企画記事
7月15日はファミコン40周年,ともに歩んだマリオの軌跡をSwitch Onlineで遊べるタイトルから紹介。意外なタイトルにも出演しているぞ!
さて,そんなファミコンと共に歩んできた,看板役者と言われて,誰もが思い浮かべるのが「マリオ」だろう。
ファミコンの発売から現在まで,多くの作品に登場し続けているマリオは,大人から子供まで,さまざまな年代に親しまれる,ゲームファンにとって最も身近で偉大なヒーローだ。
そんなマリオの姿を,現在Nintendo Switch Onlineで遊べるタイトルから探してみようというのが,本稿の主旨だ。
手元にファミコンの実機がない人でも,Switchを持っていてNintendo Switch Onlineに入っていれば,気軽に楽しめるタイトルばかりなので,読者の皆さんにも気軽にマリオの勇姿に触れてもらえれば幸いだ。
■定番! マリオの登場するアクションゲームたち
・ドンキーコング
・ドンキーコングJr.
・マリオブラザーズ
・レッキングクルー
・スーパーマリオブラザーズ
・スーパーマリオブラザーズ2
・スーパーマリオブラザーズ3
・スーパーマリオUSA
■アクション以外もできます! マリオ出演のスピンオフタイトル
・ドクターマリオ
・マリオオープンゴルフ
・ヨッシーのたまご
■実はこんなところにも? 意外な出演タイトル
・テニス
・ピンボール
・パンチアウト!!
「Nintendo Switch Online」公式サイト
定番! マリオの登場するアクションゲームたち
■ドンキーコング(1983年)
1981年に発売された,同タイトルのアーケードゲーム移植作。ここに登場した主人公が,後のマリオとなる。ドンキーコングは,もともと主人公のペットであり,イタズラとして彼の恋人レディをさらったという設定。マリオは恋人を救うため,ドンキーコングが逃げ込んだビルを登っていく。
ステージは建設中のビルで,入り組んだ鉄骨のなかを進んでいく。火の粉などの障害物を避けながら,画面上部に捕らわれたレディのところまでたどり着くとステージクリア。2人プレイもできるが,対戦・協力プレイではなく,片方のプレイヤーがミスをすると交代し各々がステージを攻略していくという形式だ。
ルールは単純だが,タルをジャンプするときにスコアが入る爽快さと,ステージの程よい長さはずっと遊び続けられる魅力がある。ちなみに大乱闘スマッシュブラザーズシリーズに出てくるハンマーの元ネタは本作。
マリオの彼女として登場するレディには,後に「ポリーン」という名前が与えられている。そう,「スーパーマリオオデッセイ」に,ニュードンク・シティの歌って踊れる敏腕市長として登場しているあのポリーンだ。ポリーンは,1993年の実写映画「スーパーマリオ 魔界帝国の女神」にマリオの彼女として登場してもいるが,こちらのポリーンは,だいぶオリジナル要素が強いキャラ付けになっている。
■ドンキーコングJr.(1983年)
「ドンキーコング」と同時に,アーケード版からファミリーコンピュータへと移植されたのが,この「ドンキーコングJr.」だ。本作では,ドンキーコングの息子が主人公となり,マリオに捕まってしまった父・ドンキーコングの救出に向かう。
本作のマリオは,鞭や電気を流すレバーなどを操り,敵をけしかけてくるという,なかなかアグレッシブなキャラクターとなっている。ちなみにマリオと正式に名づけられたのはこのタイトルから。
本作でのドンキーコングはドンキーコングJr.の父親だが,近作で「ドンキーコング」と呼ばれているのは,1994年に発売された「スーパードンキーコング」に初登場した初代ドンキーコングの孫だ(初代はクランキーコングという名で登場している)。
ところが,2023年4月に上映が開始された「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」でのドンキーコングは,初代の息子という設定。マリオ同様,長い歴史を持つシリーズということもあり,「ドンキーコング」関連作品での一家の関係や呼び方は,作品によって異なる場合があるようだ。
