プレイレポート
[プレイレポ]最大16人で大暴れできる「いっき団結」には課題もあるが,今もなお進化中。令和の一揆は“やりすぎ”感とカオスがたまらない
本作は昨年10月と11月,クローズドβテストを2回実施しているが,そこで得たフィードバックにより,短期間に劇的な変化を遂げている。正式リリース後,初の週末(2月18日〜)からプレイした感想をお伝えしたい。
なお,クローズドβテストを経て,どういう進化をしてきたのか,気になる人は以下の記事と合わせてご覧いただきたい。
「いっき団結」“クローズドβテスト 秋の陣!”プレイレポート。伝説のゲームがローグライクになって帰ってきた!
サンソフト(サン電子)が2022年内にリリースを予定しているPC向けローグライクアクション「いっき団結」。10月7日〜9日に行われたクローズドβテストに参加してみたので,プレイレポートをお届けしたい。
「いっき団結」公式サイト
シングルプレイも実装。懐かしの“ひとりで一揆”も
本作をマルチプレイに特化したゲームだと思っている人もいるかもしれないが,リリース時にはシングルプレイモードが実装されている。選べるキャラクターは16体に増え,それぞれのキャラに個性がある。シングルプレイでは各キャラクターの役割,アイテムの効果,基本システムを理解したり,マルチプレイに備えて練習したりできる。
初回のクローズドβテストと比較すると,画面右上にミニマップが表示されるようになり,進むべき方向も赤い矢印で示してくれる。現在の目指すべきことも「ミッション」として,画面右側に表示される。
本作では,プレイヤーが行う操作は「移動のみ」。攻撃は自動的に一定間隔で行われ,敵を倒すとお金を落とすことがある。お金を一定数集めるか,マップ上に出現する商人に触れることで「ショップ」が開かれる。ショップでは3つのアイテムから欲しいものを選択し,キャラクターを強化していく仕組みだ。
ただ,アイテムの数が多いため,慣れるまでは何が何やらということにはなるだろう。アイテムを取ると画面右に効果が表示されるので,ちょいちょい見ておくと,次第に覚えられるはずだ。
「こちとら,クローズドβテスト経験者よ!」と自信マンマンでシングルプレイに挑んでみたところ,敵の耐久力が高く,思っていたより早々にピンチを迎えた。いかんいかん,距離をとって地道にいこう……と思っていたら,アッという間に残り時間がなくなって……。
初のシングルプレイは「最初のボスにやられる」という,クローズドβテスト経験者らしからぬ結果になってしまった。しかし,本作は“ローグライクアクション”だ。その日の運次第では,序盤で倒されることもある……と思っていたら,開発のアップデート情報によると,現在のシングルプレイは「キャラテストの意味合いしかない」らしい。1人用モードとして,ちゃんと調整されているわけではなさそう。とはいえ,現在のシングルプレイで代官(大ボス)を討伐した猛者もいるらしいので,クリアできないわけでもないのか……。
個人的には,序盤のショップに「提灯」が出るかどうかで,その後の展開が大きく左右されると思う。提灯は自身の周囲を円状に照らし,範囲内の敵にダメージを与え続ける。全方位から敵が寄ってくるこのゲームでは,提灯があるとないとでは大違いだ。
「繰り返しプレイして経験を積まなければ!」と感じたのは,敵をどの程度倒してアイテムを充実させてから先へ進むべきなのかの判断だ。敵を倒せば倒すほどお金が貯まり,ショップの回数も増える。
それだけキャラクターが強化されていくので,地道に敵を倒し続けるのがクリアへの近道に見えるが,制限時間があるため,のんびりと敵を倒し続けているわけにもいかない。だからといって早々にボスに突撃すると,まったく体力を削れずに苦戦し,時期尚早だったことを思い知らされながらゲームオーバー画面を眺めることになる。
次の目的地付近へ移動しつつ,「この状態なら,次のボスも倒せそうかな」と感じたら,ボス付近のエリアに攻め入る。このあたりのマネジメントが重要なのだ。
いざ,マルチプレイ!
