プレイレポート
VR空間でゲームやお絵かきが楽しめる「Nintendo Labo:VR Kit」を先行プレイ。遊びの可能性がさらに広がった,Toy-Conシリーズ第4弾
そんな「VR Kit」を発売前に体験する機会を得たので,実際に触れてみて分かった収録ゲームの内容や,VRゲームが簡単に作成できる「Toy-ConガレージVR」といった「VR Kit」ならではの楽しさをお伝えしていこう。
「Nintendo Labo」公式サイトの「VR Kit」紹介ページ
Toy-Conシリーズ第4弾のテーマは“VR”
作る楽しさはそのままに新たな遊びが加わった
「Nintendo Labo」の今回のテーマはVR(バーチャルリアリティ)だ。第1弾の「VARIETY KIT」(バラエティ キット)に始まり,「ROBOT KIT」(ロボット キット),「DRIVE KIT」(ドライブ キット)と,これまでさまざまな工夫をこらした“新しい遊び”を提供してくれたが,「ついにここに来たか!」という印象を受けた。
キット自体のCEROレーティングはA(全年齢対象)だが,VRモードの対象年齢は7歳以上となっている。6歳以下の子どもと遊ぶときは,VRモードをオフにして楽しもう。詳しくは下記リンクのNintendo Switchサポートページも確認してほしい。
任天堂公式サイト内「Nintendo Switchの『VRモード(3D映像)』についてお伝えしたいこと」
今回の先行体験ではToy-Conの製作はできなかったが,もちろん「Nintendo Labo」のコンセプトである「つくる,あそぶ,わかる」はそのまま。特製のダンボールキットと分かりやすいガイドで,自分で作り上げる過程を存分に味わえる楽しさは健在とのことだ。
「VR Kit」で作成できるToy-Conは全部で6種類。それぞれ特徴があるので,実際に遊んでみた感想とともに順に紹介していこう。
VR Kitの“遊びの基本”となる「VRゴーグル」
まずは基本のToy-Conとなる「VRゴーグル」から紹介しよう。Nintendo Switchと合体させることで,ゲームの画面が360度のVR世界に早変わり! ほかの5種類のToy-Conと組み合わせることで,その威力を発揮してくれる,「VR Kit」の“遊びの基本”となるツールだ。
ほかのVRヘッドマウントディスプレイやコンテンツと異なるのが,つねに装着し続けるのではなく,ゲームプレイの時だけ顔にあてて遊ぶという点だ。そのため子どもから大人まで簡単に装着でき,またメガネをかけたままでも気軽に楽しめるようになっている。かぶるタイプでないため圧迫感がない点も,とても使いやすく感じられた。
ユーモアあふれる2人対戦もできる「バズーカ」
「バズーカ」は見た目にも分かりやすく,子供にも人気が出そうなToy-Conの1つだ。バズーカを使ったゲームは2とおりの楽しみ方がある。
1つ目が敵キャラクターを次々と倒していき,最後にボスを攻略するという,1人プレイ用のシューティングアクションだ。バズーカには通常の射撃に加えて,敵に向かって弾が飛んで行くホーミング,時間を止めて制限時間内に一方的に敵を撃ちまくるという3つの撃ち方がある。
ステージでは自動で移動するので,撃つことだけに集中できる。最初はグリップの引き方がよく分からず戸惑ったが,少し遊べばコツをつかむことができ,敵をどんどん倒していく爽快さを味わえた。
ダンボール製のToy-Conが,ゲーム内ではもっとかっこいいデザインになっており,リアルとバーチャルがシームレスでつながる演出にもかなり興奮ものだ。このゲーム世界に没入できる感覚こそ,VRならではの利点だろう。
2つ目は「カバズーカ」。フルーツをカバに向けて撃ち,自分の陣地内に多くカバを呼び込んだ方が勝ちとなる,ユーモアあるルールの2人対戦モードだ。同時対戦ではなく1台のバズーカを順番に使って遊ぶため,1セットあれば2人で遊べる。
撮り始めると止まらない? 遊び心満載の「カメラ」
次に体験したのが「カメラ」だ。VR空間に表現されたさまざまなシチュエーションで撮影して楽しむものだが,単なる撮影だけでは終わらない。例えば海中撮影だと,「マンボウを撮影しよう」といったミッションが用意されているのだ。
1回の挑戦は3枚までですぐ終わるのだが,これがやってみると意外にハマる。なかなかうまく撮影できず「もう1回!」と熱くなったり,思わぬシャッターチャンスがきてベストショットが撮れたりと,なかなか奥が深い。また,水中だけでなく,水上の島や建造物などもあり,カメラ越しの探索が楽しくなってくる。
そのほか,「おうちカメラ」では,家の中に住むかわいらしいキャラクターの様子を眺めながら撮影するといったものもあり,カメラToy-Conだけでも遊びごたえは十分だ。
発想に脱帽! お絵かきや3Dパズルが楽しめる「ゾウ」
3つ目に体験したのは「ゾウ」だ。初めて発表されたときは「一体,これはどうやって遊ぶのだろう」と気になっていたToy-Conだが,なんと,象の長い鼻は“筆記具”。これはお絵かきツールだったのだ。
VR空間に用意された画材を使って,自由に絵を描くことができるのだが,それがただの平坦な絵ではない。描いた線が奥行きを持った3Dの線になり,しかも手に持って自由に動かすことができる。なかなか例えるのが難しいが,手書きの3Dプリンターというと,分かりやすいかもしれない。うまく使いこなせば,VR空間にさまざまなオブジェクトを作りだすことができそうだ。
なおToy-Conの形だが,最初から象を意識していたわけではなかったとのこと。象の顔にあたる部分は複数の再帰性反射材シートで形成されており,鼻先に取り付けられたJoy-ConのIRマーカーがシートとの距離を読み取って“3Dお絵かき”を可能にしているのだが,このシートの形が象に似ており,そこから現在の名前とデザインになったという。
