プレイレポート
[プレイレポ]Obsidianの王道ファンタジーRPG「Avowed」先行体験。疫病の危機が迫る辺境を舞台に,銃や魔法を駆使して脅威に立ち向かう
プレイヤーは致命的な変異を引き起こす謎の疫病の正体を探るべく,リビングランドと呼ばれる辺境の地を舞台に,数多くの戦闘や探索を繰り広げていく。
今回,筆者は2024年11月19日から21日まで開催された先行プレビューにおいて,PC(Steam)版の冒頭部分を体験できたので,プレイレポートをお届けしよう。
前述のとおり,プレイしたのはごく限られた部分のみ。開発中ということもあり,コンテンツやローカライズには未完成な箇所が目立ったものの,ゲームのコア部分は概ね問題なく動作し,普通にプレイできる状態だった。
本稿の掲載しているスクリーンショットにも未完成の部分(テキストなど)が散見されるが,これもプレビュービルドゆえの状況と思われる。
「Avowed」公式サイト
謎の奇病に対処すべく,特使となった主人公は皇帝の命令を携え現地に赴く
まずは今回プレイした範疇で分かった,本作の世界観をざっと紹介しておこう。
舞台は「リビングランド」と呼ばれる辺境地域だ。このエリアでは奇妙な疫病「ドリームスカージ」が流行し,社会に大きな影響を与えていた。何せ,この病は一度発症すれば正気を失い,肉体はモンスターのように変化したあげく,見境なく周囲に攻撃し始めるという恐ろしい変異をもたらすからだ。罹患するのは人間だけではなく動物も含まれ,その発生源も判然としないままだった。
主人公(プレイヤー)はこの問題に対処すべく,皇帝に任命された特使として,勅令を携えて船に乗り込み現地に向かう。しかし航海中になぜか味方の要塞に砲撃され,搭乗した船は沈没。体一つで放り出され,命からがら海岸に打ち上げられる……といったところで物語が始まる。
最初の目的は打ち上げられた島から脱出し,本来の目的地であった港町パラディスにたどり着くこと。今回のビルドでは,パラディスに到着してメインクエストを1つクリアするところまでプレイできた。
冒頭でも触れたが,本作はObsidianが伝統的に得意とするRPGだ。アクション性が高い一人称視点であり,ジャンル的には同社も手がけたFalloutシリーズなどに類似するが,舞台は王道のファンタジー世界に近く,剣や魔法,さまざまなモンスターが登場するゲーマーには見慣れた雰囲気に仕上がっている。
なお,2015年にリリースされた「Pillars of Eternity」と世界観を共有しているとのことだ(同作は日本語非対応)。
主人公は固有のキャラがいるのではなく,プレイヤーが自由にメイキングできる。容姿の変更はもちろん,New Vegasにおける「S.P.E.C.I.A.L.」を彷彿とさせる「Might」「Constitution」「Dexterity」「Perception」「Intellect」「Resolve」に分かれたステータスにポイントを振ったり,学者や戦争の英雄といった複数の出自から好きなものを選んだりできる。
これらのステータスやバックグラウンドはNPCとのやり取りなどにも影響し,特殊な選択肢が選べたり,報酬を上乗せできたりするようだ。ちなみに選べない選択肢は(発言内容の)テキスト自体が表示されないため,すべての選択肢を知るには周回プレイが必要になると思われる。
また,序盤でもさっそくコンパニオン(同行者)が仲間になり,状況に応じて会話をしたり,戦闘に加勢してくれたりした。本作のコンパニオンは特殊なスキルや攻撃手段を持ち,敵を効率的に倒したり,道中のギミック(道を塞ぐツタなど)を解除したりもする。
さらにレベルアップによって強化も図れるので,冒険が進めば役に立つ場面が多くなりそうだ。
ゲームの基本的な進行はクエストをベースにした定番のものだ。物語を進めるメインクエストはもちろん,サブクエストも用意されていて,今回のテストプレイでもいくつか実装されていた。
明確にクエストになっていなくても,ちょっとしたNPCとの会話に出たアイテムが実際に手に入ると,それを渡す選択肢が出てきたり,これ見よがしに置いてある怪しい宝箱を開けると,大量の敵が出てきたり……といったギミックもあった。大小さまざまな規模のイベントが用意されているのだろう。
また,街中では興味深い立ち話をしているNPCも多く,立ち止まって耳を澄ませると,のちのちのヒントを得られそうな予感がする。
