プレイレポート
[プレイレポ]古の兵器少女が人類への恨みを胸に地上を目指す「超古代兵器ホリー」。穴を“掘り”,敵を落として埋め潰そう
開発はアクワイアが担当。キーアートは,イラストレーターのよー清水氏が手掛けている |
はるか昔,戦争のために造られたホリーは,その強大な力ゆえに人類から恐れられ,地中奥深くに封印されてしまった。その後,数万年の時を経て,深く暗い魔法遺跡の底で眠りから覚めた彼女は,人類に復讐すべく,地上を目指すこととなる。
ホリーの力は,長い月日が経ったことで失われており,残っているのは床を掘り壁を砕く機能のみ。命ともいえる「祭壇」を守りつつ,少しずつ力を取り戻しながら地上への道を切り拓くのだ。
「超古代兵器ホリー」公式サイト
古の兵器少女が,恨みを胸に地上を目指す
「超古代兵器ホリー」の主人公は,人間に作られた少女型兵器のホリーだ。人間に命じられて戦いに赴いたホリーはめざましい戦果を挙げるが,当の人間たちがその力を危険視し,彼女を地下迷宮に封印してしまった。数万年後に目覚めたホリーは,身勝手な人間への怒りに燃え,復讐すべく地上を目指すのだった。
本作は見下ろし型視点のアクションゲームで,舞台となる地下迷宮は10のフロアで構成されている。各フロアには,敵の拠点である「ゲート」が複数存在するので,それを破壊し,かつゲートから送り込まれてきた強敵「スレイヤー」を全滅させれば,上のフロアへ進めるようになる。
逆に,攻撃されてホリーのライフがゼロになるか,ホリーの拠点「祭壇」を破壊されるとゲームオーバーとなり,ひとつ下のフロアへと戻されてしまうのだ。
それもあり,力に任せて敵を倒して進んでいくのではなく,敵味方の拠点を巡る戦術的な攻防と,ピンポイントで敵を一撃するステルスゲームのような立ち回りが必要になる。
まずは敵の拠点「ゲート」を破壊し,「スレイヤー」の出現をおさえる |
赤く輝く敵がスレイヤー。高い耐久力を持つうえ,ホリーの拠点となる祭壇を目指してくる |
画面中央左側にあるのが祭壇。スレイヤーに破壊されると,ホリーのライフがどれだけ残っていても即座にゲームオーバーとなる |
敵に猪突猛進して暴れ回るのも不可能ではないが,効率は非常によろしくない。ゲートから定期的に送り込まれてくるスレイヤーだけでなく,こちらに突っ込んできて剣を振るうスカルや壁を砕くゴーレム,地面で燃え続ける火球を放つスライムといった番人たちがホリーに襲いかかってくるからだ。
しかも,ホリーの力は衰えており,使用できるのは“壁を砕く”ショットと,“床に穴を掘り埋める”機能のみ。さらに,これらの機能を使うにはホリーの「MP」が必要で,MPがゼロになると手も足も出なくなる。
MPを回復するには,祭壇やあちこちにある「灯篭」に戻らなければならない。何も考えずに暴れ回ったのでは,敵の群れに突っ込んだところでMPが尽きたり,背後から侵攻したスレイヤーに祭壇を破壊されたりといった悲劇が起こってしまう。
そのため,破壊すべきゲートとスレイヤー,守るべき祭壇の位置関係を把握し,優先順位を決めて処理していく,戦術的な視点が必要になってくる。
後半のフロアでは,ホリーも強くなってくるが敵の数も多くなる |
時にはマップの全体を俯瞰しつつ,侵攻ルートを考えることも必要に |
敵は,穴を掘り落として埋めて倒す
ホリーが攻撃に使える機能は,前述したショットと穴掘り&埋め,そしてアップグレードで解禁されるムチの3種類だ。ショットとムチは壁も破壊でき,攻撃速度もなかなかのものだが,敵を倒すには火力不足。穴掘りは,落ちた敵を埋め潰せば一撃で倒せるものの,発動までに時間がかかる……と,それぞれメリットとデメリットがある。
どの行動もMPを消費するし,祭壇という弱点を守るためには速戦即決が求められるので,状況を素早く判断する力も求められる。
なお本作の敵には視界があり,見つからない限りは反応されない。敵の群れがいても,正面から突っ込むのではなく,背後から忍び寄って埋め潰し,次の敵に忍び寄って埋め潰し,また次の敵を埋め潰し……とステルスゲームばりの戦法も可能なのだ。
ショットやムチで壁を掘って敵がいる場所を迂回し,ゲートを先に破壊したり,敵の侵攻ルートに予め穴を掘っておいて誘い込んだりするのも有効だろう。
手ごわいスレイヤーも,後ろから忍び寄って穴に落とせば一発で倒せる |
とはいえ,敵も黙ってやられているばかりではない。スカルやスライム,ゴーレムのほか,敵を召喚するアヌビスなども出現する。スレイヤーは,衝撃波などの強力な攻撃を繰り出してくるだけでなく,ホリーが掘った穴を埋め戻したりもしてくる。
そして何より厄介なのが,スレイヤー以外の敵は壁の中に潜んでいることもあるということ。敵を迂回するために壁を掘っていたら敵が現れ,そこから乱戦になってしまうこともあるのだ。
