プレイレポート
「神業 盗来 -KAMIWAZA TOURAI-」プレイレポート。型破りなステルスアクションで,貧困にあえぐ人々のために獲物を根こそぎ奪い取れ
病気の娘を治療する使命を抱えながら,民を助ける義賊として獲物を華麗に盗み出す,独特なステルスアクションを楽しめる本作を一足先に遊んでみたので,そのプレイレポートをお届けしよう。
「神業 盗来 -KAMIWAZA TOURAI-」公式サイト
義賊・海老三が娘のために立ち上がる
ジャストステルスで獲物を根こそぎ奪い去れ!
物語の舞台となるのは,幕藩体制の崩壊が目前に迫った江戸末期の日本。政情不安により貧富の格差が大きく広がり,天保の大飢饉で苦しんでいる民衆に希望を与えていたのが,東北地方を根城とする義賊の集団“銀鴉衆”だ。
主人公の海老三は,兄貴分である藍之助のもと,銀鴉衆の見習いとして活動していた。彼らは義賊として誇りを持っていたが,ある家に侵入している途中,銀鴉衆が殺しに手を染めていたことを知ってしまう。
失望した2人は,その場で銀鴉衆からの足抜けを決意。藍之助に足止めを任せ,海老三は生き残ったその家の娘を保護し,遠く離れた地まで逃げ延びた。海老三はその後,すずなと名乗る娘を我が子とし,大工として第二の人生を歩むことになる。
足抜けから10年後。貧しいながらも幸せに暮らしていた海老三とすずなだったが,突如としてすずなが大病を患ってしまう。治療に必要な薬は極めて高価であり,稼ぎの少ない海老三が賄える金額ではない。海老三は迷いを振り払い,すずなを救うため,再び盗みに手を染める決意をするのだった。
しかし,海老三は獲物を換金するツテを持っていない。そんな海老三の前にやって来たのが,かつて共に銀鴉衆を抜けた藍之助だ。藍之助は海老三を義賊に戻るよう誘い,娘だけでなく貧困にあえぐ民草を救おうと提案する。海老三は「人殺しはしない」という条件で藍之助を信じ,義賊としての活動を再開することになる。
そんな海老三の拠点になるのが,地域の盗人達が集うコミュニティ「盗人之湯」だ。ここでは盗んだ獲物の換金や,新たな獲物のネタ(クエスト)の受注,さまざまな道具の購入や,技術の習得が行える。
まずはネタを受けて狙った獲物を盗み出し,納品して報酬を得ていくのが基本的なゲームの流れだ。そうしてお金が貯まったら,薬屋に出向いてすずなの薬を購入してあげよう。
ゲーム進行の自由度はかなり高く,最初のイベントが終わったらすぐにマップを探索できるようになる。ネタを受けていない状態でも,家屋に侵入したり,各所にある獲物を盗んだりと,好きなように行動できる。
獲物は千両箱からそのへんに落ちている板切れまでさまざまで,盗めるものに「盗みアクション」をヒットさせれば,背負っている風呂敷に吸い込まれていく。探索中に高価そうな獲物を見つけたら,どんどん奪っていこう。
もちろん,盗みを働いているときや,家屋に侵入しているときに姿を見られるのはご法度だ。壁に張り付いたり,階段と一体化して視線をそらしたり,アイテムで気を引いてすり抜けたりと,さまざまな手段を使って身を隠しながら行動しなければならない。
当然ながら,高価な獲物が隠されている建物には多数の警備が巡回している。本作のNPCはなかなか優秀で,ちょっとでも物音がすれば確認を怠らず,視界の範囲も広いため,相手の視線をすべてかいくぐるのは難しい。
そこで活躍するのが,本作最大の特徴となるシステム「ジャストステルス」だ。相手の視界内に入ると画面が一瞬スローになり,その瞬間にボタンを押すと,アクロバティックなアクションとともに視界から抜け出すことができる。
さらに,ジャストステルスで相手の視界から外れたり,アイテムを使って相手の視線をそらしたりすると「隠コンボ」が発動し,コンボが継続している間は盗みアクションが大幅に強化される。
これを活用すれば「自ら相手の視界に飛び込んでジャストステルスを決め,大量の獲物をかっさらい,さらに別のNPCの視線をジャストステルスで回避して逃げ出す」といった,大胆不敵な盗みを働くことも可能だ。
ジャストステルスで隠コンボを発動させたり,その間に盗みを成功させたりすると「素敵点」が手に入る。これは新スキルの習得などに必要なリソースなので,盗みの際はどんどんジャストステルスを決めていきたい。
