プレイレポート
「プレカトゥスの天秤」を先行プレイ。7つの国の7人の主人公が歩んだ“正義”と“罪”の歴史を紐解くダークファンタジーRPG
そんな本作は「ダークファンタジーRPG」をテーマとし,1つの歴史を7つの視点から読み解いていく,スケール感のあるゲーム展開が特徴となっている。今回は開発版を用いて先行プレイする機会を得られたので,“単行本7冊分を超える”というシナリオ面にもスポットを当てたプレイレポートをお届けしよう。
「プレカトゥスの天秤」公式サイト
“正義”と“罪”をテーマに語られる
ダークファンタジーRPG
本作のストーリーに触れる前に,まずはプレイヤーの立ち位置について紹介しておこう。
プレイヤーの目が覚めると,そこはあらゆる歴史の記録庫であり,祈りの塔とも呼ばれる「プレカトゥスの塔」だった。ここでプレイヤーは,この塔の司書である「ニエンテ」という名の女性に,歴史の「観測者」として選ばれたことと,さまざまな主人公の立場から語られた国の歴史書を紐解き,その“正義”と“罪”を見届けるよう告げられる。
こうしてプレイヤーは観測者として,7人の主人公,7つの国家の行く末が記された歴史書を読み進めていくことになる。
舞台となるのは,“鉄と蒸気と銃の時代”の「オルディア大陸」と呼ばれる地域。産業革命の成功と引き換えに,急激な人口増加と資源不足という問題を抱えていたが,あるとき次世代の新エネルギーとなりえる夢の鉱石「マギカイト」が発見される。
そこで「オルディス連合王国」は,マギカイトの平和利用を目的とする国際会議「M7会議」を開催。しかし何者かの襲撃により会議場が爆破され,これと時を同じくして「ヴェルム帝国」が宣戦布告した……というのが本作プロローグだ。ここから,まずは天才少年・リーンハルト(CV:代永 翼)の視点で語られる,ヴェルム帝国での物語を追うことになる。
技術大国であるヴェルム帝国は,皇帝に忠誠を誓う「五騎士団」を擁する軍事国家だ。リーンハルトはさまざまな機械を発明する天才少年だったが,女性士官クリスティア(CV:伊藤 静)によって戦場へと連れ出されてしまう。
クリスティアのもとには高い実力を備えた兄貴分のグレアルフ(CV:小山力也),おっとりした雰囲気からは想像できない高い戦闘スキルを持つ軍人・シエラ(CV:明坂聡美),武装に興味津々の少女・エルマ(CV:三森すずこ),聡明で心優しいエリーゼ(CV:佐倉綾音)などが集っていて,周辺国を次々と陥落させている。
当初こそ「早く帰って研究を続けたい!」と不満を露わにしていたリーンハルトだったが,何だかんだとクリスティアたちに手を貸すことに。頭の良いリーンハルトの助言や機転で上手く困難を突破することも少なくない。侵略される側の国としてはたまったものではないだろうが,クリスティアとグレアルフたちの間に築かれた信頼関係や連携が,バトルシーンを大いに盛り上げてくれる。
さらにストーリーを進めると,リーンハルトには戦争よりも大事な別の目的があるということが分かってくる。優秀なクリスティアを快く思わない者の存在も見え隠れし,手柄の奪い合いといった政治的な駆け引きも見どころだ。
こうしてヴェルム帝国のストーリーを読み進めていくと,少しずつ他の国のストーリーが開放されていく。次に開放されるのは「M7会議」を開催した2大強国の1つ「オルディス連合王国」で,主人公はオルディア貴族のアシュレイ(CV:中村悠一)という青年。若くして憲兵少佐を務める実力の持ち主で,周囲からの信頼も厚いようだ。
アシュレイは不穏な動きをいち早く感じ取るが会議場は爆破されてしまい,王女たちと会議の開催地である「エクスピア中立国」からの離脱を図ることとなる。本来は国の一大事に一丸となって対抗すべきところだろうが,この国の重鎮たちはどうもまとまりに欠けている……といった印象がぬぐえない。
極寒の雪国「ジェリーダ皇国」の主人公は,第四皇女セラフィーナ(CV:茅野愛衣)だ。環境が厳しいため他国から狙われにくいものの,資源不足や技術発展の遅れにより民衆は貧困にあえいでいる。セラフィーナはそんな状況を憂いており,マギカイトが解決の糸口になるのではないかと考えているようだ。
少なくともセラフィーナは,上に立つ者として民衆のことを第一に考えているが,周囲がそれを許さないといった状況にある。そして会議場が爆破された混乱の中,セラフィーナは革命を求める義勇軍に襲われてしまう。
