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「MOTHER」の「すきなこんだて」は何にした? 俺のコラボカフェ:Menu 068
4Gamerをご覧の皆様こんにちは。クッキングエンターテイナーの大西哲也です。さまざまなゲームに出てくる料理をプロの料理人が本気で作ったり,プロ目線で勝手に検証して発表したりする「俺のコラボカフェ」。今回もよろしくお願いします。
今回紹介するのは「MOTHER」です。任天堂から1989年7月27日にファミリーコンピュータ用RPGとして発売されました。アメリカが舞台となっており,ポップなBGMやキャラクターデザイン,戦闘終了後に「●●を倒した」ではなく「われにかえった」「おとなしくなった」などの独特な台詞回しなどで,独自の世界観を築いたRPGです。1980年代はウルティマやウィザードリィ,ザナドゥ,イース,ドラゴンクエスト,ファイナルファンタジーなど,ファンタジーの世界観が多かったので,かなり斬新だったのではないでしょうか。
これは,コピーライターでもある糸井重里氏がゲームデザインを手掛けてたことが大きいのかもしれません。「スティーブン・スピルバーグがRPGを作ったらどうなるか」という発想から,さまざまなアイデアをノートに書き留め,実現したものだそうです。
親しみやすい世界観を形作っている要素の一つが「すきなこんだて」だと思います。ゲームが始まり,主人公や仲間のキャラクター名を入れるときに「すきなこんだてはなに?」と料理の名前を入れる項目があるのです。ここで入力した料理は,主人公が家に帰ると母親が作ってくれます。敵と戦ってボロボロになっても,好きな食べ物を作ってくれる温かい家庭で回復できる。優しい世界が感じられますよね。
この設定は続編にも採用されているので,MOTHERシリーズをプレイしてたことがあれば,覚えていると思います。「すきな献立は何にした?」そんな話を学校で友達と話していた人も多いでしょう。そういう私は何にしていたのかというと……「ステーキ」です。
私がプレイしたのは初代MOTHERです。当時は小学1年生だったのですが,実はステーキを食べたことがありませんでした。でも,一緒に集まってプレイしている友達にカッコをつけたかったのです。思い出すと恥ずかしいのですが,我ながらかわいいエピソードだと思います。
ステーキを安定して上手に焼くことは中々難しいです。肉の厚さや部位が違ったり,牛,豚,鶏でも最適な火入れが変わってきます。毎回上手に焼くことができるお母さんはかなりレベルが高いと言えるでしょう。
ゲームの中だけではなく,実際に自分の子どもが「うちの親のステーキめっちゃうまいんだぜ」とイキって友だちを連れてきても恥をかかせないように,素早く焼けるうえに絶対に失敗しないおいしいステーキの焼き方を皆さん伝授します。
■材料
ステーキ用の肉 1〜2枚
水 500ml
塩 15g+分量外(肉に刷り込む分)
油 適量
実食
ステーキをうまく焼くポイントは「肉の中心部には火を入れすぎず(でも生ではなく)外側は焼き色がついている」状態を作ることです。
冷蔵庫から取り出してすぐの肉をフライパンで焼くと,中心部の火入れが足りなかったり,目測を誤ると火の入れすぎになったりします。そのため,一般的なレシピでは「肉を常温に戻す」という作業が必要になりますが,不慣れな人がやると衛生的にも危険ですし,何より時間がかかります。
牛肉は沸騰直前で取り出しますが,豚肉と鶏肉は沸騰後10秒後くらいまで火入れをするとよいでしょう。何度か試しながらコントロールできるようになれば一人前です。
今回のテーマはいかがでしたでしょうか?面白いと思ったり,実際に試したりした人は「#俺のコラボカフェ」「#COCOCORO」といったハッシュタグをつけてSNSに投稿してくれると嬉しいです。
それでは,また会いましょう。したっけ!
■■大西哲也(クッキングエンターテイナー)■■
あるときは,料理研究家,またあるときは,「COCOCOROチャンネル」のYouTuber,しかしてその実体は……,料理を通じて多くの人を喜ばせたいと日々奮闘する,クッキングエンターテイナーだ!コピーライターの糸井重里氏が手掛けたことで有名なMOTHERだが,「エンディングまで,泣くんじゃない。」「名作保証」というキャッチコピーはコピーライターの一倉宏氏が手がけたそうです。自分のものではなくても良いと思ったコピーを採用する糸井氏に,プロ意識を感じたそうです。
※次回の掲載は2024年10月26日を予定しています
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MOTHER
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