プレイレポート
「ソウル・オブ・エデン」ファーストインプレッション。Rayarkが4年以上の歳月を掛けて開発したRTS×DCGのミックス作品
本作を手がけたRayarkは台湾のゲームメーカーで,すでに「DEEMO」(iOS / Android)や「Cytus」(iOS / Android)といったリズムゲームでヒット作を生み出している会社なので,本作のクオリティにも大いに期待がかかるところである。4Gamerではリリース前にプレイする機会を得たので,ファーストインプレッションをお届けしよう。
「ソウル・オブ・エデン」公式サイト
デッキ構築はDCG的。4陣営,30枚のカードで繰り広げられるバトル
「ソウル・オブ・エデン」では,4分間の制限時間の中で,対戦相手との1vs1のバトルが行われる。カードを使うためのコストとなる「ソウル」を用いることでユニットを出し合い,制限時間内にお互いの陣地の最奥に陣取る「守護者」を撃破したプレイヤーが勝利する。いわゆる「クラッシュ・ロワイヤル」(iOS / Android。以下,クラロワ)系統のゲームではあるが,撃破する対象が3つのタワーではなく1人の守護者であるほか,守護者が専用の必殺技となる「スキル」を使えたり,8枚ではなく30枚のデッキを使用して戦うという点は大きく異なっている。
デッキ構築についても,4つの陣営の中から使う陣営をまず1つ選ぶという形式で,使う陣営によってデッキに組み込めるカードも変わってくる。このあたりは,どちらかというとDCGのデッキ構築に近く,DCGプレイヤーへの親和性が高いシステムという印象だ。カードの効果には「敵ユニットのコントロールを奪う」といったようなトリッキーな効果もあり,既存のRTSと比べると要素もかなりDCGに寄っているタイトルと言える。
カードの種類も130種類以上と,RTSにしてはかなり多く,多種多様なデッキ構築でRTSを楽しめるのが本作の特徴。クラロワなどのRTSタイトルをこれまでプレイしてきたプレイヤーはもちろん,ハースストーンやシャドウバースなどのDCGをプレイしてきた人に対してもオススメしやすいタイトルだ。
「共和国」「異種」「獣族」「帝国」の4大陣営はいずれも強烈な個性を持つ
さて,デッキを組む際に選択する陣営についても触れておきたい。陣営は「共和国」「異種」「獣族」「帝国」の4大陣営に分かれており,最初は「共和国」しか使用することができないが,ゲームをプレイしてトロフィーを集めていくと,「異種」→「獣族」→「帝国」の順に扱える勢力が開放されていく。陣営ごとに「守護者」の性能も異なり,使用できる「スキル」も異なるものが用意されている。
また,使えるカードについては,各陣営の専用カードのほか,「共和国」&「異種」の2陣営で使える中立カード,「獣族」&「帝国」の2陣営で使える中立カードがあり,さまざまなカードの組み合わせが可能だ。ここでは,各陣営の特徴について簡単に紹介していこう。
・共和国
「共和国」は最初から使用できる陣営で,近未来的な出で立ちの科学技術に長けた集団という設定。最初に使うことになる陣営なだけに,オーソドックスな性能を持つユニットが多く使いやすい。また,ユニットの召喚と同時に効果を発動する「雄叫び」の効果を持つユニットが多いのもこの陣営の特徴だ。
2コストユニットの「マリン隊」は小回りが効く使いやすいユニットで,このユニットとHPの高い壁役の組み合わせで攻勢を仕掛けていきたい。他にも遠距離攻撃に長けたユニットが多いので,壁役+遠距離攻撃ユニットのコンボを有効に活用するのが,この陣営を上手く使っていくコツとなる。他の陣営を使う時にも,壁役を用いたコンボを使うことが多いので,まずはこの陣営で覚えておこう。
他にも,範囲攻撃魔法の「一斉掃射」も,敵を一掃するのに非常に有用。小型の敵ユニット集団が出てきたところに合わせて打つことで,相手を一網打尽にできる強力なカウンターとなるので,チャンスがあれば狙っていこう。
・異種
グロテスクな見た目が特徴の「異種」には,全体的にトリッキーな効果を持つユニットが多い。敵のコントロールを奪ったり,弱体化,体力吸収といったDCG的な効果が最も多いのもこの勢力だ。敵に攻撃を当てることで弱体化などが発動する「命中」を持ったユニットも複数いる。
5コストユニットの「マゴットクイーン」は攻撃した敵ユニットを倒すことで「マゴット」を3体生み出す能力を持つ小型ユニットキラー。HPが少ない小型ユニットの集団に「マゴットクイーン」をぶつけることで,敵を倒しながら味方ユニットを生み出し続けることができるという強力なユニットだ。本人はそれほど耐久力が高くないので,壁役のユニットをお供に付けていきたいところ。
「ヒルのすみか」「ラーヴァクイーン」のように一定時間新たなユニットを生み出し続ける建築物タイプのユニットもいるので,有効に活用していきたい。建築物は敵の攻撃を受けても破壊されなければコスト効率が高くなるので,これらを建てて敵の攻勢を誘うような,受けの戦略を組むことも可能だ。
