プレイレポート
「Crossfire: Legion」アーリーアクセス版のプレイレポートを掲載。伝統的なRTSのシステムと多彩な“指揮官能力”がスリリングな戦いをもたらす
本作では,グローバルリスクとブラックリストの対立構造に,オリジナルの第三勢力「ニューホライゾン」が登場。AIにより人類の限界を超越しようとする世界的企業連合で,ロボット兵器を始めとした未来的な武装で戦う。また,グローバルリスクは“地球資源の管理権を維持するために戦う各国政府の連合体”,ブラックリストは“恵まれない国のために戦い,万民に平等をもたらそうとする民間軍事会社”という設定になっている。単純な善悪二元論ではなく,各勢力に大儀があるという側面が強められているのである。
今回,このアーリーアクセス版を遊んでみたので,プレイレポートをお届けしよう。
伝統的なシステムがベースのRTS。“キャンペーンモード”で操作も学べる
本作の基本的なシステムは,伝統的なRTSの文法に沿ってまとめられている。すべての基本となる「コアベース」(いわゆる基地)を建て,ワーカーユニットで「素材」「燃料」といった資源を収集。これを元手に建物や防御施設を作り,そこから戦闘ユニットを生産し,敵を攻撃するのだ。建物の中には,ユニットの特殊武器を研究できたり,扱える部隊の上限値を表す「人口」をアップさせられたりといったものも存在する。安いユニットを使い捨てにして敵陣をけん制しつつ,こうした建物で内政も進め,本命の機甲部隊を作っていく……というセオリーも一般的なRTSと同様だ。
ショートカットキーを駆使して素早く操作するほど有利になるという印象で,「スタークラフト」などのPC用RTSを経験した人なら,操作はすぐに慣れるだろう。
マップの各所には基地を建てる専用スペースがあり,そこに素材と燃料の資源もセットで配置されている。逆に言えば,そこ以外の場所には基地を建てることはできないわけだ。また,新たな基地(いわゆるセカンド)を建てる候補地も一目瞭然で,攻防の焦点は分かりやすい。
3つの勢力は,それぞれ得意とする戦術が異なる。グローバルリスクは,少ないコストで多くのユニットを作れる頭数勝負。ブラックリストは奇襲が得意。ニューホライゾンは高コストのユニットによる少数精鋭といった感じだ。
基本的な歩兵ユニットで比較してみると,グローバルリスクの「機動兵」は,7カウントで生産でき,素材50と人口2を必要とする。手早く数を揃えられるグローバルリスクらしい兵種だ。
ブラックリストの「ブルドッグ」なら10カウントと素材50,人口2。こちらは機動兵より生産に時間こそかかるが,ステルス能力を持っており奇襲に持ってこいのユニットになる。
そして,ニューホライゾンの「ヴァンパイア」は20カウントと素材150,人口2。1体作るのに機動兵の3倍近くもの素材が必要なうえ飛び道具を持たないが,移動と攻撃の速度は速く,攻撃で敵からエネルギーを吸い取って自分のシールド(バリアのようなもの)を増やす特殊能力を持つ。このように,各勢力は個性的なユニットで構成されているため,相手に合わせた戦術が求められる。
本作のユニットはいずれも個性的だ。ニューホライゾンの「ハイペリオン」(画面中央左側)はまさにロボット兵器で,無数の誘導弾で攻撃する |
ブラックリストの「チーター」は「ハープーン」と呼ばれるモリを装備しており,うまく敵航空ユニットに撃ち込めば地面へ引きずり下ろせる。こうなれば,対空能力を持たないユニットでも攻撃が可能だ |
RTSに慣れない読者からすると一見ややこしそうだが,1人用の「キャンペーン」モードをプレイすれば,一通りの概要は学べるようになっている。
そのキャンペーンモードでは,あるときはグローバルリスク,またある時はブラックリストというように,勢力を変えながらプレイしていくことになる。味方の護衛や,孤立した状態で少数部隊を率いての探索,仲間との連携攻撃といったドラマチックなシチュエーションが用意されており,コアベースを建てられなかったり,厳しい時間制限が課せられていたりと普通のプレイとは異なる部分も多い。
しかし,各ユニットの性能,そして本作の特徴である「指揮官能力」について知ることができるはずだ。また,優れた能力を持つ「ヒーローユニット」の力で,対戦プレイよりも派手な展開が楽しめるのも魅力である。
多彩な「指揮官能力」がスリリングな戦いをもたらす
3つの勢力にはそれぞれ個性的な「指揮官」がおり,「指揮官エネルギー」を消費して,攻撃や防御を補助する指揮官能力を発動できる。
