルスラーンと,彼のもとに集まる優れた将たちが,祖国の復興という志のもとに,戦いをくり広げていくという物語で,本作もそれに沿ってストーリーが展開していく。
ゲームを始めてまず目に入るのは,トゥーンレンダリングで描画されたゲーム画面だろう。主人公の王太子アルスラーンの初陣を描くプロローグからして,これまでの無双シリーズとひと味違う,アニメーション的なグラフィックスが際だっている。
無双シリーズとのコラボ作品と言えば,これまでにもコミックやアニメーションを原作とした作品がリリースされているが,本作はそれらのどのシリーズよりも,アニメ寄りのグラフィックスで仕上げられている。
アルスラーンやダリューンをはじめとするプレイヤーキャラクターはもちろん,画面を埋め尽くすほど現れる敵味方の兵達もすべてアニメ調に描かれているので,シーンによってはアニメ本編以上に迫力のあるシーンを,自身で体験できるのだ。
4Gamerで7月に掲載した本作のプロデューサー中臺重人氏のインタビューによれば,開発当初からアニメ版とのコラボは決まっていたそうで,ストーリーやキャストなどもアニメ版を踏襲している。ゲームをある程度進めてから改めてアニメ本編を見てみたのだが,両者は見事なまでにシンクロしている印象だ。
アニメ版から切り出されたムービーによって物語が描かれている。セリフはフルボイスだ | |
ゲーム中のCGキャラクターを使ったイベントシーンも。アニメとはひと味違った表現で面白い | |
映像で表現されていないシーンは,ゲームプレイ中の音声として流される演出もある |
もちろんアニメ版は未放映のものも含め25話もあるので,細かな描写が省かれているところもあるが,ストーリーを把握できるシーンはほとんどカバーされ,セリフなどもまったく同じものが収録されている。アニメ版の内容を把握していると,プレイの感動は倍増だ。
原作を知らないという人でも,本作をきっかけにアルスラーン戦記の世界に入っていける。アニメを見るかゲームを遊ぶか,どちらが先でもいいので両方に触れることで,アルスラーン戦記の物語をより深く知ることができるだろう。ゲームの発売日にはアニメは完結しているはずなので,終盤が一体どこまでフォローされているのかも気になるところだ。
無双シリーズにマッチした,アルスラーン戦記の世界観
ゲーム本編は,大勢の敵を一騎当千で蹴散らしていく爽快なアクションと,リアルタイムに変わっていく戦況をどう攻略していくかという戦略性を備えた,これまでの無双シリーズの基本システムを踏襲している。
少年時代のアルスラーンの稽古シーンはチュートリアルになっている。このときに使った2種類の武器は,ゲーム中で切り替え可能だ | |
シーンによって変わる戦場で,迫り来る敵軍勢を相手にしながら,マップに示された目標を目指すのだ | |
キャラクターによって装備している武器や攻撃方法が変わる。複数の武器を装備している者は,方向キーで変更可能だ |
ストーリーはアニメ版のカットシーンやムービー,さらにゲーム中のCGキャラクターを使ったシーンで展開され,戦闘シーンはアクションゲームで再現されている。
アニメのように各話で区切られてはおらず,リザルトも別画面ではなくプレイ画面の途中に表示され,さらにカットシーンの進行中にローディングが行われる。全編シームレスな進行のため,プレイ中はゲームというよりも1本の長編アニメを見ているような感覚で,止めどころがなかなか見つからないという心憎い仕様でもあった。
アルスラーン戦記の世界観をある程度把握した上でゲームをプレイしてみると,これまで出なかったのが不思議と思うぐらい,無双シリーズのゲームシステムにマッチしていることが分かる。大軍で現れるルシタニア兵を,登場キャラクター達が一騎当千のもと蹴散らしていく様子は,アニメでも実際に見られたシーンだ。また戦場において複数の武将の戦いを順を追って進めていく展開や,攻略する時間によって戦況が刻々と変わっていくなど,おなじみのシステムももちろん健在で,これらはストーリーに沿った形で,ゲームの随所に採用されている。
