プレイレポート
“帝王”高山善廣選手が現実とファイプロをひとまたぎ! 「FIRE PRO WRESTLING WORLD」公式DLCの中身に迫る
高山善廣選手は,195cmもの高身長を武器に,プロレス,総合格闘技,そして芸能界を股にかけて活躍する人物。その巨体と金髪のロングヘア,ダイナミックな戦いぶりで,一度見たら忘れられないインパクトを与えた。とくに,2002年のPRIDE.21でドン・フライ選手と繰り広げた壮絶なド突き合いは,今でも語り草となっている。その恐れ知らずの戦いぶり,そして歯に衣着せぬ毒舌も相まって,いつしか“プロレス界の帝王”と呼ばれるようになった。
しかし高山選手は,2017年5月に行われた試合で負った頸髄損傷によって欠場を余儀なくされている。プロレスに怪我は付き物だが,現在は首から下が動かず,懸命なリハビリに取り組んでいるという。
そんな高山選手を応援しようと,さまざまな形で募金や支援活動が繰り広げられているが,スパイク・チュンソフトは高山選手をモチーフとした公式DLCを配信するという形でサポートに名乗りを上げたのだ。価格は300円(税込)で,売り上げからSteam使用料を差し引いた全額が,高山選手の支援団体「TAKAYAMANIA」へと寄付される。つまりプレイヤーは,ファイプロワールドの中で高山選手を暴れさせつつ,現実で高山選手を支援できるというわけだ。
スポーツゲームの多くがそうであるように,元ジャンルがあってこそのゲームではあるが,こうした取り組みは(ゲーム業界全体を通しても)かなり稀有なこと。4Gamerにできるのは,そのことをより広くお伝えすることと考え,ファイプロワールドに実装される高山選手の公式DLCのインプレッションを掲載する。
“さすが公式”な出来栄えの高山選手DLC
高山選手の公式DLCは,レスラーデータ,技装備,パラメーター,ロジックと,オリジナル特典となる新技“魂の殴り合い”をワンパッケージにしたもの。購入後にゲームを起動することで,すぐに実名の高山選手が使用可能となる。
公式,かつ実名DLCということで,その容姿は本人そのもの。装備されている技は,既存技の中から高山選手が実際に使っているもの+DLC専用の特典技ということでプレミアム感があるのも素晴らしい。ちなみに「魂の殴り合い」はDLC購入済みならば,ほかのエディットレスラーでも使用可能となる。ただし,パラメーターやロジックは閲覧不可で,自作エディットレスラーの参考にできないのはちょっと残念な点かもしれない。
高山選手の代名詞とも言えるフィニッシャー(決め技)のエベレストジャーマン。まるでエベレスト山脈のような高所からマットに突き刺す姿は圧巻だ |
巨体を活かした重いキックやヒザ蹴りも得意とする。ダイナマイトニーリフトは,食らった相手の身体が浮き上がるほどの威力! |
Uインター道場仕込みのレスリングテクニックで,スープレックスや関節技も器用に使いこなす。筆者は試合中盤でよく使うダイナミックなベリー・トゥ・ベリーが好き |
入場パフォーマンスはコール時に見せる両手斜め上げ。相手を挑発するガンつけや首斬りポーズ,思わず「ノーフィアー!」と叫びたくなる指差しポーズもある |
というかだ,今回の公式選手化って,実はファイプロの歴史からするとものすごく大きな出来事なのである。というのも,これまでのファイプロシリーズに登場してきたレスラーは,(一部の例外を除いて)実在の選手に姿や名前,技構成がものすごくよく似た“なんちゃって選手”ばかり。ときには団体側からナニコラされたこともあったらしいが,とにかく架空のレスラーであることが大前提だったわけだ。
とくにファイプロワールドでは,時代の流れもあって“なんちゃて”の人達は姿はなく,かわりにプレイヤーが好き勝手にエディットをしたレスラーで遊べるよう,大量のパーツとデータ交換の仕組みが用意されている。
そんな前提を知っていると,高山選手がリングイン時に見せるアクション同様,現実と架空を“またいだ”ように見えてくるのだ。今回はチャリティだから特別なのかもしれないが,一度実現できたのだったら次も……と妄想してしまうのがプロレスファンの性(さが)なのだが,それはゲームファンでも同じだろう。
ともぞう監督ことディレィクターの松本朋幸氏に,
メールでちょっと聞いてみた
4Gamer:
応援プロジェクト立ち上げの経緯・意図をお聞かせください
松本氏:
弊社ではこれまで,ファイプロはもとより,ファイプロ以外のプロレスゲームも多数手がけてきたこともあり,何かプロレス界に貢献できることはないか? と常々考えておりました。そうした中で高山選手の事故を知り,ファイプロワールドとして何かお手伝いしたいと,今回のプロジェクトを立ち上げるに至りました。
4Gamer:
先方に話を持ちかけたときはどんな反応でしたか? また,話し合いはスムーズに進みましたか?