“16人一揆”始めます
さて,シングルプレイもそこそこに,このゲームのメインディッシュと言える,プレイヤー16人のマルチプレイに挑戦してみた。マルチプレイの操作キャラクターはランダムで選択されるが,「再抽選」ボタンがあり,制限時間内であれば選び直しが可能だ。
16人で16体のキャラクターを選び,同キャラ選択はできない。そのため,使いたいキャラを先に誰かが決定すると,そのキャラを選択することはできないのだが,これは本作の攻略上,非常に重要なことだ。
16キャラはそれぞれ「探索型」「攻撃型」「強化型」「回復型」という4つのタイプに分かれており,4か所のスタート地点には各タイプが1人ずつ配置されるようだ。とくに「回復型」の存在は超重要なので,同キャラ選択ができてしまうと,回復役が足りなくなる可能性がある。
ゲームを開始すると,画面左に「よろしく!」の文字が並ぶ。これは特定の言葉を表示できるエモート。ゲーム開始時は画面右下に「よろしく!」(コントローラの場合,十字キーの上)と「集合」(コントローラの場合,十字キーの下)が表示されている。ゲームが進むと「よろしく!」から「ナイス!」に変化していて,誰かのおかげでピンチを脱したときや,ボスを撃破したときなどに使うとチームの一体感が高まる。
タイトルのとおり,本作のマルチプレイは「団結」が何より重要だ。単独行動はもってのほか,自分が回復型でない場合は,回復役のプレイヤーを把握し,その人から離れないことが生き残るための鉄則となる。
リリースから間もないため,セオリーが固まっていないこともあるが,「誰の行動を目安に移動すべきなのか」は難しいところだ。「回復役を離れないことが大事と考えると,いっそ回復役が先導すべきか……?」とも考えたが,実際にプレイしてそれは間違いだと気付いた。
よく動き回る坊主が仲間にいたことがあるが,時折発生する範囲回復を坊主1人で受けており,仲間に効果が届いていなかった。このマッチでは早々に全滅してしまったが,回復役は共に行動する仲間のHPも見ておいてほしいところだ。
さて,シングルプレイ同様,「敵をどの程度倒してから先へ進むのか」はマルチプレイでも問題になってくる。何度かプレイしたところ,「仲間がなかなか先へ進まない」と時間切れで全滅し,「先へ先へとガンガン進みすぎる」とボスをほとんど削れず,アッという間に崩れてしまう。
敗因はそれぞれ「もっと急いで先へ進まないと!」と「もっと敵を倒してお金を集めて,ショップでアイテムを集めないと!」であることは明白だ。だが,「どの程度戦ってから先へ進むべきなのか」の判断は難しい。シングルプレイでも難しいのだから,マルチプレイでこうした意思の疎通はほぼ無理だろう。
マップ上にはロックされた“大きなつづら”があり,これを開けると通常のつづらより,良いアイテムが手に入る。ミニマップで赤い矢印が示す目的地方向へ移動しながら,大きなつづらには立ち寄っていくのが理想的だ。「大きなつづらだけは開けていく」と考えて移動していたら,仲間が察して戻ってきてくれたこともあり,そのときの進行度が高かった。
とはいえ,クリアまでの道のりは遠い。やはり各ボスの動きがまだ分かっていない人が多く,通常の敵だと楽勝だったのに,ボス戦に突入すると途端に総崩れになることが多かった。
たとえば「イノシシ」は少し立ち止まった後に突進攻撃があるので,みんなで固まって行動しながらも,突進には当たらないように回避する必要がある。回復役がイノシシに削られ続けて真っ先にやられてしまったマッチでは,それを蘇生しようとキャラの真上で待機し続けていたら敵の攻撃を受け続けて,どうしようもなくなった。
イノシシはごく序盤のボスであり,青イノシシや熊,鎧武者,四天王といった強敵が続々と登場する。終盤のボスの動きを知るためには,そこまで到達しないとどうにもならないため,「ボスに到達したプレイヤー」の母数が増えていくことを祈るしかないだろう。
週末はプレイヤーが多いだろうということで筆者も集中的に挑んでみたのだが,進行度としては「第二章 年貢」がやっとだった。本作は進行度に応じて,第一章〜第三章のイベントシーンが挿入される。マッチは毎回,第一章から始まるので,ゴール地点である代官屋敷まで,あとどれくらいかの目安になる。
さすがにそうカンタンにはクリアはさせてくれないか……と苦戦が続いていたが,日曜の夜にチャンスが訪れた。
多くのプレイヤーが経験を積んで慣れてきたのか,序盤で誰かが倒れることは少なくなり,仮に倒れても蘇生の方法を知っている人が多い。4人組だった我々の周囲にほかのプレイヤーの姿が見え,気づけば8人の集団になっていた。別のスタート地点から進行していた4人組と,ついに合流したのだ。
代官屋敷付近には「四天王」と呼ばれるボスがいる。この戦闘中,ミニマップ上にさらに別のプレイヤーが表示された。どうやら我々とは別の四天王と戦っている8人のようだ。つまり,最後の合流が近い!