■マリオブラザーズ(1983年)
マリオという名がタイトルに冠された初めてのゲーム。
土管から次々に出てくる敵キャラクターを,下から足場ごしにパンチして転ばせ,起き上がらないうちに蹴り飛ばして倒す。すべての敵を倒せばステージクリアだ。ひっくり返った敵を蹴らずに一定時間経つと,起き上がったときに速度が増して倒すのが難しくなる。画面を動き回ってマリオたちを邪魔するファイヤボール,床に定着すると一帯がスリップする床に変わってしまうスリップアイスなど,バラエティに富んだギミックも登場する。
このタイトルから,マリオの双子の弟として,ルイージが登場する(正式にはゲーム&ウオッチ版「マリオブラザーズ」が初出)。ふたりのプレイヤーが同じ画面で協力プレイをするという形式も,人気を博した理由のひとつだろう。
ステージは三段の足場のある一画面のみで,この中ですべてが完結する。超シンプルなステージ構成から生まれる数々のドラマは,多くのプレイヤーのなかに,忘れられない楽しい記憶として刻まれているはずだ。
■レッキングクルー(1985年)
レッキングクルー=解体屋という名の通り,マリオとルイージがハンマーで壁やハシゴなどを壊していくアクションゲーム。ステージ上にあるものをすべて解体するとステージクリアとなるが,パズル性が高く,壊す順番を間違えると手詰まりになることもある。
本作のマリオとルイージは,ともに赤系の服で登場し,ほかのタイトルとは少し違った雰囲気になっている。兄弟を妨害するキャラクター「ブラッキー」(現在は,欧米版のスパイクという名称に統一されている)は,「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」にも登場しているライバルキャラクターだ。
Nintendo Switch Onlineでは,ZL+ZRの同時長押しでプレイを巻き戻すことが出来るため,だいぶ楽になったが,ファミコン時代には,手詰まりになると復帰の方法はなく,特に後半ステージの攻略は非常にシビアだった。
■スーパーマリオブラザーズ(1985年)
「スーパーマリオブラザーズ」は,もはや説明不要なアクションゲームの金字塔だ。クッパにさらわれてしまったキノコ王国のピーチ姫を助けるため,配管工のマリオとルイージの兄弟が敵を倒しながら冒険を繰り広げる。プレイヤーは敵やステージの仕掛けをかいくぐりながら,ステージのゴールを目指していく。
「キノコを取ると体が大きくなる」という,今では多くの人の共通認識となったマリオのお約束も,ここから始まった。
社会現象にもなった,ファミコンの代表作ともいえる本作が,世の中に与えた影響は計り知れない。
キノピオファンの筆者が個人的に推したい点は,ソフトのパッケージにいる,ヤンチャ坊主のような顔のかわいいキノピオたち。同じく,今とはかなり雰囲気の違うピーチ姫も,良い味を出している。
■スーパーマリオブラザーズ2(1986年)
クッパにさらわれたピーチ姫を救い出すという目的は「スーパーマリオブラザーズ」と同じだが,“前作よりも高い難易度”と謳っているだけあり,さらにひと癖あるステージ構成が特徴だ。日本では,ファミリーコンピュータ ディスクシステム用のタイトルとして発売された。
前作とは異なり,1人プレイ専用で,マリオ,ルイージのどちらかを選んでプレイをスタートする。ルイージは,マリオよりもジャンプ力は高いが滑りやすいというキャラクターごとの特徴の違いがある。
グラフィックスも基本的に前作を踏襲しているが,逆さパックンフラワーや毒キノコ,背景に浮かぶ顔のある雲や隠し要素の多さなど,パラレルワールドのような不思議な雰囲気を醸し出している。
■スーパーマリオブラザーズ3(1988年)
ROMの容量が大幅にアップしたことで,多くのシステム変更・要素の追加が行われた。本作は2人プレイが復活しており,「スーパーマリオブラザーズ」と同じく,マリオとルイージで交互にプレイする形式だ。
