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名作アクションRPG「System Shock」シリーズの最新作が登場か。「System Shock 3」のものと思われるサイトがオープン
現在,公開時とはデザインが変更されて「System Shock 3」の文字はなくなり,新たにカウントダウンが進行している。終了は5日後だ。サイトをオープンしたOtherSide Entertainmentは,「System Shock」を制作したLooking Glass Technologiesの設立者で,同作のゲームデザインにも携わったポール・ニューラス(Paul Neurath)氏が新たに設立したデベロッパで,それだけに欧米ゲーマーの期待は高まっている。
「System Shock 3」ティザーサイト
1994年にリリースされた「System Shock」は,3Dグラフィックス黎明期に多数登場した一人称視点のアクションRPGで,同時期の作品で同じ一人称視点の「DOOM」や「Quake」が爽快なシューティングをセールスポイントにしていたのに対して,「System Shock」は,考えてプレイすることを重視した作品だった。
「3Dといえば撃ちまくり」という当時の雰囲気から,本作がどのようなタイプのゲームなのか,プレイヤーやメディアから理解されにくく,必ずしも大きなセールスには結びつかなかったものの,「Thief」や「Deus Ex」,さらには「Half-Life」や「Fallout 3」のような,その後の作品に大きな影響を与えている。
連載記事「奥谷海人のAccess Accepted」の第413回「Irrational GamesとLooking Glass」で詳しく紹介したとおり,続編となる「System Shock 2」は,Looking Glass Technologiesの経営悪化によってリストラされた若手ゲーム開発者達に,ニューラス氏が依頼するという形で開発が行われた。その中の1人が,のちに「BioShock」で大成功を収めることになるケン・レヴィン(Ken Levine)氏だ。レヴィン氏らは,そのチャンスをうまくつかみ,1999年にリリースされた「System Shock 2」を前作以上のヒット作に仕上げた。
OtherSide Entertainmentはニューラス氏らが2014年に設立したスタジオで,現在は「Ultima Underworld」の精神的後継作になるという一人称視点のRPG「Underworld Ascendant」の制作を続けている。「System Shock」の知的財産権は現在,「System Shock」のリメイク版を開発しているNight Dive Studiosというメーカーが保有しているため,「System Shock 3」については,同社の了解が必要だ。今回のティザーサイトが「System Shock」シリーズの最新作だとすれば,この2社の間で何らかの契約が結ばれたものと思われる。
ちなみにOtherSide Entertainmentには,ニューラス氏のほかに「System Shock」オリジナル版のアートディレクターだったネイト・ウェルズ(Nate Wells)氏や,デザインチームに在籍していたティム・ステルマック(Tim Stellmach)氏などが参加している。また,リメイク版を制作しているNight Dive Studiosは,オリジナル版のコンセプトアートを担当したロバート・ウォーターズ(Robert Waters)氏を開発チームに招いたとのことだ。
「System Shock」は,2072年の未来を背景に,宇宙ステーションCitadelで起きる事件が描かれる。主人公はコンピュータにハッキングできるオーグメンテーションを脳に埋め込み,そのリハビリのために冷却装置で睡眠状態にあったハッカーだ。半年の療養期間を経て目が覚めた彼は,宇宙ステーションが人工知能「SHODAN」に乗っ取られ,乗組員達がミュータントやサイボーグに変えられたいることに気がつくという,サイバーパンク風の世界観が特徴になっている。
残された音声データなどから事件の背景が次第に分かってくるという仕掛けは,ストーリーの広がりを感じさせる方法として,現在でも多くのゲームで使われている。
続編である「System Shock 2」は,22世紀に時代が移り,前作と同じ脳神経手術を行った兵士が,高速宇宙船を乗っ取ろうとしたSHODANと戦う,という物語になっていた。いかにも続編がありそうなエンディングだったが,複雑な権利関係などの理由もあり,現在までリバイバルされることはなかった。果たして,カウントダウン終了後,どのような情報が公開されるのだろうか。
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System Shock 3
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