［プレイレポ］“ガールズ侍アクション”「SAMURAI MAIDEN -サムライメイデン-」を紹介。可愛いだけではなく，しっかりとした遊びごたえアリ

　ディースリー・パブリッシャーは2022年12月1日に，ガールズ侍アクション「SAMURAI MAIDEN -サムライメイデン-」（PS5/Switch/PS4/PC ※Steam版は8日）をリリースする。


　「なんか，女の子たちはめっちゃ可愛いけど，“ガールズ侍アクション”とは何ぞ？」という人も多いのではないかと思う本作。今回，発売前にプレイする機会を得たので，そのプレイレポートをお届けする。

JK侍と3人の女忍者を操り，冥界より湧き出た魑魅魍魎共を斬りまくれ！

　本作の導入は非常にスピーディー。主人公の女子高生・玉織 紬（たまおり つむぎ）が目を覚ますと，なんとそこは炎に包まれた本能寺！　えっ，じゃあこのヒゲの大男って……織田信長〜!?　というノリの超展開で始まる。

信長さん，すごい鎧着てますね……

　紬と信長が噛み合わない会話をしていると，織田信長直属の忍である「依夜（いよ）」，とある任務のため異世界から本能寺を訪れた「刃鋼（はがね）」，同じく異世界から訪れたケモ耳陰陽師の「狐美魅（こみみ）」の3人が現れる。

依夜は織田信長に仕えている忍。3人の女忍者の中では最も忍者らしい出で立ちをしている

「刃鋼」は，体の一部をからくりに改造した異世界の忍者。右腕の大きなからくりアームが特徴で，あらあらうふふな性格をしたお姉さん的存在だ

巨大なハンマーを持つ「狐美魅」。本名を「大春日狐美魅岬之甲矢比売（おおかすがこみみみさきのはやひめ）」というのだが，長すぎるため，「狐美魅」と呼ばれることに。いわゆる“のじゃロリ”系のキャラクターで，忍者ではあるが陰陽術もたしなむ

　依夜によると，紬は“調律の巫女”であり，魔王を倒すために未来から遣わされた存在であるという。依夜は「調律の巫女を助けて魔王を倒せ」というお告げを受けてこの場に馳せ参じたらしく，狐美魅も，依夜と同じお告げを受けてここへ来た。

　本能寺は明智光秀の軍勢に襲撃されている真っ最中なわけだが，その本能寺の地下から，戯骸（ギガイ）と呼ばれる亡者のなれの果てが湧き出ており，紬は何が何だかよく分からないまま，依夜・刃鋼・狐美魅の3人と共に，本能寺の地下へと進行することになる。

紬たちの行方を阻む戯骸たちにはさまざまな種類がいるが，数で攻めてくるガイコツ兵が最もベーシックな敵だ

　プレイヤーは紬を操作し，戯骸と呼ばれるガイコツ兵士たちをバッサバッサとなぎ倒していく。3Dアクションとしては非常にオーソドックスな作りで，操作方法を適宜，画面上で示してくれるので，特に戸惑うような要素は何もない。

　本作の特徴的な点が，「護影システム」だ。依夜・刃鋼・狐美魅の3人は紬に同行しており，任意のタイミングで切り替えることが可能。紬として刀で攻撃していると，依夜ら3人の中から現在呼び出している者のゲージが溜まり，ワンボタンで，3人の特色を生かしたそれぞれの「忍技」を使用できる。

たとえば狐美魅の場合，大きなハンマーを地面に叩きつける攻撃「氷突襲撃」をしてくれる。多数の敵が集まっている箇所で非常に有効だ

　紬だけでも，「小斬り」と「大斬り」を組み合わせたコンボ攻撃で敵を蹴散らすことはできるのだが，敵が多い場所だと，紬の攻撃中に敵の攻撃を受けてキャンセルされてしまうことも多い。そこで，紬による連続攻撃を始める前や後，もしくはその最中に忍技を織り交ぜることで，より隙のない，爽快感のあるバトルが楽しめるようになっている。

