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[TGS 2017]話題の新作タイトル「project one-room(仮)」スペシャルステージレポート。溢れんばかりの「ルーマニア#203」愛に,ファンも開発陣も思わず涙
すでにお伝えしているとおり,本作はセガ(当時)が2000年にドリームキャストで発売した「ルーマニア#203」をリスペクトした作品で,TGS 2017においてサプライズ的に発表されている(関連記事)。
ステージには,その映像で対談しているプロデューサーの大地 将氏と,本作に楽曲を提供しているアーティストのササキトモコ氏が登壇。気になる内容についてトークを展開した。
「project one-room(仮)」ティザーサイト
大地氏はもともとゲーム雑誌などで記事を執筆をしていたライターで,かつてルーマニア#203のファンブックを企画していたものの,諸事情で発売中止となってしまったという。それ以降,「いつかルーマニア#203で何かをやりたい」と思い続けてきたことが,本作の原点にあるのだとか。
一方のササキ氏は当時,セガの社員。ちょっとしたアイデアを出したものが,セガの開発陣の手によりゲームとして完成したことに,すごく感動したとのこと。また,ルーマニア#203は期待されたタイトルではなかったので,ステージなどに出演する機会はなく,同作をきっかけにこうしてステージに立っているという感激を,当時の自分に教えたいと話していた。
アパートで暮らす青年「ネジ タイヘイ」に,部屋に住む見えない神様として干渉し,彼が見ているテレビやネットから世界を覗ける。そんな,かなり変わったゲームとしてリリースされたのがルーマニア#203だ。
ササキ氏は同作の世界で人気の架空アーティスト「セラニポージ」としても活動をしており,実際にCDなどをリリースしている。project one-room(仮)でも,活動休止中だったセラニポージが正式に復活を果たし,楽曲を提供。ブースで流れている映像のBGMが本作のために制作された新曲で,そのタイトルが「箱の中の女の子」だということも明らかにされた。
この曲はゲームの中のキャラクターとプレイヤーの関係を表していて,プレイヤーがゲームをリセットしたり,電源を切ったりすることに対し,ゲームキャラクターが不安を募らせる気持ちが込められている。なお,ティザーサイトの部屋の中にあるラジオをクリックすると,この曲が聴けるようになっている。
project one-room(仮)ではシナリオごとに楽曲が用意されており,「minotake」という新曲がステージで披露された。この曲はササキ氏がボーカルを担当し,「人類が滅んだあとに生まれた,集団で一つの意識を持つ未知の生命体の中の1人が旅立っていく様子を,マザー的な意識を持つ人が応援している」という,壮大なテーマがあるという。
大地氏のもとに最初に届いたのがこの曲で,「歌詞も世界観もメロディも,本当にセラニだ」と感動したそうだ。ちなみにシナリオのエンディングに流れる予定とのこと。
今回の発表には大きな反響があったが,大地氏は「期待と不安の両方を感じていて,期待は裏切らず,不安を払拭していきたい」と語る。
リスペクト作品を作るにあたっては,筋を通すことを第一に考え,セガゲームスとササキ氏,いずれかの協力を得られなかった場合には企画を止める覚悟があったという。また,ルーマニア#203のリメイクや続編ではないと明言しており,その理由を「自分も作品のファンの1人であり,もし違う人が続編を作るとなったら,きっとモヤモヤするから」と述べている。ゲームを最大限リスペクトしつつ,システムなどを継承し,セラニポージが雰囲気を盛り上げる「完全新作」として,現在も開発が進められているとのことだ。
ステージのエンディングでは,ササキ氏が「ルーマニア#203の開発メンバーは今,セガに数名しか残っていないので,新作が出るなんていうことはあきらめていたんです。会社を越えて,さらにセガを説得してくれた大地さんの熱い思いには本当に感激しています……」と言葉を詰まらせながらコメント。実はこのとき,来場者が感涙している様子を見て,ササキ氏も涙してしまい,さらに大地氏までも目頭を押さえ,ステージは思わぬ感動に包まれた。
「こんなにファンがいるゲームの新作を,ほかの誰かが作るというのもどうかと思うことはありましたが,誰かが言わなければ(新しい企画は)動かないですから」と大地氏。正式タイトルも含め,近日中に情報を明らかにすることを約束してステージを締めくくった。
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project one-room(仮)
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