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「ファイアーエムブレム無双」プレイレポート。無双アクションとシミュレーションRPGの融合が,新たな「ファイアーエムブレム」の歴史を作る
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印刷2017/10/31 12:00

プレイレポート

「ファイアーエムブレム無双」プレイレポート。無双アクションとシミュレーションRPGの融合が,新たな「ファイアーエムブレム」の歴史を作る

 コーエーテクモゲームスは,「ファイアーエムブレム無双」Nintendo Switch / New ニンテンドー3DS)を2017年9月28日に発売した。

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 任天堂とインテリジェントシステムズによるシミュレーションRPG「ファイアーエムブレム」(以下,FE)シリーズと,コーエーテクモゲームスの「無双」シリーズがコラボした本作は,オリジナルストーリーが展開するアクションゲーム。4Gamerでは発売前のプレイインプレッションを2回にわたってお届けしてきたが,本稿ではそこで触れられなかった要素なども含めた,総合的なレポートをお届けしよう。発売から少々時間が経ってしまったが,本作が気になっている人はぜひ読んでほしい。なお,今回もプレイしたのはNintendo Switch版だ。

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 本作の物語は,謎の「異界の門」から現れた魔物によって,アイトリス国の王城が陥落するところから始まる。先王の子であるシオンとリアンは,母親の女王より託された「炎の盾」を手に,伝説の英雄達の力を借りて,強大な闇へと立ち向かっていくのだ。

 FEシリーズからは「新・暗黒竜と光の剣」「覚醒」「if」の3作品をメインとしたキャラクターが登場し,バトルを通して主人公達と互いの信頼を得て,アイトリス軍に合流してくるという展開となっている。

2人の主人公シオン(右)とリアン(左)。クラスは「ロード」で共通だが,アクションが若干異なる
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本作オリジナルのキャラクターであるダリオス。アイトリスの隣国グストンの王子で,主人公2人に同行する
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 コーエーテクモゲームスの複数作品がコラボした「無双☆スターズ」などと同様に,オリジナルの主人公を据え,作品ごとの世界からキャラクターが集結してくるという設定だ。
 FEシリーズと直接関係するストーリーではないので,多少好みは分かれるかもしれないが,FEのキャラクター設定はしっかり生かされている。そして,彼らの活躍が引き立つように描かれているので,ファンなら熱くなること間違いなしだ。
 さらに,バトルでの共闘によりキャラクター同士の絆が深まる「絆システム」によって,原作ではあり得なかったキャラクター同士の特別な会話シーンをフルボイスで見られるなど,本作ならではの要素も楽しめる。

王国に伝わる「炎の盾」に,英雄達の中にある「輝石」が収められるシーンはかなり熱い
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ムービーはもちろん,会話シーンもフルボイスなのが嬉しい
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FEシリーズでキャラクターの背景を知っていれば,より感情移入できる
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 こうして登場するキャラクターたちは,各マップで最大4人を操作ユニットとして出撃させられる。ストーリーの関係で出撃ユニットが一部限定されることもあるが,シナリオクリア後はユニット制限なしの「フリーモード」が解放される仕様だ。

 出撃時のユニット選択は,使用武器によって生まれる三すくみの関係など,登場する敵との相性を考えて行うのが定跡だ。とはいえ,本作はアクションゲームなので,ひいきのユニットを優先して使い,相性を腕である程度カバーするようなプレイスタイルも成立する。

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 バトルのシステムはこれまでの記事でもお伝えしたとおり,無双シリーズの爽快なアクションと操作を踏襲しつつ,そこにFEシリーズらしい独自のルールを取り入れている。

 今回,本作をじっくりプレイして面白さを感じたのは,2つの味方ユニットを合体させるようにして強力な1ユニットにする「ダブル」システムだ。これは味方ユニット同士が接近している状態で[ZR]ボタン+[B]ボタンを押すと実行できるもので,操作しているユニットが前衛,もう一方が後衛になる。

 ダブル状態では,マップ上のユニットが物理的に1つ減る一方で,敵のガードを崩す「デュアルアタック」や,敵の攻撃を無効化する「デュアルガード」などが使えるようになり,ユニットが大幅にパワーアップする。
 また,陸上しか移動できないユニットを,ペガサスナイトのような飛行ユニットと組ませて“輸送”するといった使い方も可能だ。