各地で抑圧されていた民族が集まって形成され,5つの「稼賊(ファミリー)」が実権を握る「パラディア群国」は,一見「M7会議」の爆破とは無縁のような状況から始まる。何でも屋を営むイーヴァル(CV:杉田智和)はファミリーからの仕事を請け負いつつも,ぱっとしない生活をおくっているようだ。
そんな彼の生活にも,少しずつ異変が忍び寄る。ヴェルム帝国のストーリーを読み進めたあとに開放されるからこそ「これは,あの時の……?!」という展開が待っていて,すぐにイーヴァルもこの事件に巻き込まれつつあるのが感じ取れる。これまでの2国と違い,彼があまり国の政治的な中心にいる人物ではないからこそ,見えてくるものがあるのかもしれない。
このほかにも,芸術と商人の国「アルス=フォルマ共和国」には,任務のスリルを楽しむ快楽主義な女スパイのラシェル(CV:花澤香菜),研究都市「リベル独立領」には,警備隊に所属する勇敢な青年のジャスティン(CV:梶 裕貴),オルディア大陸の外部から移住してきた民が暮らす島国「アマツ巫国」には,陰陽師を目指す少女のレンカ(CV:尾崎由香)という主人公がいる。それぞれの国には公式サイトでも紹介しきれていないほどの登場人物が用意されているので,多角的に語られる重厚な歴史を楽しみたいプレイヤーにはうってつけだろう。
そしてプロローグを含め,序盤はヴェルム帝国こそ争いの元凶であり,憎むべき敵のような印象を受けるかもしれない。しかしゲームを進めていくうちに,リーンハルトやクリスティアといったヴェルム帝国のキャラクターにもつい感情移入してしまい,あの襲撃は決して単純なものではなく,さまざまな思惑が折り重なっているように感じられた。一体,誰が,何のために事件を起こしたのか,どのような真相が待ち受けているのか……?
さらにプレイヤーは冒頭,ニエンテに「過去の歴史の流れを変えることも,不可能ではなくなるかもしれない」とも告げられる。当面は歴史を読み解くことが「観測者」としての役割となりそうだが,より壮大な展開が待っている気がしてならず,非常に気になった部分だ。
シンプルに構成されたテンポよく進むバトル
好みのキャラクターをとことん育てられる育成システムも
本作ではストーリーを読み進める途中でバトルが発生し,これをクリアすると物語が動いていく作りになっている。バトルは最大5人のパーティを編成し,陣形を組んで戦うターン制で,敵をすべて倒せば勝利となる。
各キャラクターには「通常攻撃」に加え,攻撃や回復など固有の「スキル」が備わっている。さらに武器を装備すると使えるスキル,ゲージが溜まることで使える必殺技のような「SPスキル」があり,いかに効率よくスキルを使うかが勝敗の分かれ目となりそうだ。
バトル開始前には,他のプレイヤーのキャラクターを「控え」として選ぶことができる。フロントのメンバーが倒れるとバトルに加わってくれるので,できるだけ強い相手を選ぶといい。戦闘終了後に「フォロー」することも可能で,これは双方で認証するような,いわゆるフレンド関係ではないので気軽に申請してよさそうだ。
陣形はさまざまなタイプがあり,キャラクターを配置した場所によって攻撃や防御,スピードに補正がかかる。前列ほど攻撃を受けやすいので,ここはできるだけ体力の多いキャラクターを設置するのが基本となるだろう。
育成要素としては,バトルで勝利した経験値でキャラクターがレベルアップする以外にも,アイテムを使ってステータスなどを上げられる「レベル強化」「レアリティ進化」「育成ボード」という強化システムが用意されている。曜日クエストで効率よく素材を集めていけば,仲間になった直後のキャラクターを一気にスタメン入りさせることもできるそうだ。
それぞれのキャラクターは己の正義に従って行動しているように思えたが,それが一体どのような結末に向かっていくのか……シナリオを読み進める手が止められず,正式配信が非常に待ち遠しいと感じた「プレカトゥスの天秤」。バトルが軽快に進むので「早くシナリオを読みたいのにバトルで足止めされる」というストレスもなく,RPGだけでなくアドベンチャーが好きというプレイヤーにもオススメできそうだ。
事前登録者数はすでに130万人を突破し,ゲームに登場する「7つの国」を国別に紹介するPVも公式サイトなどで順次公開されている。本作の世界をじっくり噛みしめられる内容となっているので,リリースが待ちきれないプレイヤーはこちらもぜひ視聴してみてほしい。
「プレカトゥスの天秤」公式サイト
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