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ミュージカル「東京リベンジャーズ」ゲネプロ公演レポート。後悔も決意もミュージカルにのせて,タケミチの新たなリベンジが始まる
ミュージカル版で今回描かれるのは,主人公・タケミチ(花垣武道)が,人生唯一の彼女・橘 日向を死の運命から救うため,過酷なリベンジに挑む,壮大な物語の幕開けとなるエピソードだ。初めて作品に触れるという人にも,ぴったりな内容である。
本稿では,関係者・マスコミ向けに行われたゲネプロ公演の様子をレポートしていく。一部,物語や演出に関するネタバレとなる記述,公演写真が含まれているので,観劇予定の人は注意してほしい。
ミュージカル「東京リベンジャーズ」
■スケジュール
2023年11月24日〜26日:天王洲 銀河劇場(東京)全6公演
2023年12月1日〜3日:メルパルクホール大阪(大阪)全6公演
■出演(敬称略)
花垣武道役:竹中凌平
佐野万次郎役:北村 諒
龍宮寺 堅役:井阪郁巳
千堂 敦役:久保侑大
三ツ谷 隆役:酒寄楓太
林 良平役:平野泰新
林田春樹役:皇希
清水将貴役:川上将大
半間修二役:磯野 大
長内信高役:高田 誠
橘 直人役:佐藤信長
橘 日向役:佐々木舞香(=LOVE)
稀咲鉄太役:横田龍儀
【アンサンブル】
山本タクヤ役:笹尾ヒロト
鈴木マコト役:茶谷優太
山岸一司役:内 龍星
及川崇治 奥野 翼 清水天琴 多田 滉 田邊 謙 千枝義人 平島渉伍
■スタッフ(敬称略)
原作:和久井健「東京卍リベンジャーズ」(講談社「週刊少年マガジン」KC)
演出:三浦 香
脚本・作詞:赤澤ムック
音楽:manzo TAKA
振付:遠山晶司(梅棒) YOU
主催:ミュージカル「東京リベンジャーズ」製作委員会
(DMM STAGE/ポニーキャニオン/サンライズプロモーション大阪/AT-X/MBSテレビ/Office ENDLESS/講談社)
歌によって,登場人物の想いがダイレクトに伝わってくる。
タケミチのリベンジを見届けよう
物語の始まりは,2017年。フリーターのタケミチは,テレビで人生唯一の彼女だった橘 日向とその弟の直人が,東京卍會の抗争に巻き込まれて死亡したという訃報を目にする。さらに,タケミチ自身も何者かに線路に突き飛ばされて……。
ここでタケミチが歌う楽曲は,彼の歩んできた辛い人生や,日向への切なる想いに溢れており,胸がギュッと締め付けられた。誰もが一度は経験するであろう「なんでこうなってしまったのか」という後悔を,静かに歌い上げるタケミチ。筆者もすっかり感情移入してしまった。
線路に突き飛ばされたはずのタケミチだが,気が付くとそこは2005年だった。仲間の溝中五人衆と騒ぐタケミチは,若さゆえの怖いものなしさがほほ笑ましい。本当にキラキラしていて,楽しそうだ。しかしその日は,渋谷三中のキヨマサこと清水将貴にケンカで敗れ,彼の奴隷となる地獄の始まりの日だった。
その帰り道,日向に会いに行ったタケミチは,彼女への想いをあらためて自覚する。日向はかわいらしいだけでなく,タケミチのことをとても大切に思っているステキな女の子だ。日向と分かれたあと偶然不良に絡まれる彼女の弟,直人を助けたタケミチは,彼に12年後に橘姉弟が死ぬ運命にあることを告げる。そして,日向(姉)を守ってほしいと伝え,直人と握手した。
するとタケミチは,再び2017年へ。死から逃れた直人によって(線路に突き飛ばされた)タケミチも救われることになるが,日向の運命を変えることはできなかった。しかし,直人との握手によってタケミチは再びタイムリープできることを知る。そこで2人は日向の悲劇を阻止するため,元凶となる12年前の東京卍會の中心人物に接触することを決める。
直人によって東京卍會の知識を叩きこまれ,中心人物である佐野万次郎ことマイキーと,稀咲鉄太の接触を阻止するように言われたタケミチは,もう一度2005年に戻る。そこでキヨマサとタイマン勝負をし,根性を見せたことによって東京卍會のマイキーと龍宮寺 堅ことドラケンに気に入られる。そこからタケミチは愛美愛主(メビウス)との抗争や,東京卍會の内部分裂に巻き込まれていくことに……。
序盤は大変な目にあってばかりのタケミチだが,物語のテンポがよく,溝中五人衆やマイキーたちとのコミカルなシーンも多いので,心が重くなり過ぎず,続きへのワクワク感が高まる展開になっていた。
楽曲もソロでしっとり心情を歌う場面,デュエットで想いを重ねる場面,合唱によって気持ちを高める場面と,印象的なものばかり。ロック調だったり,ジャズのようにゆったりとした曲があったりと,全部が世界観にぴったりであった(サウンドトラックが欲しくなった)。
また,「東京リベンジャーズ」で欠かせないタイマンや抗争のシーンが,アクションだけでなく,歌やダンスの華やかな演出も入っていて圧巻だった。ラップバトルの場面もあり,そのキャラの強さ,気持ちが伝わってくるのも,見ていて気持ちが良い。
最後には集会も!