刃鋼の「雷拳射出」は右腕をロケットパンチのように飛ばした後，直線状に電撃を発する。当たった敵はしばらくスタンするので，使い勝手のいい技だ

　忍技を使うにはゲージを溜める必要があるが，それとは別に，依夜のみが使える「忍具」というものもある。こちらは1ステージ中に使用できる回数が制限されているが，状況に合わせて使うことで，戦闘をスムーズに進めることができる。

試しに依夜の忍術「時限爆弾」を発動してみると，攻撃位置を選択するカーソルが登場する。「なるほど，指定した位置に爆弾を投げてくれるのか」と思っていると……

手で運ぶんかい！

自分も巻き込まれるんかい！

「回復壺」は紬の体力を回復できる，ありがたい忍具だ

特定の場所では，刃鋼のからくりアームを使ってのワイヤーアクションも。空中に緑色に光っている物体があれば，そこではワイヤーアクションが可能だ

巨大なかんしゃく玉が転がっている場所では，狐美魅の「掴んで投げる」能力を使って，任意の位置に素早く爆発を起こすことができる

　本作はステージクリア形式になっており，1ステージ終えるごとに「野営」の画面になる。敵を倒すと出現する紫色の玉は「因貨」といい，この野営画面では因貨を使って，武器の強化もできる。

話数が進むごとに，どんどんと本能寺の地下を進んでいく

野営では，武器の強化や，これまでに見たイベントシーンの再生，次のステージへの出撃などができる。セーブは，この画面に入ったときにオートで行われる

武器の強化により，攻撃力はもちろんのこと，紬の生命力も増加するのがポイント。強化は積極的にしていきたい。ゲームが進むと，初期に装備している「破魔の刀」以外の武器も入手できる

　また，ステージ中には宝箱が配置されていることがある。宝箱からは「記憶の断片」が手に入り，集めた断片に応じて，野営画面で設定資料などを見られるようになる。リストを見る限り，かなりの数（200以上？）が用意されており，すべてを集めるのは，なかなか大変そうだ。

宝箱は攻略の順路から外れた位置に置かれていることが多く，一種の探索要素にもなっている。3人の忍の能力を使わないと行けない場所にあることも

ステージ選択画面の右側に，そのステージにある宝箱の個数が表示される。カンタンに見つかるときもあれば，隅々まで探してもなかなか見つからないものもある

尊みが振り切れる！　JKが3人の忍と絆を深めて，何も起きないはずがなく……

　ステージクリア時には，3人の忍との「親愛度」が上昇し，そのレベルに応じて，紬の新たな技などが開放されていく。時にはメチャクチャ使える技が開放されたりするので，ただのキャッキャウフフな要素ではなく，ゲーム的にも重要なポイントだ。

リザルト画面では，スマホを使って皆で記念撮影。このときの画像はパターンが多く，紬がダメージをくらっていると顔に汚れがあるなど，芸が細かい

紬のスマホに記録されていく「思い出アルバム」。どのレベルで何が開放されるかは事前に確認できるので，気になるものがあったら，その忍との親愛度を優先して上げてみるのもいいだろう

依夜のスキル6で習得できる「散牡丹」。攻撃の最後に連続乱れ突きを行うもので，大型の敵と戦うときに無類の強さを発揮する

　本編は本能寺の地下を進んでいくステージクリア型の3Dアクションだが，その合間に「泡沫逢瀬」という寄り道的な要素がある。これは本編とは異なり，少しパズル要素寄りのステージ構成になっていて，「泡沫空間」と呼ばれる謎の空間で3人の忍との絆を深める会話シーンが主だ。泡沫空間は複数あり，親愛度が一定以上にならないと開放されない。

条件を満たしていれば，「出陣」を選んだ後，タブで「泡沫逢瀬」を選択することで泡沫空間へ向かうことが可能だ

動く床のアクションなど，泡沫空間のパズルは，そんなに難しくはない

泡沫空間での会話シーンは本編と異なり，個々の忍と1対1でキュンキュンする系の会話シーンとなっている。画像は刃鋼との会話シーンだが……どの部位の話をしているのかは，プレイして実際に君の目で確かめてくれ！

