プレイレポート
「ワンダーランズ 〜タイニー・ティナと魔法の世界」先行インプレッション。ボーダーランズ+ファンタジー=ヒャッファンタジーな世界観を体験
なお,記事内で触れているすべての情報はプレビュービルドのものであり,ゲームの製品版とは異なる場合がある。また,ゲームのストーリーに軽く触れる箇所があるので,その点をご了承いただければ幸いだ。
「ワンダーランズ 〜タイニー・ティナと魔法の世界」公式サイト
世界一危険な13歳,クレイジー+カオスな世界にファンタジーを引き連れて帰還
ワンダーランズの大元となるボーダーランズは,FPSとRPGが融合したゲームシステムに,“ハックアンドスラッシュ”の要素を加えたことで世界規模の人気を博した人気シリーズ。ワンダーランズはスピンオフと銘打ちながらも,フルサイズの単体作品として登場する。
ただ,ボーダーランズに「ファンタジー要素」が追加されたことで「面白くなるの?」,「低年齢層向けなんじゃない?」といった疑念があるのも事実だろう。実際,筆者はプレイするまでは「より幅広い年齢が遊べるようになったボーダーランズ」だと考えていたし,あの突き抜けたカオスな世界観――“ヒャッハー的なノリ”がなくなってしまうのではないかと気になっていた。もっと正確に言うと,「ボーダーランズ2」のDLC第4弾「タイニー・ティナとドラゴンの城塞 〜ワンダーランズで一発限りの大冒険!」のテンションが維持されるのか不安であったのだ。
だがプレイを終えた今,その心配は杞憂だったと言っていいだろう。確かにプレイヤーは魔法を使えるし,いきなり登場する味方NPCもゴブリンだったのは事実だ。だが,これだけで“あぁ,ボーダーランズはいろいろな意味でファンタジーになってしまった”と判断するには気が早いというもの。魔法だけでなく,シリーズおなじみの銃もぶっ放すし(なんなら銃がメイン火力である),序盤から突き抜けるカオスな世界観ももちろん健在だ。群れる雑魚エネミーのゴブリンを討伐した後,彼らが倒れる際の断末魔の1つは「もう小便できねえのか…」である。
この時点で察してもらえるだろうが,しっかりとボーダーランズの世界観は引き継がれている。“ヒャッファンタジー”とタイトルにも記したが,「FPS+RPG+ハックアンドスラッシュ+“ヒャッハー”」はそのままに,その世界観をファンタジーに変えたという認識で問題ないだろう。“ヒャッハーの灯”は消えていないし,むしろファンタジー要素が加わったことによって,勢いは増す一方で,その点は安心してもらえるはずだ。
ちなみに本作の舞台「ワンダーランズ」は,“ウサギ,甘いもの,兵器レベルの爆発物をこよなく愛する世界一危険な13歳の少女”「タイニー・ティナ」が作り上げた魔法の国(超カオス)で,「フェイトメーカー(プレイヤー)」の目的は“奇想天外な敵を撃って,斬って,呪文を唱えて,戦利品を拾いまくれ! お宝の山が眠る数々のダンジョンに挑んで,暴君ドラゴン・ロードをぶっ倒せ!”(公式サイトより引用)となる。説明文からすでにツッコミどころ満載だが,なんでもアリの世界なのでひとまずはそういうものとして捉えておこう。
イカしたフェイトメーカーになるために
プレイヤーは伝説の「フェイトメーカー」(勇者)であり,ゲーム開始時には「外見」(キャラクタークリエイト),「クラス」(プレイスタイル),「アーキタイプ」を決定し,初期ステータスを振り分けてスタートすることになる。
今回のプレビュービルドでは残念ながら,すでに作成済みのキャラクターを選択する仕様だったが,製品版では多岐にわたるキャラクタークリエイトと,6種類の初期クラスから「メインクラス」を選択できるという。世界を救う使命を帯びたフェイトメーカーが“クソダサい”なんてことがあってはならず,ぜひとも“超絶イケてるアバター”で冒険に繰り出したいところだ。
だが,世界を救う崇高な使命を帯びる,そんなバックボーンがある中でも“自然の摂理を完全に無視した”外見も作り出せる。ゲーマーの中に一定数が確実に存在する,「とりあえずキャラクリで冒険する層」も首を縦に振るであろう納得の仕様だ。なお,キャラクターの個性であるアーキタイプは,ゲーム内の会話や発言が変化するほか,キャラクターのベースとなるステータスにも影響を与える。
プレイスタイルが決まるクラスは非常に重要な要素だ。キャラクターは成長するにつれて「メインクラス」と「サブクラス」,2つのクラスを備えた「マルチクラス・ヒーロー」と変化する。それぞれのクラスで習得するスキルやパッシブ・アビリティがキャラクタービルドへ大きなアクセントをもたらすが,作成時に決定するメインクラスだけはやり直しが利かない要素なので,自身のプレイスタイルと相談して慎重に決定しよう。仮に別のメインクラスを使用したい場合は別のキャラ作成が必要となる。
