［E3 2016］「KINGDOM HEARTS HD 2.8」のE3版デモをプレイ。来たるべき「III」への期待がさらに高まった

　スクウェア・エニックスのアクションRPG「KINGDOM HEARTS」（以下，KH）シリーズの最新作となる「KINGDOM HEARTS HD 2.8 Final Chapter Prologue」が2016年12月に発売となる。

　本作は，2012年にリリースされたニンテンドー3DS向けタイトルのリマスター版「KINGDOM HEARTS Dream Drop Distance HD」，新規タイトル「KINGDOM HEARTS 0.2 Birth by Sleep - A Fragmentary Passage-」，新規映像作品「KINGDOM HEARTS χ Back Cover」の3本を収録するタイトルだ。

　米国のロサンゼルスで開催されているE3 2016には，本作のプレイアブルデモが出展されているが，4Gamerはそれを事前にプレイする機会を得た。シリーズのナンバリング最新作となる「KINGDOM HEARTS III」（PS4 / Xbox One。以下，KH3）への布石にもなっているという本作のプレイフィールをレポートしよう。

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　E3出展バージョンは，収録3タイトルのうち，「0.2 Birth by Sleep」が1モード，「Dream Drop Distance HD」が3モード選べるようになっていた。字幕と音声は英語だったが，国内向けの製品ではどちらも日本語になる。

　最初にプレイしたのは，「0.2 Birth by Sleep」だ。こちらはPSP向けにリリースされた「KINGDOM HEARTS Birth by Sleep FINAL MIX」から続く物語で，闇の世界に落とされたアクアの姿を描いている。

　プレイを始めると，アクアの前にシンデレラ城が現れる。闇の世界になぜシンデレラ城があるのか，アクアが訝（いぶか）しみながらそこへ続く橋を渡ろうとすると，突如，塔にある時計が早送りになり，橋が崩れてしまう。
　困ったアクアだったが，そばにあった光る歯車のようなオブジェクトをキーブレードで破壊すると，時計の針が戻り，橋の一部も元に戻った。どうやらこの世界にあるすべての歯車を探し出して破壊し，橋を渡ることが今回の目的のようだ。


　このオープニングシーンから，グラフィックスの美しさには驚かされた。闇の世界は，“大地が引き裂かれるような天変地異のさなかに時間が止まった”とでも表現したくなるような場所で，大地の破片や建物が宙に浮いているのだが，それが街灯にぼんやりと照らされて，画面に深い奥行きを作り出している。アクアのルックスも，グラフィックスの質感やライティングのせいか，「Birth by Sleep FINAL MIX」のときより少し大人びているように感じられた。全体的には，これまでのKHシリーズの雰囲気を残しつつも，洗練された印象のグラフィックスだ。


　フィールドは崩壊途中の街が迷路のように連なった構成になっている。一見袋小路のように見えても，街灯などの上を跳んでいくと先へ進めることもあるので，周りをよく観察する必要があるのだ。
　宙に浮かんでいる小さい足場を渡っていかなければならないところもあり，ここで足を踏み外すと下へ落ちてやりなおし，ということになる。トラップというわけではないが，KHシリーズらしい，探索し甲斐のあるフィールドだ。

　バトルは非常に軽快で，アクション自体が気持ちいい。北米向けだけに決定ボタンが［×］になっているという若干の違いはあったが，方向キーでコマンドを切り替えながら，ボタンで攻撃を繰り出すシステムはKHシリーズおなじみのもの。魔法によるコンビネーションや「スタイルチェンジ」なども健在だが，「デッキコマンド」のようなコマンドの入れ替えはできなかった。


　そしてもう一つ印象的だったのは，サウンドだ。フィールドBGMはピアノが主旋律で闇の世界に合った静かな曲だが，それが一転して緊迫感のあるバトルBGMへと移ると，筆者のテンションも一気に上がった。

　さて，無事すべての歯車を破壊して，橋をかけるとボスが登場。無数のハートレス達が柱状の塊になって，うごめきながらアクアに襲いかかってくる様は圧巻だ。そのボスを倒すと，アクアの前にテラが現れるが，アクアの名前を呼んだだけで姿を消してしまう。淋しさを湛えつつ，何かを決意したようなアクアの表情でデモは終了となった。


　この「0.2 Birth by Sleep」は「KH3」と同じUnreal Engine 4を使って開発されており，グラフィックスや演出などは同作とかなり近いものになっているそうだ。また，ストーリー的にも直接つながっているとのことなので，闇の世界でアクアがどうなるのか，そしてディズニーキャラクターが物語にどう関わってくるのかなどを，「KH3」のプロローグとして楽しんでほしい。

　そしてもう1つのタイトル「Dream Drop Distance HD」では，ソラでプレイする「Traverse Town」（「すばらしきこのせかい」の世界），リクでプレイする「La Cite des Cloches」（「ノートルダムの鐘」の世界）と「The Grid」（「トロン：レガシー」の世界）の計3つの世界をプレイできた。

　グラフィックスは，幻想的な雰囲気だった「0.2 Birth by Sleep」とは一転し，色鮮やかでメリハリの効いた印象で，従来のシリーズ作品の表現に近い。高解像度化されただけでなく，描画も60fpsとなっているので，スクリーンショットで見るよりも，実際にプレイしたほうが，その進化ぶりをはっきりと感じられるだろう。


　操作方法は，「0.2 Birth by Sleep」と同じく［×］が決定ボタンになっている北米向け仕様や，そのときにいる世界に応じたさまざまなアクションが行える「リアリティシフト」のタッチスクリーンによる操作が右スティックに割り当てられている点を除けば，基本的にニンテンドー3DS版と同様だ。

　お供に連れた「ドリームイーター」との共闘や，レールやポールといった特定の場所で特殊アクションが繰り出せる「フリーフローアクション」などは，大画面になったせいもあってか，かなり派手に感じられた。


　プレイした3つの世界の全てにボスが登場したが，中でも「Traverse Town」の「ハコザル」にはかなり苦労させられ，3度ほどやり直すことになってしまった。かわいいグラフィックスとは対照的に，意外と骨があるゲーム性はやはりKHシリーズと感じさせられたので，製品版ではもう少しじっくりと挑んでみたいと思っている。3DS版でプレイ済みの人も，その進化には新鮮な印象を受けるはずなので，ぜひ再プレイしてもらいたい。


　イベント用のプレイアブルデモとしては非常にリッチな内容だった今回のE3バージョン。PS4初のKHシリーズ作品ということで，特に「0.2 Birth by Sleep」には確かな進化が感じられ，「KH3」への期待がさらに高まった。国内での試遊機会は9月の東京ゲームショウになるとのことなので，シリーズのファンは楽しみに待っていてほしい。

映像作品ということで，今回のプレイアブルデモには収録されなかった「KINGDOM HEARTS χ Back Cover」では，「KINGDOM HEARTSχ」「KINGDOM HEARTS Unchainedχ」の裏側で起きていた予知者達の物語が描かれる

「KINGDOM HEARTS HD 2.8 Final Chapter Prologue」公式サイト