　そして，紬と3人の忍の絆の究極の形が「口憑けの術」だ。それなりにゲームが進んでからでないと開放されない要素なのだが，敵を倒し続けていると溜まる「口憑けの術ゲージ」がMAXになると発動できるもので，尊みが過ぎるカットインの後，紬が一定時間パワーアップする。

ハワワ……

依夜ら忍3人はそれぞれ炎・雷・氷の属性を持っていて，狐美魅と口憑けの術を発動した場合は，紬の刀に氷属性が付与される。与ダメージがアップする状態異常の「氷結」を引き起こすため，非常に強力だ

可愛らしさにカムフラージュされた骨太なゲーム
“ガールズ侍アクション”は伊達じゃない

　正直，序盤を少しプレイした段階では，アクションがライトすぎて物足りなさを感じていたのだが，中盤辺りからその不安はなくなった。少しずつ増えていく技やアクションを自然と駆使するようになっていき，時にはステージ途中でやられてしまうこともあり，「うっ！　このゲームを侮っていた……!?」と焦ることも。

中ボスとして上杉謙信や武田信玄も可愛くなって登場する。空中からの超スピード突進攻撃など，的確なタイミングで回避アクションを使わないとアッという間に倒されるほど手強い。ただし，よく観察すれば容易にタイミングを測れるようになっている

　しかし決して難しすぎることはなく，2回ほどリトライすれば先へ進めることがほとんどだ。ただし，考えなしに攻撃の連打で突き進むのではなく，ここぞというタイミングで回避や2段ジャンプを的確に駆使することや，3人の忍の能力をいかにうまく使うかが問われる。

忍具「変わり身人形」は敵のターゲットをそちらに逸らすものだが，さすがにボスには通用しなかった。しかし依夜ちゃん，「心血を注いで作り上げた」割には，人形，めっちゃ雑じゃない？

　先述したように，依夜ら忍3人はそれぞれ炎・雷・氷の属性を持っていて，彼女たちの忍技は状態異常の「炎上」「感電」「氷結」を付与する。「炎上」は一定時間継続ダメージを与え，「感電」は気絶しやすい状態になり，「氷結」は被ダメージをアップ。これらの内容は野営メニュー画面の「指南」の項目を見ると載っているのだが，ゲーム中で詳しく解説があるわけではない。筆者はたまたま気付いたのだが，この辺りも考慮しながら進めると，実にちょうどいい歯応えのあるアクションゲームとなっている。

ゲーム中にチュートリアルとして表示されたものを再確認したいときは「指南」のページを再チェック。意外と見落としていたり，忘れていたりする内容もあるものだ

紬の装備で手一杯になりがちだが，3人の忍の装備も強化できる。武器によって何が強化されるかが異なるので，お気に入りの攻撃があれば，そこを重視して強化していくといい

紬と忍たちの衣装も「因貨」を使って変更できる。武器強化だけでも因貨不足で困りがちだが，同じステージに繰り返し挑戦することができるので，がんばって因貨を稼ごう

　難度は「普」「難」「魔」の3つが用意されていて，最初は「普」しか選べない。個人的には「普」で充分だったが，「もっと難しくてもいいぞ！」という人にはまだまだ上があるわけで，その点はまったく問題ないといえるだろう。

　前面に「可愛い女の子」を押し出しているため，一見，そういった要素がメインの，ライトなアクションゲームと思いがちだ。しかし，じょじょに開放されていく技やアクションの組み合わせにより，3Dアクションゲームとしての爽快感が少しずつ加速していくスタイルとなっている。
　3人の忍たちの親愛度にしても，新たな技や泡沫空間の開放につながったり，各要素がうまく連携してシナジーを生み出している。可愛らしさをガワに纏ったその内側は，意外に骨太なアクションゲームだ。

　見た目に惑わされることなかれ。可愛い女の子が大好きな人も，ほどよいアクションを楽しませてくれるゲームを求めている人にもオススメできるタイトルだ。

「SAMURAI MAIDEN -サムライメイデン-」公式サイト