3Dお絵かきだけでも十分に凄いのだが,これだけでは終わらない。それが,お題に沿って絵を描き友達に当ててもらう「おえかきクイズ」や,3D要素をフル活用した「つみきパズル」という2つの遊びだ。
「つみきパズル」では,各ステージには上から転がってくるボールや,滑り台のような板が用意されており,プレイヤーは板を動かして,ボールを指定の位置まで導いていく。どのように板を動かせば良いかという思考力が試され,ついつい夢中になってしまう。ステージはなんと全100面もあるので,ぜひ親子や友達で協力しあって挑戦してほしい。
VR空間でのよりリアルな体験を生む「風」
「風」は,その名のとおり風を起こすことができるToy-Conだ。足元に置いたペダルを踏み込んで団扇を動かし風を起こすのだが,実際に実物を目にしてみるとその大きさに驚かされる。
「風」Toy-Conを使って遊べるのは,自分が蛙になり,ボールを避けて高くジャンプできる爽快なアクションゲームだ。風Toy-Conを踏み込むと,ビューンと空に飛び上がる。そして,飛び上がると同時に風を顔に感じる。VRの没入感だけでも臨場感は存分に味わえるのだが,物理的な風が吹いてくることで,その体験はよりリアルなものになった。
空を滑空し鳥になりきる! 爽快な「トリ」
「トリ」は,分かりやすいゲーム性と可愛い見た目が魅力のToy-Conだ。Toy-Conの両端を掴むと翼の部分がバサバサと上下し,同時にVR画面でも羽ばたいて優雅に空を舞うことができる。
空を飛びたいという人類の夢は,これまでにもさまざまなゲームで叶えられてきたが,VRでの没入感は格別だ。しかも自分で作ったToy-Conで空を飛ぶという体験が,また喜びを倍増させてくれる。
さらに「風」のToy-Conを組み合わせると,臨場感は何倍,何十倍にも膨れ上がる。「風」のToy-Conを踏み込むと加速して顔に風があたるのだが,これが「いつまでも飛んでいたい……」という気持ちにさせられるほどの心地よさがあるのだ。
限られた時間での試遊だったため,ほんの少しの体験だったが,それは「ストレスを感じた時に空を飛びに行けるよう,発売後すぐに『トリ』Toy-Conを作ろう」と思わせるものだった。
Toy-ConおなじみのモードもVRで進化。
VRゲーム制作が楽しい「Toy-ConガレージVR」
ここまで濃厚な体験を味わってきたため,Nintendo Laboの最大の特徴の1つをすっかり忘れていた。それが,“最終奥義”と評してもいいであろう「Toy-ConガレージVR」だ。
Nintendo Laboの「つくる,あそぶ,わかる」の「わかる」部分の要素であり,これを遊ばないのはもったいないと個人的には思っている。
「Toy-ConガレージVR」は,自分でサンプルゲームをアレンジしたり,オリジナルのVRゲームを作ったりできる作成ツールだ。これまでのキットにも収録されていた「Toy-Conガレージ」のVR版となっており,ビジュアルプログラミング風の画面で,Toy-Conのボタンや動き,オブジェクトなどのコマンドをつなげて,簡単にゲームを作成することができる。
「VR-KIT」には,上記で紹介したゲームに加えて64個のサンプルゲームが収録されており,それらのゲームはすべて「Toy-ConガレージVR」で作成されている。中身のプログラムを参照し,作り変えたりすることができるため,「Toy-Conガレージ」初心者や子どもでも手軽に取り組むことが可能だ。
「Toy-Conガレージ」第3弾まで「Toy-Conガレージ」を楽しんできた筆者だが,「VR Kit」では「Toy-Conガレージ」のメニューがかなり改良されていることに気付いた。コマンド同士をつなげていくというシンプルな操作はそのままだが,選べる設定やコマンドなどの要素が増え,よりゲームが簡単に作りやすくなっているのだ。
VRゲームというと作るのが大変そうなイメージなのだが,むしろ以前より簡単に作成できる工夫が凝らされていると感じた。ゲームで使えるキャラクターなどもあらかじめ用意されているため,アクションやRPG,アドベンチャーなど,自分のアイデア次第でどんなゲームでも作ることができそうだ。
これまでのNintendo Laboの「Toy-Conガレージ」は,工作と組み合わせて作ることが多かったが,「Toy-ConガレージVR」では,作ったゲームはVRゴーグルを装着するだけですぐに遊べる。これでゲームを作って遊ぶまでの工程がより短縮され,ゲーム制作がやりやすくなった。といっても工作の楽しさがなくなったわけではなく,自分の発想でいくらでも新しい遊びを作りだせる自由度の高さは健在だ。
また,これまでどおりセーブデータを8個保存でき,さらにそれとは別にセーブデータを64個まで保存できるので,心置きなくゲームが作れるだろう。
「Nintendo Labo」第3弾の体験記事(記事リンク)で「正直,どこまでNintendo Laboが進化していくのか,空恐ろしくもある」と書いていたのだが,その予想どおりに本当に進化していた……! 恐ろしくもあるが,それ以上にうれしい気持ちで満ち溢れてくる。
この最新にして最強の遊び道具である「Nintendo Labo:VR Kit」を手にした子どもたち,そして全国のユーザーがどんなVRゲームや新しい遊びを作るのか,想像するだけでとてもワクワクしてくる。そして,我が子と一緒にまた作って遊んで,VRゲームを発明する日がとても待ち遠しい。
「Nintendo Labo」公式サイトの「VR Kit」紹介ページ
「Nintendo Labo」公式サイト
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