だが,四天王は恐ろしく強敵だ。四天王単体というより,周囲にワラワラと出てくる忍者たちを蹴散らし続けながら戦う必要があるので,ここまでにしっかりと強化できているかどうかが問われる。
……しかし,ここで別の問題が出てきた。画面がカクつき始めたのだ。ただでさえ数が多く,猛攻が激しい敵に加え,プレイヤー16人の合流が近付いてきたことで,ゲームの処理がかなり重くなっているのかもしれない。四天王を2人倒したあたりから,画面がコマ送りになり始めた。マズい。もはやボスの攻撃を避けるとかそういう次元の話じゃない。
いつの間にか力尽きていた。残念ながら,今回の挑戦は四天王の3体目までとなった。
本作はリリース直後から頻繁にアップデートを行っており,2月20日夜の実施内容には「ゲーム画面読み込みのパフォーマンス向上」とあった。さっそく挑戦してみたところ,仲間に恵まれ,代官屋敷付近まで到達。先日の重さと比べると遥かにマシで,コマ送りにはならない。これならいける……!
四天王をすべて撃破し,ついに16人全員の合流に成功。大ボスである代官と相まみえることができた。
ここまで来たら,もう仲間を信じて1か所に固まり,全員の猛火力を代官にブチ当て続けるのみ。とはいえ,通常の敵もワラワラと出てくるし,代官はフラフラと移動するので,油断はできない。敵味方の弾幕で画面の確認すらも困難だが,とりあえず「代官の現在位置」と「仲間がどこに固まっているか」だけを見逃さずに移動を微調整していく。
時折,デカい金だらいが落ちてきたりして「誰が誰に何の攻撃をしているんだ……」とワケが分からなくなってくるが,完全にカオスとしか表現しようのない画面と展開には,ほかのゲームでは味わえない謎の興奮がある。
そしてついに,代官討伐の瞬間が訪れた……!
全員の「ナイス!」エモートが画面に躍り,空前絶後の一体感に包まれるなか,エンディングスタッフロールへ。エンディングでは画面右の小窓で,「おにぎりをキャッチするミニゲーム」ができる。初代「いっき」のボーナスステージにもあったミニゲームをこんなところに入れてくるとはニクいぜ……。
代官撃破の余韻に浸る間もなく必死におにぎりを拾い続けていると,「俺は一体,何をやっているんだ」という感覚になってくる。おにぎりをいっぱい拾ったからといってとくに何もない……と思うけど,おにぎりを投げられたら拾っちゃうだろ!