ゴーレムやスカルに手間取っていたら,後方からスライムが放つ火球で移動範囲を制限され,逃げ回る中で起こしてしまったアヌビスが敵を召喚,慌てて掘った穴に自分が落ちてしまう……なんてことも。
ただし乱戦の中にあっても,うまく立ち回れば一発逆転を狙えるだろう。敢えて近づいて攻撃を空振りさせ,その隙に穴を掘れば手ごわいスレイヤーも一撃で倒せる。後述するスキルツリーの終端では,「複数の穴を同時に埋め潰す」能力もアンロックできるため,穴を掘りながら逃げ回り,落ちた敵を一掃するのもアリ。
ゲートを破壊すると大爆発が起こるので,周囲にいる敵を巻き込んで一網打尽にすることも可能。時には誘爆狙いでゲートへ突っ込むのもひとつの手だろう。
こうした一発逆転が決まれば実に爽快だ。つまり,作戦を考える頭と反射神経,作戦がひっくり返された際に対応するアドリブ力が求められるということで,このあたりは非常に考えられたゲームデザインとなっている。
「複数の穴を同時に埋め潰す」能力で敵を一網打尽に |
ゲートを破壊すると大爆発! |
自分が掘った穴に,自分が落ちてしまうことも |
マップの中には黒い霧で包まれている領域もあり,何があるかは入ってみるまで分からない。時にはモンスターがみっちりと詰まっていることもあり,油断はできない |
戦いにおいては,ホリーの強化も重要である。敵を倒したり壁を壊したりすると,「魔石」「宝石」「魂石」といった素材がドロップする。これを消費することで,スキルツリーのノードをアンロックしてホリーを強くできるのだ。
スキルを開放していくと,ライフやMPの上限値,攻撃力や攻撃速度といった基礎能力の向上に加え,新武器のムチや新能力のワープ,複数の穴を同時に埋め潰す能力などが手に入る。
ムチは広範囲に攻撃できるので,壁の破壊や複数の敵との戦いに最適だろう。また,複数の埋め潰しを手に入れられるのはエンディング直前だが,上手く決まれば非常に爽快である。ワープは魔法陣を設置して一瞬で祭壇に戻れるので,スレイヤーへの対処が楽になる。
なお魂石は,スレイヤーからしか手に入らないようなので,時には積極的に戦いを挑むのも重要になってくる。また,フロアのあちこちにある宝箱には「ホリーの記憶パーツ」が入っており,パワーアップに加えて,過去に何があったかが断片的に分かるようになっている。
ちなみに,ライフの回復もスキルツリーのノード頼みとなる。ツリーの序盤では,わずかな魔石でライフを回復できるが,最終的には魔石10個で1ライフとそこそこ高値に。回復せずともフロアをクリアできそうな時は,敢えてライフ回復のノードを取らず,あとに備えておく戦略眼も必要になりそうだ。
下部のノードはライフ回復だが,安価でたくさんのライフを回復できるノードは1回しか使えない。最終的には最下部にある「10魔石で1ライフ回復」という,そこそこ高価だが何度でも使える特殊なノードに頼ることになる |
「ホリーの記憶パーツ」を手に入れると,能力アップに加えて過去の記憶がよみがえる |
敵を穴に落として埋め潰す「平安京エイリアン」的なバトルに,新たな焦点として祭壇やゲートといった拠点を巡る攻防を加えた本作は,さらに「ウィザードリィIV」など,ダンジョン探索系の懐かしいゲームのエッセンスを現代のゲームデザインで彩っている。
難度はやや高めで,かつ独特の戦略性を求められるため,最初は戸惑うかも知れない。しばらくは,クリアとゲームオーバーを繰り返してフロアを行き来することになるが,これは単なる後戻りではなく,素材を集めてホリーを強化していく繰り返しでもあるため,慣れてくるとその面白さが堪能できるだろう。またホリーの復讐劇の結末にも,ぜひ目を向けてほしい。
今回プレイしたバージョンは,ほぼ製品版とのことだが,「ホリーが穴に落ちた際になかなか脱出できないことがある」「宝箱を開けるのとワープの魔法陣を置くのに同じボタンを使うため,宝箱を開けようとして個数制限付きの魔法陣を置いてしまう」といった部分が気になった。
不具合というものではないが,プレイの快適さに影響するので,今後のアップデートに注目したいところ。また個人的には,複数の敵の埋め潰しはもっと早い段階で手に入ってもいい気がした。
ともあれ,ダンジョン探索ゲームとしては非常に面白く,ホリーも可愛らしいので,ぜひプレイしてみてほしい。
「超古代兵器ホリー」Steamストアページ
「超古代兵器ホリー」公式サイト
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(C)Aniplex Inc. ACQUIRE Corp. All rights reserved.
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