プレイレポート
「蒼き革命のヴァルキュリア」序盤のプレイインプレッションを掲載。感情移入できるバトルと重厚な物語が展開する意欲的な新作RPG
今回は,序盤のプレイインプレッションをお届けしよう。
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「蒼き革命のヴァルキュリア」公式サイト
ヴァルキュリアプロジェクトの新規タイトルは“死に抗うRPG”
2008年に第1作が登場した「戦場のヴァルキュリア」シリーズは,ターン制ストラテジーの戦略性とアクション性が融合したバトルシステム「BLiTZ(ブリッツ)」が特徴のシミュレーションRPGだった。対して,“ヴァルキュリアプロジェクト”の新作タイトルとなる「蒼き革命のヴァルキュリア」は,「戦場」シリーズの続編ではなく,新たに「LeGION(レギオン)」と名づけられたバトルシステムが導入されている。
「LeGION」はアクションRPGをベースにしつつ,戦況や兵士の感情といった要素を加えることで,大軍に少数部隊が挑む戦いを表現するというものだ。当然,「BLiTZ」とはまったく異なり,ストーリーに目を向けてみても完全に独立している。
物語の舞台は,「西暦」ならぬ「聖暦」という歴史を紡ぐ架空のヨーロッパ。この世界では不思議な力を持つ蒼い鉱石「ラグナイト」が産出されていた。
かつては特別な者のみが咒術(魔法のような力)を引き出せたラグナイトだが,産業革命により誰にでも扱えるようになったことで,国々がラグナイトを奪い合う戦争へと突入。超常的な力を持つ「ヴァルキュリア」を擁する「ルーシ帝国」は,着実に版図を広げていた。
そんな時代に小国「ユトランド」が帝国に対して宣戦を布告した。復讐に燃えるユトランドの青年将校・アムレートは,アンチ・ヴァルキュリア部隊「ヴァナルガンド」を率いて解放戦争に身を投じていく。
「蒼き革命のヴァルキュリア」の物語は,“後の世からアムレート達の戦いを振り返る”という視点で進んでいく。つまり,解放戦争の結果やアムレート達の運命はすでに決しており,それは“ユトランドは独立を果たしたが,アムレートは戦争を煽り立てた「大罪人」の1人として処刑される”というショッキングなものである。
もちろん,これはネタバレではなく,ゲームの開始直後に明かされる情報だ。しかし,「なぜ大罪人はユトランドを戦争に巻き込んだのか」という謎が残されている。プレイヤーはアムレートとして解放戦争を戦いながら,ある時は後世の歴史学者・リシェールの証言により,歴史の真実へと近づいていくことになる。
現代戦のエッセンスを加えたバトルシステム「LeGION」
接近戦用の「咒構武器」,魔法のような「咒術」,そしてライフルやグレネードといった「サイドアーム」を加えた独特のバトルシステム,それが「LeGION」である。言い換えるなら,“剣と魔法と銃の戦い”だ。
咒構武器は剣や槍といった中世的な武器のことで,使用回数に制限はないが自分の周囲にしか攻撃が届かない。
一方,咒術は回復や攻撃,支援など,さまざまな効果を発揮するものが存在し,咒術に応じたラグナイトを手に入れる必要がある。また,「RP(ラグナイトポイント)」ゲージを消費するため,無制限に使えるわけではない。
近代的な武器であるサイドアームは遠距離攻撃が可能だが,弾薬の数が少ないのが特徴だ。
ヴァナルガンドに属する兵士は,4種類の「兵科」に分かれており,攻撃力に優れた「突撃兵」,移動速度が速く手数の多い「偵察兵」,咒術や回復に優れた「支援兵」,防御力が高い「装甲兵」といったように特徴が異なる。
ミッションに出撃する部隊は,最大4人で編成することになるが,操作キャラクターはいつでも切り替えられる。突撃兵を操作してゴリゴリと攻めることもできれば,支援兵で仲間をフォローする,装甲兵で敵の攻撃を引きつけるといった戦い方も可能だ。
もちろんミッションをクリアすれば経験値が手に入り,一定値に達するとレベルアップしてキャラクターを強化できる。
咒構武器で攻撃したり,咒術や銃を使ったりするには,「行動ゲージ」が必要となる。シミュレーションゲームを思わせる要素ではあるが,行動ゲージは時間経過によってすぐに回復するため,バトルはテンポよく進行する。