コクッパ7兄弟がそれぞれ占領している7つのワールドに,大魔王クッパが待ち受ける暗黒の国を加えた全8ワールドを攻略していく。各ワールドマップは,コース(通常のアクションゲームステージ),キノピオの家,砦,城などのパネルが配置され,クリアすると先に進めるようになる。プレイヤーがある程度自由にクリアまでのルートを決められるのだ。
本作のマリオは,変身のバリエーションがグッと増えた。スーパーマリオブラザーズからおなじみのファイアマリオ,空を飛ぶしっぽマリオ,地蔵に変身し敵の攻撃を受け付けなくなるタヌキマリオなど,さまざま姿を見せてくれる。
ちなみにオリジナル版にはセーブ機能が存在しなかったが,後に発売されたSFCのスーパーマリオコレクションなど,移植作にはセーブ機能が追加されている。Nintendo Switch Onlineのアーカイブスではどこでもセーブ機能があるため,中断できないという不便は解消されている。
■スーパーマリオUSA(1992年)
本作は,かなり変わったルーツを持つ。1987年に日本国内で行われたイベントのタイアップ商品として制作された「夢工場ドキドキパニック」をベースに,キャラクターをマリオたちに置き換え「SUPER MARIO BROS. 2」として国外で発売した作品の逆輸入タイトルなのである。
タイムやスコアの概念がないこと,ライフ制であること,マリオ,ルイージ,ピーチ,キノピオの4人からステージ開始時にキャラクターを選べることなど,ほかのアクションタイトルとは大きく異なる特徴を持っている。ジャンプ力の高いルイージ,空中浮遊できるピーチといった具合にキャラクターごとに性能に違いがあるが,マリオは平均的な性能で,あまり特徴がない。
地中に埋まっている野菜やアイテムを引き抜くというアクションも独特だ。個人的には,鍵を手に入れるとどこまでも追いかけてくる敵カメーンや,薬を使って出現させる扉に入ると行ける“裏世界”の存在をどことなく恐ろしく感じていた(周りにも,そういう子供は多かった)。ルーツだけでなく,内容に関しても,一風変わったテイストの作品となっている。
アクション以外もできます! マリオ出演のスピンオフタイトル
■ドクターマリオ(1990年)
マリオが医者となり,3色のカプセルを使って,ビンのなかにいるウイルスを退治していくというパズルゲーム。ウイルスやカプセルは,縦・横に同じ色を4つ以上揃えると消え,すべてのウイルスを退治するとレベルアップ。レベルが上がるごとにカプセルの落下スピードがアップし,難度も上がっていく。
ルールは単純ながら,画面に溜まりがちなカプセルの余りを効率的に処理するなど,素早い操作に加え,テクニックが必要だ。
ポップなビジュアル,とっつきやすいシステムで,当時あまりゲームをしない層も夢中にさせた。それまでとは違ったプレイヤー層にもアピールし,ファンを獲得した作品と言えるだろう。
■マリオオープンゴルフ(1991年)
任天堂が発売したゴルフゲームのなかで,マリオが主人公となった初の作品。1ラウンドを規定オーバー内でクリアすると次のコースに進める。OBや打数制限などは,実際のゴルフのルールからアレンジされているが,風向きや風力という概念は存在する。スイングスピード,クラブの種類,ボールの回転,プレイヤーの向きなどを設定し,打力メーターを目安にショットを行う。自動で適したクラブが選択されるシステムはさりげなくありがたい。
本作のマリオとルイージはストライプの衣装を着ていて,かなり派手な装いだ。ピーチとデイジーはキャディとして登場。続くシリーズでは,彼女たちもプレイヤーキャラとして参加している。ちなみに,マッチプレイに登場するルイージは,全CPU中最弱となっていて,ちょっぴり切ない。
■ヨッシーのたまご(1991年)
