プレイレポート
「BABYLON'S FALL」プレイレポート。4つの武器を使うシステムが独特なハックアンドスラッシュ系アクションRPG
今回は,先行体験版とアーリーアクセスのプレイレポートをお届けしていく。
本作においてプレイヤーは,「センチネル」と呼ばれる超人戦士となり,巨大な塔「バビロン」を攻略する戦いに身を投じる。センチネルは,帝国に虜囚として強引に連れてこられ,さらには背中に謎のデバイス「機棺(ギデオンコフィン)」が取り付けられた,無理矢理戦わされる哀れな改造人間である。帝国に逆らうとギデオンコフィンの仕掛けで殺されてしまうし,センチネルの中にはギデオンコフィンの副作用で怪物化する者もいるのだ。帝国に逆らうと死,従っても怪物化。絶望的な状況の中,バビロンを攻略して生き延びる可能性に賭けるのである。
ギデオンコフィンに適合しない者は死んでしまう |
ギデオンコフィンに適合できても,怪物化する者も |
塔のある「ネオバビロン」は,死に至る病が流行し,人間を狩る怪物もいるような絶望の街。そんな暗い背景を抱えたこの場所を,本作では油絵のようなタッチのグラフィックスで描いている。スクリーンショットを見てもらえれば分かるが,独特の雰囲気が醸し出されているのだ。
プレイヤーは,クエストを受注して最大4人でパーティを編成し,バビロンに挑む。1つのクエストは何回かの雑魚戦,道中のギミック突破,そしてボス戦という流れになっており,アクションゲームの面白さがコンパクトにまとめられた構成だ。
本作を開発しているのは,「ニーア」シリーズなどを手がけ,アクションゲームに定評のあるプラチナゲームズである。本作の操作感も良好で,プレイを開始してすぐに激しい戦いを楽しめる。敵の攻撃をギリギリで回避すると「ジャスト回避」となり,ここから強力な攻撃を繰り出したり,後述する「追加効果」の発動条件になったりするあたりは,プラチナゲームズっぽい。
本作最大の特徴は,プレイヤーが4つの武器を操り,自由な戦闘スタイルを構築できることだ。素早い「ライトアタック」,遅いものの威力がある「ヘヴィアタック」,そしてギデオンコフィンから伸びる糸で武器を操る「ゴーストアタック」2つ,合計4つの枠に好きな武器を装備できる。“4つある攻撃ボタンに,異なる武器を割り振れる”といった方が分かりやすいだろうか。PS5版だと[□](ライトアタック),[△](ヘヴィアタック),[L1](ゴーストアタック1),[R2](ゴーストアタック2)があり,それぞれのボタンを押すと,割り振った武器が振るわれるわけだ。
現時点で武器の種類は,バランスが取れた「ソード」,一撃がデカい「ハンマー」,遠隔攻撃できる「ボウ」,溜めでバフやデバフ(味方補助・敵妨害)をかけられる「ロッド」,敵の攻撃を防いだり,パリィできる「シールド」の5系列が存在する。
こうした仕組みになっているので,例えばライトアタック枠は近接攻撃のソード,ヘヴィアタック枠は飛び道具のボウ,ゴーストアタック枠はバフのロッドと,高威力をお見舞いしたいときに使うハンマーというように,欲張りな組み合わせにしてもいい。この場合,ロッドで自分にバフをかけつつ,敵が遠いうちはボウで矢を浴びせかけ,近寄ってきたらソードで斬りつつハンマーで潰す……なんてことが当たり前にできる。1人で職場を回す,ワンオペ千手観音の気分だ。
初期状態だと4枠にすべて同じ武器を装備しているため,このシステムに気づきにくいかもしれない。しかし,実は4枠に別々の武器を装備していいことが分かると,本作の面白さが一気に広がるだろう。そう,皆がどの武器を装備してもいいので,いわゆる職業という概念が存在しないのだ。オンラインRPGの多くは,職業ごとに盾役や回復役といった役割が与えられており,盾役は前で敵の注意を惹きつけ,回復役は後ろで治療やバフに勤しむというように,自分の役割に集中する必要がある。
一方本作では,装備に応じて自由に立ち回れる。前述のように,すべてのレンジに対応した多芸な組み合わせにしてもいいし,全枠「シールド」で防ぎまくるとか,全枠ロッドでバフやデバフをかけまくってもいいのだ。この辺りのセオリーはゲームが進むにつれて変わっていくかもしれないが,先行体験版とアーリーアクセスの時点では4枠それぞれで異なる武器を持ったプレイヤーがほとんどだった。
アクションゲームに慣れている人なら,「複数の武器を切り替えて戦うなんて,よくあるじゃないか」と思うかもしれない。しかし,本作では“4つの枠にはそれぞれ役割があり,どの枠にどの武器を割り当てるかも戦術のうち”であり,かつ“3つの武器を併用できる”のがポイントだ。
ライトアタック枠に装備した武器はいわゆる弱攻撃しか出せず,ヘヴィアタック枠は強攻撃しか出せない。手数を稼ぎたい武器はライトアタック枠,威力重視ならヘヴィアタック枠といったように,武器の特性に合わせてセットする必要がある。
さらに「シールド」の場合,構えて攻撃を防ぐ「ガード」は弱攻撃,シールドで殴りつつ敵の攻撃を払いのける「パリィ」は強攻撃扱いになるため,守りを固めると攻撃の枠を埋めてしまうのが悩ましい。
そして,ゴーストアタック枠2つは,手ではなくギデオンコフィンから伸びた糸で武器を操るため,ほかの武器と同時に使える。ゴーストアタック枠のシールドで身を守りつつ,その後ろからボウを撃ち,もう1つのゴーストアタック枠に装備したロッドでも弾を撃つ。ソードで斬り付けつつ,ゴーストアタック枠2つに装備した2本のハンマーで餅つきのように殴り続けるなど,手持ちの武器と思いつきによって,さまざまな組み合わせの戦法が可能だ。
ただし,ゴーストアタックにはSPというリソースが必要で,これは攻撃を当てたり,時間が経過したりすることで回復する。激しく戦う中でSPを管理しつつ,敵が膝をついた時などのチャンスにラッシュをかけられると気持ちがいい。
それぞれの武器には「連打」に加え,「溜め」や「押しっぱなし」といった操作も存在している。例えばソードは連打で連続攻撃を出せ,ハンマーは溜めて離すと強力な一撃を放ち,シールドは押しっぱなしでガードする。これはゴーストアタック枠でも同様だ。
4つの武器,そのうち3つの併用,さらにそれぞれの操作となると,とにかく脳と指先が忙しい。ライトアタック枠のボウは連打しつつ,ゴーストアタック枠1のシールドは押しっぱなしにし,ゴーストアタック枠2のハンマーは溜めて,敵が近づいてきたら解放する……なんて操作も可能なわけで,脳がもう1つ欲しくなる。
文章にするとややこしそうだが,本作の面白さはそのややこしさ,言い換えれば“マルチタスクの忙しさに頭をフル回転させる”ことにもあると感じられた。それぞれの枠に求められる操作自体はシンプルであるものの,3つまで同時に行えるのは新しい。もちろん,ここまでややこしい操作をしなくてもゲーム自体は進められるし,操作のシンプルさを優先した武器の組み合わせにするのもアリだ。ゴーストアタック枠2つにソード2本を割り振れば,[L2][R2]を押しっぱなしで連続攻撃してくれるため,簡単に気持ちよくなれる。全枠を同じ武器にするというのも普通にアリなのだから,自由度が高い。
そして,これらの装備にはランダムで追加効果が付与される。ここまでならハックアンドスラッシュものの定番だが,本作の追加効果は単にパラメータが上がるだけでなく,発動の条件に特定のアクションや仲間が絡むところがユニークだ。
条件となるアクションはジャスト回避や溜め,規定数以上のコンボを決めるなどさまざま。「周囲に味方がいるときにジャスト回避やガードを決めれば,自分と仲間のSP回復速度が上がる」といったものもあり,このときは“仲間の近くで戦うこと”と“ジャスト回避やガードを狙うこと”を意識するようになる。つまり,追加効果が数値の高低だけでなく,立ち回りに影響を及ぼすわけで,アクションRPGとしては面白い工夫と言えるだろう。
ステージの最後にはボスが待ち構えている。広範囲攻撃や弾幕,ワープなどさまざまな技を使ってこちらを攻めてくるため,攻撃パターンを観察することが重要になる。特に気を付けたいのが,ボスが使ってくる必殺技だ。必殺技には前兆があり,ボスが力を溜めたり,フィールドに特殊なオブジェクトを設置したりする。ここで制限時間内に一定以上のダメージを与えられないと必殺技が発動してしまい,画面全域に高威力の攻撃が放たれたり,雑魚をパワーアップさせたりする。一気に火力を集中させないといけないわけで,適切な武器の組み合わせと,前述したゴーストアタックへの理解が求められるだろう。
ゲームがある程度進み,体験版の範囲を越えると,マップのギミックも手ごわくなってくる。溶岩に浮かぶ足場を飛び渡ったり,転がる岩を避けたり,ギデオンコフィンから伸びる糸を使ったワイヤーアクションで崖を越えたりと,緊張感がある。ボスも強くなり,しっかり装備を揃えておかないとソロプレイは厳しくなってくるだろう。
本作は,プラチナゲームズらしい操作感が気持ちいいアクションで,武器の併用による独特の戦闘システムが楽しめるタイトルだ。さらに,集めた装備によって立ち回りも変わってくるとなると,自分なりの戦闘スタイルを構築して,理想の武器を収集するのにも熱が入ることだろう。激しいアクションやハックアンドスラッシュが好きな人は,体験版もあるのでぜひプレイしてみよう。
「BABYLON'S FALL」公式サイト
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