ダブル時は画面左上のユニットアイコンが横に並ぶ。ここでは飛行でしか移動できない場所をティアモがリズとともに移動している
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 今回のプレイで改めて実感したのは,味方ユニットへ出す指示の重要性だ。シミュレーションRPGのFEシリーズとコラボしているだけあって,敵の配置が相性を意識したものになっていたり,マップのところどころで頻繁にミッションが発生したりするので,単体のユニットですべてに対応するのは難しい。逐一指示を入れていくのが基本となる。

 指示を出したユニットは,極端に相性が悪いキャラクターを相手にしない限り,しっかり戦果を出してくれる。しかし,指示した行動を終えた後に意図しない行動をして,いつの間にかピンチに陥いることがあるため,マップには常に気を配っておく必要がある。
 アクションで戦いながら,リアルタイムストラテジーのように複数のユニットへ指示を出す面白さは,無双とFEシリーズがうまく融合した結果,生まれたものだろう。

味方ユニットを選択すると,マップ上の敵ユニットとの相性がアイコンで表示される。これを参考にして指示を出そう
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AIに「おまかせ」もできる(「攻撃重視」「防御重視」といった設定は可能)が,万全を期すなら細かく指示を出すべきだ
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 本作に登場するユニットは原作どおりのクラスで登場し,それぞれが剣,斧,槍,弓,魔導書,マムクートの竜石などを装備しているのだが,正直なところ,クラスと武器には偏りを感じた。
 特に,槍を装備できるアイトリス軍のユニットがペガサスナイト(または天馬武者)のみなのは困った。敵にアーチャーなどがいるマップでは,どうしても起用に不安を感じてしまうのだ。せめてNPCのオボロ(槍術士)が操作ユニットならよかったのだが(武器云々に限らず,個人的にもオボロはユニットとして使いたかった)。

 おそらくこれはFEシリーズのタイトルごとに主要キャラクターをチョイスし,そのイメージを崩さないようにした結果なのだろう。クラスや武器を自由に選べるようにすると,それはそれで面白さが失われるような気もするので,うまくバランスを取るのは難しいとは思うのだが……。
 本作では今後新規ユニットを含めたDLCの配信なども予定されているので,そこでの対応などに期待したいところだ。

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 本作にはシオンとリアンが主人公となる「ストーリーモード」に加えて,FEのシーンを追想していく「ヒストリーモード」が用意されている。セリフによる演出などはあるものの,どちらかといえばバトルが中心のモードだ。

 ヒストリーモードのマップはストーリーモードの5章をクリア以降,順にアンロックされていき,その時点でのアイトリス軍ユニットをそのまま使用できる。
 マップ上に表示されているアイコンからレベルに応じたバトルに挑めて,経験値や武器,素材などがもらえるので,キャラクターや装備を強化したいときにプレイするのもいいだろう。

ストーリーモードとは別のマップとバトルが展開。ユニットはストーリーモードと共通だ
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 無双アクションの爽快さを楽しみつつ,リアルタイムで味方に指示を出し,ときにキャラクターチェンジなども行いながら進軍するシステムにより,ゲーム展開に適度な起伏が生まれ,飽きが来ない。戦略要素がアクションゲームとしての爽快さを削ぐほどではない絶妙なバランスなのも素晴らしい。

 ストーリーモードは全20章で,それだけだと若干少なく感じる人もいるかもしれない。だが,後半にあるキャラクターが敵に回ってからの展開はかなり歯ごたえのある内容で,じっくり楽しめた。それに加えてヒストリーモードもあるので,ボリューム的に不満を感じることはないだろう。今後DLCの配信も控えているので,それらも含めればかなり遊び込めるはずだ。

若干気になったのは,画面右上にあるミニマップの視認性。とくにNintendo Switchの携帯モードやテーブルモードでは,通常時だと小さすぎ,ズームアップすると大きすぎるという印象だった。また,操作キャラ以外の味方ユニットにはドット絵のアイコンが表示されず,どこにいるのかが分かりづらかったので,このあたりの改善にも期待したい
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 本作は,無双とFE双方の特徴をしっかり生かした完成度の高いタイトルで,FEシリーズのファンに限らず,無双シリーズ全般が好きだったり,単純にキャラクターのデザインがいいと感じたりした人にもおすすめできる。FEファンである筆者としては,本作をFEシリーズに触れるきっかけにしてもらえれば嬉しい。

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