・獣族
その名の通り,獣たちで構成された「獣族」は,屈強な肉体を生かした肉弾戦が得意。HPが50%以下になるとユニットが強化される「狂暴」の効果を持つユニットが多いのも特徴だ。また,「守護者」の固有スキルをはじめ,回復を用いることにも長けている。
「キョウタチ」は獣族の代表的なユニットの1つで,耐久力はそれほどでもないが,素早い動きで一気に敵ユニットに迫ることができる特性を持つ。また,HPが50%以下になると「狂暴」の効果で攻撃速度が2倍となるのも強力だ。用いる時は,できるだけ「狂暴」の効果を長く活かしたいので,持続的な回復効果を与えるカードとのコンボにすると,より「キョウタチ」の長所を活かすことができる。
「ラービ」のような,他の敵ユニットには目もくれず,素早い足で一心不乱に敵守護者を狙う攻城ユニットも注目の存在。こちらも「狂暴」持ちで,HPが50%以下の時は攻撃速度が1.5倍になるので,50%以下の状態から回復でサポートしてあげれば,一気に敵守護者のHPを削れる。敵守護者の残りHPが少ない時に,敵がソウルを使った直後のカウンターとして用いると,一気に勝負を決められる強力なユニットだ。
・帝国
「帝国」は最後に開放される陣営で,共和国とは対照的に中世ファンタジー的な雰囲気を感じさせる陣営だ。それもあってか,やや使い方にクセがあるユニットが多い。例えば,この陣営の特徴ともいえる能力「センサー」は,味方ユニットが出たタイミングで発動する能力なので,ユニットを出す順序やタイミングも意識していく必要があるのだ。
かわいい絵柄が目を引く「荒野の魔女」は後衛で範囲攻撃を行える魔法使いらしいユニットで,「センサー」の能力が発動するたびに攻撃力が20%上昇する。一度狙われるとすぐ倒されてしまう貧弱な耐久力だが,長く生き残れば残るほど強力な攻撃を繰り出してくれる。帝国の壁役ユニットである「シールダー」などと共に用いて,しっかりと守りながら運用したいユニットだ。
魔法の扱いに長けた帝国は「変身マンドラ」のような,相手を変身させるトリッキーな魔法も使える。どれだけ強力なユニットも,この魔法で「マンドラ」に変えてしまうことで無力化できるのだ。5コストとコストが高めだが,相手が強力なユニットを出してきた時ほど強力なカウンターとして機能する。
このように,4陣営それぞれに特徴があり,使う陣営によって違った戦い方をすることができる。陣営の使い方はチュートリアル的な役割を持つ「アリーナ」モードで学ぶことができるので,そこで使い方を学びつつ,お気に入りの勢力を探っていくと良いだろう。余談ではあるが,筆者はトリッキーな動きをするカードが多い「異種」がお気に入りで,DCGをよく遊ぶタイプのプレイヤーには特にオススメだ。
レジェンドカードには必殺技を持つユニットも
ここまでカードをいくらか紹介してきたが,このゲームの特徴の1つとして,最高レアリティの「レジェンド」カードはバトル中タップすることで使用できる「アクティブ」スキルを持っているものがある。一度使うとクールダウンのため一定時間使用できないのだが,いずれも強力な効果を持っている必殺技的な存在だ。
例えば,「共和国」のレジェンドカード「フリ」は,範囲攻撃と5秒間のスタン効果を兼ね備えたアクティブスキルを持つ。一度使うとクールダウンの10秒を待たなければならないので使いどころは見極める必要があるが,効果的に用いれば強力なアクティブスキルで相手を蹂躙していくことができる。
アクティブスキルは全てのレジェンドカードが持っているというわけではなく,概ね特定の陣営を代表するカードが持っている。デッキが30枚なのでいつでも好きなタイミングで使えるわけではないが,引いた時は一騎当千の活躍を見せてくれるので,いかに要所でレジェンドカードによるリターンを大きくするのかも勝敗を左右する鍵となるだろう。
多種多様な戦略,駆け引きはやり応え充分。今後にも期待できる良作
ここまでゲーム内容についてざっくりと紹介してきたが,デッキ構築とバトルの両面で多彩な戦略,戦術があり,やり込み甲斐がある良作という感想だった。カードの組み合わせがかなり多いので,ややコアゲーマー向けという印象もあるが,先ほど少し触れた「アリーナ」でユニットの使い方は学べるので,この種のゲームをプレイしたことがない人でも,十分オススメできる。既に実績があるRayark社の新作だけあって,操作面でも非常に快適だった。
基本的には対人のゲームなので,「対人戦はちょっと……」という人には勧めづらい。しかし,逆に対人戦が好きな人には,多種多様なカードによる駆け引きとリアルタイムバトルならではの緊張感を味わえるので,是非プレイしていただきたい作品だ。今後,eスポーツとして盛り上がりに期待できる作品でもあるので,しっかりスタートダッシュを決めておこう。
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