松本氏:
我々として気になっていたのは,便乗してファイプロを宣伝する気だろうとか,そういったネガティブな反応があったとき,高山選手や関係者の皆様にご迷惑をかけてしまうのではないか? ということでした。ただ,先方様とお話しして,あまり考えすぎずることなく,ただ“力になりたい”という我々の素直な気持ちで関わっていこうと決意できました。
4Gamer:
高山選手側からの希望・要望はなにかありましたか?
松本氏:
ほぼお任せいただけました。ご協力いただけるなら,ぜひともよろしくお願いします! とあたたかく受け入れてくださいました。
4Gamer:
パラメーターや技のセットはどのように決めましたか? また,それらの数値を公開する予定はありますか?
松本氏:
高山選手には多くの資料がございますので,パラメーターも装備技も苦労することなく決めることができました。新技を何にするか? は,満場一致で魂の殴り合いになりました(笑)。
数値に関しましては,今のところ公開する予定はございません。
4Gamer:
ファイプロに実名選手を登場させることへの迷いはありませんでしたか?
松本氏:
もちろんありました。これまで女子もの以外で実名選手をファイプロに登場させるのは,ある意味“タブー”とされていたことでもありますし,“なんちゃって”が好きなファンが多いというのも理解しております。
ただ,ファイプロをもっともっと進化させていく過程において,従来どおりでいいところ,変えるべきところをしっかりと見定めたうえで,さまざまな判断をしていくべきであるとは思っています。
ただ,今回のプロジェクトに関して言えば,ファイプロの歴史的にどうとか,そういったことよりも先に,高山選手の“お役に立ちたい”という気持ちが大きかったように思います。
最後にちょっとだけ,現状のファイプロワールドについて触れておきたい。7月11日のアーリーアクセス開始以来,技やパーツ,ルールや会場の追加以外にもさまざまなアップデートが行われてきた本作。正式リリース版となったVersion 1.0では主な要素だけでも,オンラインでの4人同時プレイに対応,エディットでのパーツサイズの自由化,技の優先動作機能,複数人同時入場と,世界中のプレイヤーからの要望に応えた仕様が追加されている。
しかも2018年1月4日までは,セール期間となり1447円(税込)で購入可能。高山選手のDLCと合わせて買うには最適なタイミングと言えるだろう。現在はセールの効果でプレイヤーも増加したようで,オンライン対戦が非常に賑わっている様子。また,エディット職人達がこだわり抜いて制作したエディットレスラーを,即ダウンロードして使える状態である。
筆者としてはこの年末年始,ファイプロワールドで高山選手を使ってプレイしつつ,高山選手の回復を願いながら過ごすつもりだ。
「FIRE PRO WRESTLING WORLD」公式サイト
- 関連タイトル:
ファイヤープロレスリング ワールド
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