ただし,ジャストステルスに失敗して姿を見られてしまった場合は,相手が海老三を見失うまで逃走しなければならない。風呂敷に獲物を詰めた状態では移動速度が大幅に低下するので,獲物を盗んだ後に発見されると振り切るのが難しくなる。
うまく逃走に成功したとしても,何度も姿を見られていた場合は街角に立てられた「人相書き」(似顔絵)が書き換わり,少しずつ海老三の姿が暴かれていく。人相書きが一定以上まで似ると自宅を特定され,このときに帰宅すると捕縛されてゲームオーバーだ。
このように,ジャストステルスは強力であると同時に,失敗したときのリスクも小さくない。まずは普通に隠れて敵の数や位置を把握し,どうしても敵の目前を走り抜ける必要がある場面ではジャストステルスに頼るなど,計画的に運用しよう。
現場を去った後も油断はできない。盗んだ獲物を詰め込んだ風呂敷は巨大化しており,それを担いだ状態で町中を歩けば注目されてしまう。自宅か盗人之湯に到達するまでは油断せず,しっかりと身を隠して行動しよう。
愛する娘と民衆のどちらを選ぶか
義賊のジレンマを乗り越えろ!
盗んだ獲物は盗人之湯で換金できるだけでなく,貧しい人々が寄付を募る「民箱」に入れることも可能だ。民箱に入れた場合は収入を得られないが,代わりに義賊として住民からの人気が上がる。
十分に人気を高めれば,ときおり住民が人相書きを荒らして捜査を撹乱してくれるほか,自宅にアイテムを届けてくれるなど,海老三の義賊としての活動を後押ししてくれるようになる。
逆に,警備が手薄だからといって貧しい人々から金品を盗んでしまうと人気が下がり,そういった支援を受けられなくなる。完全に露見せずに盗みを働くのは難しいので,安全のためにも住民の心をつかんでおくのは重要だ。
また,盗人之湯を利用するのもタダではない。ネタを受けるためにはお金が必要で,仕事を安全にこなすためのアイテムも購入する必要がある。さらに,より強力なアイテムを買うためには,盗人之湯の元締めにお金を貢がなければならない。
しかし,すずなに与える薬はかなり高価で,1日ごとに1服は飲ませなければ容態を安定させられない。当初の目的であるすずなの治療と,義賊として民に希望を与える活動を天秤にかけ,懐事情と相談してどちらを優先するかを考えるという,難しいジレンマに向き合うことになる。
実際にプレイしてみると分かるが,初プレイで薬の購入と義賊としての活動を両立させるのはかなり難しい。建物の構造を把握しきっていないマップではミスも増え,ネタで指定された獲物を探し出すだけでもそれなりに苦労する。ミスを重ねて人相書きが一定以上まで似てしまうと,町を歩くだけでも同心に追い回されるリスクが付きまとい,どんどん逆転が難しくなっていく。
どうしても攻略が難しいと感じたときは,1回目のプレイは基本を習得するための練習と割り切って,ゲームオーバーまで突っ走ってしまうのも1つの手だ。というのも,本作ではゲームオーバーになる(もしくはゲームをクリアする)と一部の成長要素を引き継いだ状態でゲームを開始する,いわゆる“強くてニューゲーム”が選択できるので,それまでのプレイが無駄にならないのだ。
ちゃんとゼロから自分の手でクリアしたいと思う人は,改めてニューゲームを選択すればOK。成長要素を引き継がなくても,おいしいネタやマップの構造など,基本を把握した状態でゲームを開始するだけでも滑り出しが良くなるはずだ。
PS2用ソフトのリマスター版なので,グラフィックスに荒削りな印象はあるが,自由度の高い型破りなステルスアクションや,すずなを救うためのお金と民衆からの支持を天秤にかけるジレンマなど,ゲームの核となる部分の魅力が再び楽しめるのは嬉しい。
何度も失敗しながら盗みの技術を覚え,少しずつ元気を取り戻していくすずなの姿や,施しに喜ぶ民衆の姿を見るのは素直に楽しい体験だ。ひと味違ったステルスアクションに挑戦したい人は,ぜひ本作に触れてみてほしい。
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