また,実際にキャラクターを操作することになるので,アクション性はそれなりに高い。とはいえ,咒術やサイドアームを選択するときに「バトルパレット」を呼び出すと,時間の流れが止まり,じっくりと状況を分析する余裕が生まれる。これなら,アクションゲームが苦手な人も安心だろう。
ミッションの終盤に待ち構えているボス戦にも趣向が凝らされている。
たとえば,巨大兵器「戦闘咒機」に対しては脚部や武器を破壊することで,一時的に動きを封じたり,攻撃不能にさせたりすることが重要だ。また,咒術で強化された人間「咒体」との戦いでは,さまざまな咒術に対応する判断力が求められる。
ミッションは基本的にはサクサク進むが,要所ではしっかりと戦術やテクニックが欠かせないという印象だ。
LeGIONには,さまざまな形で戦場のエッセンスが取り入れられている。なかでも特徴的なものが「感情」だ。
敵味方を問わず,戦場に立つすべてのキャラクターに感情があり,戦況に応じてバフやデバフが発生する。「驚き」の感情を持ったキャラクターは防御力が低下し,ダウン時間が増加。「焦り」の場合は命中率や移動速度が落ち,「恐怖」に支配されると逃げ出してしまうといった具合だ。
たとえば,「驚き」の発生条件は奇襲を受けたり,一撃で大ダメージを与えられたりすること。また,「焦り」は部隊のリーダーが倒されたときに起こりやすい。こうした感情の発生を狙って,リーダーを率先して狙撃すると優位に立てるというわけだ。威力は低いが,感情を起こしやすいといった武器もあり,戦術の幅は広い。
感情の存在によって,敵兵の人間らしさが際立つだけでなく,戦場での立ち回りにも影響を与える点が面白いところだ。
もちろん,味方のキャラクターにも感情が発生する。仲間が倒されると「怒り」によって,攻撃力は上がるものの防御力が低下。敵の攻撃を受け続けると「決意」が発動し,防御力の上昇やひるみにくくなるといった効果が得られる。
プレイヤー自身の心の動きとシンクロしており,キャラクターとの一体感が高まる要素でもある。
戦場となるフィールドには,広い草原から建物の並ぶ市街地や基地など,さまざまなロケーションが存在する。数的優位を誇る敵の軍勢に対抗するには,地形をうまく利用することも重要だ。
たとえば,土嚢や壁の陰に身を隠せば,銃撃のダメージを軽減できるうえにライフが回復していく。「蒼き革命のヴァルキュリア」では一部のキャラクターを除き,死んだ者は生き返らない。無策で強引な戦いは禁物だ。
敵の拠点には多数の敵が控えているが,制圧できればサイドアームの弾薬を補充できる。厳しい戦いを避けるか,それとも制圧するのか。こうした判断も重要になる。
無数の銃弾をかいくぐりながら,土嚢から土嚢へと身を隠し,拠点を巡って戦う。こうなると,まるでTPSを遊んでいるような気分も味わえる。ミリタリーのエッセンスとアクション性が絶妙に融合しているようだ。
歴史の闇に迫る重厚な物語
独特なバトルシステムに慣れると,同時にストーリーの重厚さにも惹かれた。
アムレートをはじめ,スレイマン,バジル,フリート,バイオレットという,のちに「大罪人」と呼ばれる5人は世論を巧みに操り,小国を戦争へと導いた。議員のスレイマンが開戦論を唱え,武器業者のバジルが戦費や装備を調達し,人気コラムニストのフリートが世論を煽り,軍情報部のバイオレットが諜報活動を行う。そして,アムレートが戦場の最前線で帝国軍に立ち向かう。
ミッションの合間にはユトランドの「王都」を移動できるのだが,そこにはアムレート達の思惑どおりに戦争を賛美する市民の姿が見られる。歴史の表も裏も見ているプレイヤーにとっては,複雑な気持ちになる場面のはずだ。
激しい戦いの末,ユトランドは帝国の圧力から解放された。だが,主人公達は救国の英雄なのか,それとも本当に“大罪人”なのか。さらに孤独な復讐鬼・アムレートと歌姫・オフィーリアの関係はどうなるのか。
歴史の闇に迫っていく物語は,さまざまな謎が解き明かされる物語でもある。ぜひ自らの目と手で真実を明らかにしてほしい。
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