例えば,グローバルリスクの「カーディナル」であれば,一定エリアに砲弾の雨を降らせる「随意砲撃」と,味方を回復させつつ攻撃速度も上げるフィールドを設置する「奮起」を利用可能だ。また,ブラックリストの「フェニックス」であれば,周囲の味方を回復させる簡易基地を設置する「ゴーストコア」と,任意のユニットをゴーストコアへテレポートさせてステルス状態とする「ゴーストリコール」を利用できる。カーディナルはジリジリと戦線を押し上げる正統派で,フェニックスは敵陣近くにゴーストコアを設置し,そこに絶え間なく部隊を送り込むトリッキーな戦い方ができる指揮官といったところだ。
もちろん,敵の指揮官もこうした能力を使ってくるので,こちらの指揮官を誰にするか,いつ指揮官能力を使うか,敵の指揮官能力にどう対応するかが重要になる。また,同じ勢力でも指揮官が違えば指揮官能力も変わってくるため,違った戦法を考えなければならない。
「フェニックス」の指揮官能力「ゴーストコア」は任意の場所に設置できる簡易基地で,これ自体の防御力は低いものの,周囲の味方を回復させられる |
「ゴーストリコール」でテレポートさせたユニットは,ゴーストコアのところに到着するので,絶え間なく戦力を送り込める |
指揮官の存在は,キャンペーンで綴られる物語にも影響を及ぼしている。カーディナルは過去にブラックリストのテロで妻を喪い,復讐のために戦い続けている。しかし,その娘であるエンジェルはニューホライゾンに所属し,カーディナルに復讐の空しさを訴える……というように,指揮官たちの運命が絡み合うドラマが展開されているのだ。
カーディナルの娘・エンジェルは,幼い頃ブラックリストのテロに巻き込まれた |
カーディナルはグローバルリスクで戦い続けているが,成長したエンジェルはニューホライゾンで父に復讐の空しさを訴える |
伝統的なRTSのスタイルを採りつつ,指揮官能力で派手な展開が楽しめる「Crossfire: Legion」。現時点ではアーリーアクセスの状態であり,すべての要素が実装されているわけではなく,その仕様も大きく変化を続けている。
例えばキャンペーンではまだニューホライゾン編が実装されておらず,カーディナルとエンジェル父娘の運命を見届けることはできない。また,キャンペーンにはチェックポイントがないため,ゲームオーバーになるとステージの最初からやり直しになるうえに厳しい時間制限を課せられることもあるため,このあたりは人によって好みが分かれるだろう。
ほかにも,対戦プレイする際のオーダー(建物やユニットを作る順番のセオリー)を教えてくれるモードが存在せず,キャンペーンと対戦ではルールがかなり違っているので,対戦モードに挑戦するハードルが高い印象だ。例えば,指揮官ポイントはキャンペーンだと敵を倒して獲得するが,対戦プレイでは最初に最大値が与えられ,その後は補充されないといった違いがある。
そうした気になる点はあるものの,2022年6月30日のアップデートによりゲーム内ストアでユニットをアンロックするシステムが削除されたように,今後も改善や機能追加は行われていくだろう。それによって,どのような作品へと成長していくのか,その完成を楽しみにしたいところだ。
「Crossfire: Legion」Steam紹介ページ
「Crossfire: Legion」公式サイト
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Crossfire: Legion
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Crossfire Legion(C)2022 Smilegate Entertainment. Published by Prime Matter, a division of PLAION GmbH, Embracer Platz 1, 6604 Höfen, Austria. Prime Matter and its respective logos are trademarks of PLAION GmbH. Developed by Blackbird Interactive (BBI). BBI, Blackbird Interactive, and the associated logo are registered trademarks. All other trademarks, logos and copyrights are property of their respective owners. All rights reserved.