今回のテストプレイでは行動範囲がかなり限られていたが,小規模ながら活気がある港町,遺跡やモンスターのキャンプがある草原,そして入り組んだ森のエリアなど,起伏に富んだフィールドの探索できた。装備の強化のようなクラフト要素もあり,素材集めはそれなりに重要だと思われるが,ミニマップを確認しながら,あちこちをウロウロするのも楽しそうだ。
なお,一人称視点のゲームと紹介したが,スクリーンショットを見てのとおり,三人称視点に切り替えられる。こちらに設定すると主人公が中心に表示される後方視点のカメラに変更されるため,視界が一気に広がり,周囲の状況も判断しやすい。
最初から三人称視点のアクションゲームのようにも見えるくらいで,一人称視点だと酔いやすい人には嬉しい機能だろう。
ただし,基本は一人称視点のゲームであるため,進行方向を変えてもキャラ自体の向きが変わることはなく,横に進めばカニ歩きで移動し,後ろに歩けば後退する。プレイフィールそのものが変わるわけではなく,あくまで(文字どおりの)“視点が変わるだけ”と考えればいいだろう。
両手に好きな武器を装備し,銃でヘッドショットを狙ったり,魔法で丸焦げにしたり
本作の世界設定は魔法があるファンタジー世界でありながら銃火器が普通に存在し,前述のように船が大砲で破壊されたり,当たり前に拳銃や小銃を武器として装備できたりする。主人公には(バックグラウンド以外の)職業そのものは設定されておらず,武器と防具の装備制限もないようだ。どんな装備を組み合わせて戦うか,完全にプレイヤーの自由だ。
なお,個性自体は初期設定に加え,レベルアップ時に上げるステータス,そして「ファイター」「レンジャー」「ウィザード」のうち,どのスキルを取るかで特徴が決まる形になっている。
装備の基本としては,両手のそれぞれに任意の武器や盾を装着できる。右手に槍,左手に盾といった定番の組み合わせはもちろん,右手に片手剣を持って,左手に拳銃を握る海賊スタイルもできるし,純粋な片手剣の二刀流でもいい。
コントローラ操作の場合,右手と左手はそれぞれ左右のトリガーに割り当てられているので,操作が直感的なところも嬉しい。
また,2種類の武装をボタン1つで切り替えられる。剣+盾と両手剣を状況に応じて使い分けたり,小銃で先制攻撃を仕掛けて敵を釣ってから近接武器で戦ったりするなんて戦法も簡単だ。
魔法に関しては,武器と同じようにグリモア(魔術書)を装備すれば,主人公のステータスに関係なく,マナを消費していつでも発動できる。ただし,今回は脳筋スタイルのステータスにしていたせいか,強敵のライフを削りきるのが難しく,またマナの回復手段も限られていたので,魔法のみで押し切るのは難しかった。
魔術師を志すのであれば,それに適した成長や立ち回りがあるのかもしれない。
序盤でも敵の数が多かったり,攻撃が熾烈だったりする場所があり,きちんとタイミングを合わせてガードしないと,あっという間に体力を削られることもままあった。ガードをするには両手武器を使うか,左手に盾を持つか,左手を空けて片手武器を装備するしかない。
敵の攻撃をしっかりと避けられる自信がなければ,Lトリガーでガードできる装備の組み合わせを用意するほうがいいだろう。
先行プレビューは序盤の数時間だけだったが,全体としてはかなり手堅く作られているRPGといった印象だ。Obsidianが手がけたRPGを楽しめたゲーマーであれば,本作も満足できそうな予感がある。
また,New Vegasなどに比べて,アクション性が明確に向上している。攻撃と防御(あるいは回避)のメリハリがより重要になっていて,しっかりと「プレイヤー自身の操作で戦う」必要性が高まっているようだ。
敵にはスタンメーターが存在し,これをゼロにしてから攻撃を繰り出すと,派手なスペシャルアタックが発動して大ダメージを与えられる。こうしたところもアクション性を高めるためのシステムだと思われるが,うまく決まったときは爽快感も高く,タフな敵を相手にするには欠かせない攻撃手段の1つと言えそうだ。
プレビュービルドはメインクエストの途中,なかなか驚かされる形で終了している。詳しくは紹介できないが,続きが気になる展開になっていた。開発中ゆえの不具合も見られたが,2025年2月に予定されている正式リリースを楽しみに待ちたい。