エンディングが終わると,普通にタイトル画面に戻る。クリアしたからといって何かあるわけではないとこは,「いっき」らしいと言えなくもない。だが,達成感は格別だった。これまでの苦労が走馬灯のように……はさすがに言い過ぎだが,おそらく16人全員が同じような苦労を重ね,何度も挑戦した末,一揆は成功したのだ。協力プレイの楽しさを身に沁みて感じる……。
最大16人で繰り広げるカオスを味わえ。ただし,課題も見える
「一揆はひとりでやるもんじゃない」なんて言われ続けていた「いっき」が,38年越しに本物の一揆を見せてくれた。代官屋敷の決戦は,弾幕と火力の「やりすぎ」感とカオスにあふれ,“一揆”という非日常的な激戦を表現するのに最高だったと感じる。
そんなわけで終盤の盛り上がりには文句がないのだが,課題も見えてきた。「プレイヤーの操作は移動のみ」というシンプルさにより,取っ付きがいい反面,16キャラそれぞれのスキル,豊富な各種アイテムの効果といった把握しなければならない情報量はけっこう多い。長い目で見れば,キャラ数の多さも,スキルやアイテムの豊富さもゲームの奥深さに直結するため,「いっき団結」は良い選択をしていると思う。ただ,理解できるまでのハードルは低いとは言い難い。
最大の課題だと思ったのは,16人の中に「まだよく分かっていない人」が混ざった場合だ。最初の4人チームに「まだよく分かっていない人」が1人でもいると,序盤から相当厳しい。さらに,その1人が回復役だったりすると,早々に壊滅する。
ただ,これは避けようのないことだろう。「分かっていない人がいてもクリアできるゲーム」に難度を調整してしまうと,おそらく経験者が揃ったら容易にクリアできるゲームになってしまうはずだ。
また,ショップでアイテムを入手した際,何らかのアイテムを手放していることがある。「ん? なんか今,ポイッて音がしたな……」とか,「取ったはずのアイテムがインベントリからなくなってる」とか,タイトル画面で確認できる「指南書」にも載っていないことが少なくない。
基本的なルールを勘違いしている人も少なからず見られた。自分が倒れた後,カメラが生存中のプレイヤーを表示してくれるのだが,1人でのらりくらりと敵を避け続けながらズンズンと進んでいたりする。いや,サバイバルとかバトルロイヤルとかじゃないのよ……。
そうかと思えば,単騎で敵を避けて進んでいるように見せて,実は一定方向に敵を引き付け,忘れた頃に戻ってきて仲間の蘇生をする人もいる。蘇生するには,周囲に敵がいない状況でないと難しい。このゲームでやられるときは,無数の敵に押し潰される形になることがほとんどなので,蘇生を成功させるのは簡単ではない。頭脳プレイで見事に蘇生させたプレイヤーを見ると,思わず「ナイス!」のエモートを押したくなる。
自分が倒れた場合,その時点でゲームを離脱することもできるのだが,前述のように「敵を引き付けてから蘇生してくれるのでは?」という可能性が残っていると抜けにくい。そうではなかった場合は,ほかの仲間の戦いをただ眺めるしかないし,倒れていてもショップが開かれたらアイテムの選択を行う必要があるのも煩わしさを感じる。
すでにSteamのレビューでも指摘されているが,「仙人クエスト」の仕様も改善の余地があるだろう。マップで仙人を見つけて接触すると,「仙人クエスト」が始まる。プレイヤーは2つのお題のどちらかに投票し,その結果,ちょっとした制限プレイに挑戦することになる。
たとえば,「竹槍でコウモリを30体倒す」という仙人クエストがボス戦の真っ最中に発生すると,これを達成するまで全員,竹槍以外の攻撃を封じられたりする。これではまともに戦えない……。
仙人クエストを達成すると,報酬アイテムがもらえるので本来はありがたい存在だ。ただ,お題の内容はもう少し調整してもらいたいところだ。
いくつかの課題を挙げているが,本作はリリース以降,現在までほぼ毎日のペースでアップデートが行われている。今後,さらなる進化に期待していいだろう。
本稿を読んでちょっとでも興味を持ってくれたら,ぜひ令和の一揆に加わってみてほしい。君はもう,ひとりではないのだから──。
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