ヨッシーをメインのキャラクターに据えた,落ちものパズルゲーム。マリオは,下の土台をくるくると入れ替える係として登場する。そう,このゲームは,落ちてくるものを操作するのではなく,落ちてくる先の“土台”を入れ替えるという,珍しいタイプのパズルゲームなのだ。
落ちてくるキャラクターをふたつあわせて消すこともできるが,割れた卵の半分“うえたまご”と,“したたまご”の中にキャラクターを挟んで消すと高得点が入る。ルールAタイプでは,ヨッシーのたまごを10個以上作ると,ボーナスステージを遊べる。
マリオやルイージのほかにも,クリボー,パックンフラワー,テレサ,ゲッソーなど,おなじみのキャラがたくさん登場する。土台を入れ替えるマリオの表情も愛嬌たっぷりだ。
ひ1人でプレイしてもいいが,2人のプレイヤーが同じ画面で戦う対戦プレイを是非ともおすすめしたい。
実はこんなところにも? 意外な出演タイトル
■テニス(1984年)
ファミコン用ソフトでは初のテニスゲーム。奥行きを感じさせるテニスコート,手前にあるボールほど大きく見えるなど,細やかな演出に,当時としてはかなりのリアリティが感じられたものだ。内容は,ふたつのショットを使い分けてプレイする,シンプルなテニスゲームとなっていて,シングルスとダブルスが選べる。プレイヤー同士の対戦は不可。
マリオは,コート端のベンチに座る主審として登場する。白い衣装で涼しげに判定を下すマリオの姿には,アクションゲームで大冒険をしている彼とはまた違った魅力を感じる。
■ピンボール(1984年)
タイトルの通り,シンプルなピンボールが遊べるゲームソフト。上下2画面に分かれた盤面にはさまざまなギミックがあり,これを避けながら高得点を狙っていく。
普通にプレイしているだけでは,マリオはどこにも出てこない。彼が登場するのは,特定の穴にボールが入ることで突入するボーナスステージだ。ここには,マリオとともにレディ(ポリーン)が登場。マリオは足場を持ち上げフリッパーのように使い,跳ね返すボールで盤面の数字を揃え,レディを救い出すとボーナスの得点が加算される。
攫われキャラだったレディの座はいつしかピーチに入れ替わり,そのピーチも,バイクを乗り回したり,勇敢に戦ったりと,マリオと並ぶ活躍を見せている。レディ改めポリーンも,歌もダンスも得意な凄腕市長として存在感を表してきており,令和となった今,かつて任天堂の「ヒロイン」とされていたキャラたちの役割は,大きく変わってきている。
■パンチアウト!!(1987年)
任天堂の公式イベント「第2回 ファミリーコンピュータゴルフトーナメント」内の景品として制作されたボクシングゲーム。主人公のリトル・マックを操り,チャンピオンを目指して,対戦相手を撃破していく。リトル・マックは,「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズにも登場している,知る人ぞ知るキャラクターだ。
本作のマリオはレフェリーとして登場。派手さのない役どころではあるが,赤帽子をちゃっかり被っており,レフェリーの衣装にも自分のトレードマークを忘れない,オシャレなマリオの姿が可愛らしい。ゲーム自体は,シンプルな操作とルールの割に高難度で,相手の予備動作の見極め,スタミナの管理などが重要。マリオの姿をのんびり見つめて楽しむシーンは,あまり訪れないかもしれない。
以上,計14タイトル。主役から,味わい深いチョイ役まで,現在Nintendo Switch Onlineで遊べるタイトルから,マリオの登場する作品を挙げてみた。
ファミリーコンピュータという,今や誰もが知る家庭用ゲーム機の始まりから,ずっとそのアイコンとして活躍してきたマリオ。ファミコン生誕40周年を迎えた今,改めて実際にゲームをプレイして,その軌跡を振り返ってみてはいかがだろうか。また,その当時を知らないゲームファン諸氏も,これを機に歴史を紐解いてみると,きっと新鮮な面白さに出会えるはずだ。
「Nintendo Switch Online」公式サイト
- 関連タイトル:
Nintendo Switch Online
- この記事のURL: