プレイレポート
Switch版「刀剣乱舞無双」プレイレポート。アクション初心者向けの配慮が嬉しく,刀剣男士たちを繊細に描く物語や演出も素晴らしい仕上がり
本作は,DMM GAMESとニトロプラスが共同で制作している,“とうらぶ”こと刀剣育成シミュレーションゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」とコーエーテクモゲームスのアクションゲーム「無双」シリーズのコラボレーション作品だ。
「無双」シリーズを手掛けるω-Forceと,「ネオロマンス」シリーズなどの女性向けゲームでおなじみのルビーパーティーが開発した“「刀剣乱舞」初のコンシューマ向けゲーム”は,アクション初心者向けに配慮された難度や操作方法の設定,刀剣男士たちの関係性を繊細に描く物語や演出が素晴らしい仕上がりとなっていた。
「刀剣乱舞無双」公式サイト
刀剣男士の美しくてカッコいいアクションにうっとり
まずなにより注目してほしいのが,“主なき本丸という特殊な状況”で展開する物語だ。
歴史の転換期となる事件や出来事があった“過去”を攻撃し,歴史を改変せんとする歴史修正主義者と戦う,歴史の守り手である審神者(さにわ)と刀剣男士たち。物語は,歴史修正主義者の軍勢である時間遡行軍(じかんそこうぐん)に,本拠地である本丸が襲われるところから始まる。
この時点で,すでに審神者の姿はない。というのも,時間遡行軍の襲撃は今回で二度目。最初の襲撃はどうにか退けたものの,本丸の損傷は著しく,戦力を大きく失い,そして審神者もその戦いの中で姿を消したというのだ。
危機を乗り越えるべく,“漂流”することで本丸を隠してきたのが,本作に登場する十五振りの刀剣男士たち。為す術なく時間遡行軍に見つかってしまった彼らは,その戦いのさなか,時の政府から派遣されたこんのすけと遭遇。政府より「強襲任務」という名の特殊任務を与えられる。
十五振りの刀剣男士たちは,こんのすけから授かった「強化紋様」で新たな力を解放し,本丸に迫る時間遡行軍を撃退。変則的に編成された五部隊に分かれた彼らは,“審神者との特別な場所”である本丸での日々を取り戻すべく,新たな戦いに身を投じることになるのだ。
こうして過酷な戦いに身を投じる刀剣男士たちがけなげで切なく,それだけに「早く主に会わせてあげたい!」という気持ちが湧き,彼らの戦いを見届けようとも思えてくる。「刀剣乱舞」ファンだからこそ心が痛むこともあるが,それだけに深くゲームの世界に没入できるはずだ。
ストーリーは章仕立てで進行していき,チュートリアルを兼ねたイントロダクションである「序章」を終えると,第五部隊の山姥切国広と山姥切長義の戦いを追う1章「伯仲の章」が始まる。
山姥切国広と山姥切長義が向かった先は,時間遡行軍によって歪められようとしている戦国時代。本能寺の変の勃発により羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)が出征先の中国地方から京へと強行軍で取って返し,仇敵である明智光秀の軍勢を撃破した“中国大返し”が行われようとしている時だ。
時間遡行軍は,天下人・秀吉の大きな一歩となったこの出来事を書き換えようとしているらしい。各章では史実の出来事が戦いの舞台として描かれ,1つの章には複数の戦場が用意されている。
章のクリア目標ともなる“何が改変されようとしているのか”は,こんのすけから伝えられ,各戦場に挑む際には「戦場情報」でマップや勝敗条件を確認できるので,出陣前にそれらをしっかり確認しておこう。
“史実の出来事”とはいえ,それは時間遡行軍によって歪められており,イレギュラーや未知なる敵の襲撃などが発生するため,どのような展開になるか分からない。この,先の読めないドキドキ感はなかなかのものだ。
ときには,その結果が多くの犠牲を生むことを知っていながら,正しい歴史の流れを守るため行動しなければならない場面も。戦場の厳しさはもちろん,刀剣男士たちが時間遡行軍と戦ううえで“向き合っているもの”を感じられるところも,「深いな」と感じた。
史実の有名武将たちが多数登場するところも,歴史ファンとしては嬉しいところだ。
刀剣男士たちは,ときにともに戦い,ときに隠密行動で陰から支え,歴史をあるべき姿に戻すため奮闘する。刀剣男士が,自身の刀剣時代の持ち主だった武将とともに戦ったり,その出会いによって心が揺れ動いたりといった胸が熱くなるシーンやストーリー展開も多数あるので期待してほしい。
本作の大きな魅力となっているのが,刀剣男士たちの個性豊かなアクションだ。戦場を華麗に舞うように戦う者がいれば,力強くなぎ倒す者もいる。また,戦場に降り立ってすぐの立ち振る舞いと参戦台詞も,それぞれの個性が際立ったものとなっていて魅力的だ。
戦場では,出陣する刀剣男士からメインの一振りを選んで操作することになるが,戦闘に参加しているほかの刀剣男士も戦いのさなかに話しかけてくれるので,“一緒に戦っている感”が伝わってくるところも最高だ。
戦場を駆けていくと,時間遡行軍の姿を発見! 歴史を守るため,容赦なく切り伏せていくわけだが……「刀剣乱舞-ONLINE-」のプレイヤーとして長年顔を合わせてきた相手だけに,敵でありながら「こんな大きさで,こんな風に動くんだ……」と感慨深い気持ちになった。不気味で禍々しさのある敵の動きにもこだわりが感じられる。
容赦なく襲い掛かってくる無数の時間遡行軍を,シンプルな操作で爽快に,ざっくざっくと倒していけるところは,「無双」シリーズならではの特徴だろう。
一期一振なら突き,山姥切国広なら鞘も活用した二刀流など,刀剣男士ごとのアクションの違いも見どころだ。「刀剣乱舞-ONLINE-」をプレイしながら想像していた彼らの戦う姿を,目の前で,しかも自分が操作して楽しめることは,審神者にはたまらない体験となるはずだ。
敵を倒すと溜まっていくゲージを消費して発動する必殺技は,華やかな演出が美しい。その美しさは,気が付けばスクリーンショットを連写していたほどだ。さまざまなフィルタやフレームが使える「フォトモード」も充実しているので,「一瞬も見逃したくない!」というくらいの見応えと,「撮り逃したくない!」というシャッターチャンスがたくさんある戦闘シーンをその目でたっぷりと楽しんでほしい。
戦場によっては,二振りの刀剣男士でバディを組んで戦うこともあり,これもたまらないものがある。山姥切国広と山姥切長義など,関わりが強い二振りでバディを組むと特殊なセリフが聴けるところも“ニヤリ”とできる要素だろう。
二振りで敵を斬りつける「バディ連撃」や,発動している間は無敵になる「双刀連携」といった,強力な攻撃を使えるところも特徴だ。また,二振りが協力して放つ必殺技「双刀必殺」の演出も魅力的で,「いろいろな組み合わせを試したい!」となるはず。
バディを組むと刀剣男士同士の絆が深まり,特別なイベントが発生することもある。もともと関連の深い二振りはもちろん,なかなか接点のない刀剣男士の組み合わせによる会話が楽しめるのも嬉しい。
ほかにも,真剣勝負の「鍔迫り合い」や,刀剣男士の負傷による装束の破損など,戦いを盛り上げる演出がいくつも用意されている。そのどれもがドラマチックで,気がつけば筆者は,刀剣男士たちが戦場で紡ぐ物語に時間を忘れて熱中していた。
本丸では刀剣男士たちの日常もたっぷり楽しめる
アクション初心者向けの配慮もばっちりで“迷わない”
過酷な戦いに身を投じる刀剣男士だが,拠点となる本丸ではのんびりと過ごしており,庭や奥の間などの場所に刀剣男士を配置すると,彼らの日常の様子を覗き見ることもできる。本丸の各場所に配置した刀剣男士は,出陣で選ばれなくても,戦闘クリア後に経験を得ることができるので,育成にも活用するといい。
筆者はとくに,縁側でのんびりお茶をする刀剣男士たちの姿が好きで,いろいろな組み合わせで配置しては,微笑ましい気分で見守っていた。こちらもフォトモードを活用し,ぜひお気に入りの一枚を撮影してほしい。
また時折,ミニゲームが発生することもある。短時間で遊ぶことができ,戦闘に疲れた時の息抜きにピッタリだ。成功しても失敗しても刀剣男士たちが楽しいリアクションをとってくれるので,発生したときはぜひ遊んでみてほしい。
強化して刀剣男士の能力を伸ばしたり,新しい強攻撃をセットしたりするのもプレイヤーの重要な役目だ。
戦いを有利に進められるようになるだけではなく,強攻撃をセットすることで刀剣男士の新たなアクションを眺められるという点でも,強化は積極的にやっていきたい要素となっている。強化に必要な素材は,各戦場のクリア報酬や本丸の配置報酬,ミニゲームで手に入るので,そこまで意識しなくても自然に溜まっていくだろう。
さて,「普段はあまりアクションゲームで遊ばない」「地図を見るのが苦手なので,戦場で迷ってしまいそう」といった理由で,本作をプレイできるか不安だという審神者も少なくないのではないだろうか。この辺りはあまり心配しなくても大丈夫そうだ。
難度は「易しい」「普通」「難しい」という3段階があり,「易しい」に設定すればとくに刀剣男士を強化しなくてもクリアできるくらいになる。また,アクション初心者向けの操作方法として,Yボタンを連打するだけでそのときにあった攻撃や回避を行ってくれる「簡単モード」が用意されているので,難度「易しい」で「簡単モード」に設定すれば,程よく爽快アクションを楽しみながら,スムーズにストーリーを進められるだろう。
戦場は,基本的には3分から5分ほどでクリアできるくらいの,シンプルでそこまで広さのないマップとなっているので,行き先が分からず同じところを行ったり来たり……ということにはなりにくい。また,こんのすけが目的地まで道案内をしてくれるので,地図が苦手な人も安心して出陣してほしい。
戦場を駆け抜けていくこんのすけを追いかけよう。方向キーの上を押せばすぐそばまで戻ってくるので,見失ったときも一安心 |
戦場によっては,こんのすけも目的地を判断できないことも。そのときは一緒にマップのあちこちを歩き回ろう。行き先につながる“なにか”を発見すると道案内を再開してくれる |
“主なき本丸”から始まる物語が展開する「刀剣乱舞無双」は,そのドラマチックな物語はもちろん,刀剣男士たちが戦う美しい姿や本丸での日常風景もたっぷり眺めることができる,“全審神者にオススメしたい一本”と言える作品だ。
試遊の範囲では会うことが叶わなかったが,新プレイアブルキャラクターの面影の存在も気になるところ。彼が何者で,刀剣男士たちにどんな影響を与えるのか……彼と出会うそのときを迎えるのが待ち遠しい。
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