見どころ満載で,目が足りなくなること必至
筆者は原作ファンなのだが,登場人物そのものなキャスト陣の熱演にも感動した。
タケミチは喜怒哀楽がはっきりしていて,彼のくるくると変わる表情を見ているだけでも楽しい。ケンカも弱く泣いてばかりだが,譲れないもののためなら強い相手にも立ち向かえる姿勢が本当にかっこよく,マイキーやドラケンたちが彼によって心動かされていく気持ちがよく分かった。
マイキーの天真爛漫さや圧倒的な強さ,ドラケンの他者を思いやれる優しさ,落ち着いて周囲を見ている三ツ谷 隆など,主要人物たちの魅力も感じられた。林田春樹がキレッキレのダンスを見せたり,林 良平がアクロバットを見せたり,それぞれの動きの良さにも圧倒されっぱなしだ。
個人的に,愛美愛主の総長・長内信高が面白くて,何度も目を奪われてしまった。愛美愛主のメンバー(アンサンブル)のコミカルなダンスシーンもあり,タケミチたちの憎い敵ではあるが,ミュージカルならではの演出で少し好きになってしまったのが悔しい(笑)。
そんななか異彩を放っていたのが,稀咲鉄太と半間修二だ。全員がダンスをするようなシーンでも稀咲と半間は,動きが少なく,異質な存在感を放っていた。稀咲はオープニングに視線を向けた人物も意味深で,原作で先の展開を知っている身としてはゾクッときた。半間はやる気のない態度を見せるが,マイキーとの勝負では一転して激しいアクションを見せて,静と動のギャップや強者の風格を感じずにはいられない。
物語は,タケミチがリベンジすることを強く誓う,衝撃的なシーンで幕を閉じる。しかし最後に行われる全キャストが登場する集会(パフォーマンス)で,明るい気持ちに切り替えられるので安心してほしい。キャスト陣が客席に移動し,ファンの前でパフォーマンスを見せてくれるのだ(なかには,二階席や三階席に行くキャストも)。また,ステージ上では,日向やアンサンブルの人たちがパフォーマンスをしているので,ぜひ注目してほしい。
そんな目が足りなくなること間違いなしの本公演は,DMM TVにて2023年12月3日12:00公演,17:00公演のライブ配信が予定されている(見逃し配信は,2023年12月4日19:00〜11日まで/スイッチング映像)。チケットは各回3500円(税込),キャスト特典映像付きの2公演FULLセットが6000円(税込)だ。
さらに2024年6月5日には,Blu-ray,DVD(各税込1万1000円/きゃにめ限定版BD税込1万4300円)の発売も決定! 本編と特典映像が収録され,きゃにめ限定版には全景映像も収録される。ぜひ予約して,タケミチたちの活躍を自宅でも楽しもう。
ミュージカル「東京リベンジャーズ」公式サイト
- 関連タイトル:
東京リベンジャーズ Last Mission
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(C)和久井健・講談社/アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会 (C)Victor Entertainment
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