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[TGS 2017]「Detroit Become Human」の開発者セッションレポート。プレイヤーの選択によって左右される物語の展開が解説
本作の舞台は今から20年後,人間と見分けがつかないほどに進化したアンドロイドが普及しているミシガン州デトロイト。アンドロイドは知能レベルも高く,人間の代わりにさまざまな仕事に従事している。
また,アンドロイドには厳しい規則があり,好きなところにどこでも行けるわけではなく,アンドロイドであることが分かるような服装やサインが義務付けられている。人間はアンドロイドのおかげで単純作業から解放された一方,仕事を奪われた人々の反感を買うという側面も生まれている状況だ
人間に従順であることをプログラムされているはずのアンドロイドだが,その中には“感情”があるかのように行動し,問題を起こすものが出てきた。そんな彼らは「変異体」と呼ばれている。
本作の主人公は3体のアンドロイドだ。プレイヤーは3つの異なる視点から,物語を体験していくことになる。
その一人,「コナー」は変異体となったアンドロイドを調査するために製造された特別なプロトタイプで,ハンター(捜査官)でもある。彼のエピソードは「こちら」の試遊レポートでお伝えているので,ぜひ一読してほしい。
女性型の「カーラ」は,本作の物語の源と言える存在だという。ちなみに,2012年に発表された「“Kara” by Quantic Dream」という映像作品にも登場している。
そして,3人めの「マーカス」は自身の所有者から逃亡し,変異体のグループに加わっている。彼らは人類に対して「アンドロイドは物ではなく,生命である」というメッセージを送ろうとしている。
今回のセッションでは,彼のエピソードの一部を2回プレイすることで,主人公の選択や行動が物語の展開にどう影響を与え,異なる体験に変わっていくのかが紹介された。こうした影響は,ほかの主人公の物語にも及ぶという。
デトロイトの中心部に向かうマーカスと仲間のノース,その目的はショップで売られているアンドロイド達の解放だ。
マーカスには特別な能力が秘められている。それはほかのアンドロイドに接触することで,相手を変異体に変えるというものだ。1回目のプレイでは,地下ネットワークが露出している場所を見つけて,作業中のアンドロイドを変異体に変えることで,ショップの警備システムを解除。これで安心して侵入できる。
と思いきや,屋外を周回している警備ドローンに通報されてしまい,それどころではなくなる。いったん逃げるか,恋人のふりをしてやりすごすか,いくつかの選択肢が表示された。
ここでGuillaume氏は「逃げる」ことを選択。マーカス達は無事だったが,アンドロイドの解放には失敗してしまった。これは,このシーンにおける結末の1つであり,のちの物語に影響を与えるが,ゲームオーバーではない。
また,選択によっては主人公が死ぬこともあるという。そして,その場合も物語が進行していくとのことだ。
さて,2回目のプレイでは警備ドローンの無力化を試みることに。周回ルートを分析し,起こりうる状況をシミュレートすると,ある地点から飛びかかれば警備ドローンを撃墜できることが分かった。未来を正確にシミュレートする能力も,マーカスの特別な能力である。
ドローンを破壊したあとは,トラックに乗り込んでショップの正面入り口から突入。今回は警備システムを無効化しているので通報される恐れはないが,警備システムが生きている状態でも同様のアプローチが可能とのこと。もちろん,その場合は異なる展開が待っている。
ショップのアンドロイドを次々と変異体に変えたマーカスは,彼らを引き連れて街中に人間へのメッセージを記していく。「アンドロイドは物ではなく,生命である」と。
E3 2017のトレイラーにも同じシーンが収録されているが,こちらは火炎瓶を放ったり,ショーウインドウを破壊したりと暴力的な行動を取っている。
しかし今回,Guillaume氏はどちらかと言えば平和的(PACIFIST)な行動を選んだときの展開を見せてくれた。もしマーカスが暴力的(VIOLENT)な行動を選択すれば,仲間もそれに追随して,物語の展開に影響が及ぶ。当然,平和的な行動であったときも同様だ。
暴力的(または平和的)な行動を取り続けると,後戻りできなくなるかもしれず,選択は慎重に決めないとマーカスでもコントロールできない状況に陥る可能性があるとGuillaume氏は説明した。
繰り返しになるが,マーカスの選択や行動は物語の展開を左右し,コナーやカーラ,そしてデトロイト全体の運命にも影響を及ぼしていく。3人の主人公が出会って友情を育むかもしれないし,まったく関係を持たないかもしれない。それさえも物語の分岐次第となる。
本作には250人以上のキャラクターが登場するが,1回のプレイで出会うのはその一部でしかなく,それぞれの生死もさまざま。そのすべてがプレイヤーの選択の結果となる。Guillaume氏は「プレイヤーには,そのシーンの主人公になってもらう」と語っていた。
プレゼンテーションの終了後,質疑応答の機会も設けられた。
「なぜデトロイトを舞台にしたのか」と尋ねられたGuillaume氏は,大規模な製造業にふさわしい都市を探しているうちに,デトロイトの歴史に興味を引かれたと述べる。過去に自動車産業で発展を遂げるも,その後は衰退し,そこからの再生を目指して努力している。その姿に,「将来的にアンドロイド製造業が発展していく都市像」を重ね見ているのだ。
また,カーラの情報はあまり明らかになっていないが,マーカスともコナーとも違う特別な能力を持っているという。そして,主人公である3人のアンドロイドはそれぞれ異なる目的のために製造されているようだ。
ちなみに,最初はもっと多くの主人公を想定してシナリオを書き始めたが,そこから,より特徴的なアンドロイドに絞る形で,現在の3人の主人公になったという。
これは,クリエイティブディレクターであるDavid Cage氏の制作スタイルで,実際,開発過程から製品版に至るまでには,15〜20%ほどのシーンが削られている。開発を進めるうえで,よりクオリティの高い物語にするために試行錯誤し,ベストな形になるよう要素やボリュームを絞っていくそうだ。
そして,本作の特徴と言える「多彩な物語の分岐」については,正確なパターン数は答えられないものの,すべての分岐が正しく機能しているかをチェックするために特別なシステムを用意しなければならなかったほど。テキストのボリュームは「Beyond: Two Souls」の2倍以上になっている。
エンディングの種類もかなりの数があるが,その過程でどんなキャラクターに出会い,どんな体験をするのかはプレイヤー次第。Guillaume氏は「エンディングの種類よりも多くの“体験”が存在」し,さらに「もし同じ結末を迎えても,そこに至るまでの選択や決断,出会ったキャラクターが違えば,プレイヤーには異なる感情が生まれるでしょう」と語っていた。
「Detroit Become Human」公式サイト
- 関連タイトル:
Detroit: Become Human
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(C)2018 Sony Interactive Entertainment Europe. Developed by Quantic Dream.
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