ゲーム中に入手する「スキルカード」を装備することで,そのキャラクターを強化できる。カード自体も「錬成」によって強化可能だ |
武器を使い込むと熟練度が上がり武器の「武芸録」が入手できる。武芸録が増えると,属性の付いた攻撃をくり出せるようになる |
一騎当千のアクションだけでなく,原作にある「大軍対大軍」の描写をゲーム上で再現するために,本作には「マルダーンラッシュ」というシステムが新たに導入された。
これは戦況によって戦場に現れる「ヒートエリア」でR2ボタンを押すと発生し,その場から一定時間大軍を率いて,敵の大軍や強固な障害物などを一気に蹴散らすことができるというアクションだ。
マルダーンラッシュにはゲージで表示された制限時間があり,この間に戦場の青く表示されたフィニッシュエリアに入ることで,障害物の破壊や敵の撃破など,目標に対してのフィニッシュの演出が入るようになっている。
マルダーンラッシュは戦況によって率いる兵種が変わり,特性もそれぞれ違っている。例えば騎兵ならば戦場を高速で移動でき,□ボタンで突進が可能で,その半面,方向転換がしづらいという欠点もある。歩兵は騎兵よりもスピードが遅いぶん縦横に動きやすく,□ボタンで前方に遠距離攻撃をくり出せる。弓兵の場合はほかの2兵種とは挙動が異なり,部隊は動かないまま特定の場所に□ボタンで大量の矢を放ち,障害物などを破壊できるといった具合だ。とくに騎兵や歩兵によるマルダーンラッシュは爽快で,操作していて気持ちがいいのはもちろん,アルスラーン戦記の戦闘シーンを違和感なく再現している。今後ほかの無双シリーズに投入しても楽しめそうな要素だ。
マルダーンラッシュが発動すると,目標地点である場所にフィニッシュエリアが現れる。制限時間前にここにたどり着けないとやり直しとなる | |
弓兵のマルダーンラッシュは,左スティックで矢を射る場所を指定し,目標地点の障害物などを破壊する |
ゲームモードはストーリーを追う「ストーリーモード」のほかに,それまで戦ったシナリオに好きなキャラクターで挑んで,キャラクターの成長や記録への挑戦を楽しむ「フリーモード」,これらのモードをオンラインのプレイヤーと一緒に遊べる「オンラインモード」が用意されている。
さらにゲームに登場したキャラクターや用語を閲覧できる「辞典」や,ゲーム中のムービーなどを再生する「ギャラリー」などもあるので,アルスラーン戦記の世界観を補完するためのデータベースとしても価値のある作品だ。
ギャラリーモードでは,プレイヤーキャラクターのデータや,ストーリーモードで流れたムービーやイベントを見られる | |
ゲーム中での,分からない用語や人名などが出てきたときは,この辞典モードで調べるといいだろう |
筆者がプレイした範囲でも,ゲームとしてのボリュームは申し分なく,一番低い難度を選べば,アクションゲームが苦手なプレイヤーでも,ボタンの連打だけで進められそうな感触だったので,無双シリーズのシステム自体がよほど苦手という人でもなければ,十分に楽しめる内容だろう。
筆者も今回のプレイでアルスラーン戦記に触れるいい機会を得て,このあと終盤を迎えるアニメとゲームがどのようにシンクロしているのか,大いに楽しみにしている。
東京ゲームショウ2015のコーエーテクモゲームスのブースには,本作がプレイアブル出展されることが発表されている。来場する予定の人はぜひプレイしてみて,マルダーンラッシュの迫力を体験してほしい。
「アルスラーン戦記×無双」公式サイト
- 関連タイトル:
アルスラーン戦記×無双
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アルスラーン戦記×無双
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(C)2015 荒川弘・田中芳樹・講談社/「アルスラーン戦記」製作委員会・MBS
(C)2015 コーエーテクモゲームス
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