変更が利かない部分はメインクラスくらいなもので,レベルアップで入手できる「勇者ポイント」(基礎ステータスの向上に用いる)や「スキル・ポイント」(スキルの開放やアップグレードに用いる)は,ゲーム内通貨を用いることで割り振りをやり直せる。外見も変更が可能で,さまざまなプレイスタイルの試行錯誤,ロールプレイができるのは,プレイヤーとしては非常にありがたい部分だろう。ノリと勢いだけで奇抜なデザインにして後々後悔してしまう人も安心してほしい。
見た目とクラスが決まったあとはワンダーランズでの冒険を存分に楽しめばいい。銃と魔法をぶっ放し,奇想天外な敵を殲滅し,戦利品を選別しては「ちょっと欲しいのと違う」と嘆き,個性の塊のようなキャラクターと出会い,物語は進んでいく。いろいろと考えたくなることはあるかもしれないが,「細かいことは気にせず,銃と魔法をぶっ放せ。」
突き抜けたカオスとクレイジー溢れる世界を往く
先行体験会でプレイできたのは「マウント・クロウ」と呼ばれるエリア。ゲーム全体の流れは,各エリアでのクエストをこなすことでストーリーが進んでいく形式のようで,筆者がプレイしたのはゲームの中でもごく一部ということになる。「マウント・クロウ」を歩きつつ,プレイフィールを紹介していこう。
本作は単純なシューターではなく“シューティングRPG”であり,レベルアップには経験値が必要となる。マップの至るところに敵が配置されているが,それらを片っ端から殲滅し,レベル上げをするのもいいだろう。トリガーハッピーで撃ちまくると弾切れが心配になるが,弾薬,回復アイテムなどが収まっているボックスが頻繁に設置されているので,ご安心を。
プレイヤーの体力は「ライフ」と「結界」に分かれており,攻撃がヒットすると先に結界からダメージを受けていく。結界はダメージを受けても,一定時間経過することで自動で回復していくので,追撃を受けないように立ち回りたい。ライフは回復アイテムでしか回復できないので,“結界の範囲内で敵から受けるダメージを抑える”ことが重要になってくる。
武器などの装備は倒した敵からドロップするほか,自販機で購入できる。なお,本作のウリにもなっている「魔法」だが,これはレベルアップなどにより習得するものではなく,装備品の1つという扱いだ。単純にダメージを与えるものから,デバフ効果で戦況を有利に進めるものなど,さまざまな効果が用意されている。戦況を大きく傾けるものではなく,「こまめに使用して有利に戦いを進める」ためのものといった印象だ。使用後にクールタイムがあるだけで,MP消費などの概念もないため,気軽に使っていこう。
“魔法は戦況を大きく傾けるものではない”と先述したが,各クラスが2つ持っている「アクション・スキル」がこれに近いものだろう。例としてメインクラス「グレイヴボーン」の場合,自身のライフを消費して周囲の敵へダメージを与える「ダイア・サクリファイス」,一瞬でライフが全回復するものの,時間経過で減少していく「ボーン・リーパー」があり,どちらか1つを装備して使用できる。強力な効果の代償としてクールダウンはやや重めだが,冒険の役に立つことは間違いない。
ワンダーランズの各マップ内にはストーリーの軸となる「メインストーリークエスト」のほか,「サイドクエスト」や収集品が配置されている。体験版では反映されなかったが,製品版の収集品は単なるゲーム内コレクションではなく,集めることでキャラクターの特性を成長させられるようだ。
今回筆者は難度「バランス」(標準難度)でプレイした。あくまで個人の印象になってしまうが,そこまでシビアな戦いを強いられるわけではなく,PvEシューターとしては標準的な難度に収まっているように感じられた。難度はバランス以外に,“画面の中の小さなキャラクターたちとのんびり,ついでに世界を救える”「リラックス」,“どんなやつでも関係ない,すべてを殲滅!”「インテンス」と上下にそれぞれ1つずつ用意されており,「ボーダーランズ」シリーズを経験していない層から手慣れのプレイヤーまで,存分にワンダーランドの冒険を楽しめるだろう。
なにより,あの“突き抜けたカオスとクレイジー溢れる世界観”を再び体験できるとあり,期待も大きい本作。シリーズファンはもちろん,「とりあえずトリガーを引きたい」「イカれた世界観が好き」なゲーマーまで,幅広くオススメしたい一作だ。
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