プレイレポート
超インフレなオリジナル最強魔法を作って,モンスターを蹂躙してやれ! 「Spell Fragments」は魔法創造がウリのローグライクTPS[TGS2024]
本作は「魔法構築×TPS×ローグライク」なダンジョン攻略ゲームだ。これだけで,入るたびに構造が変化するダンジョンに潜り,ランダムで手に入る何らかを集めて攻略に役立てていく,三人称視点のシューターであることはご理解いただけると思う。
問題は「魔法構築」の部分だ。本作では,プレイヤーが知恵を振り絞って最強の魔法を生み出し,それを使ってモンスター達を蹴散らせる仕組みが導入されている。
具体的には,魔法は3つのカテゴリに分かれた「呪文の欠片」を,5×5のグリッド上に配置し,その欠片同士を「パス」で接続することで作成できる。
呪文の欠片のカテゴリは「トリガー」「スペル」「オプション」だ。
まずトリガーは,その魔法の発動条件を表す。例えば「左クリック」と書かれたトリガーなら左クリックを押すと発動。「回避」なら短距離ダッシュアクションである「回避」を使うと発動といった具合だ。
そしてスペルは,弾が1発飛んでいく,ランダムな方向に4つの弾をばら撒く,貫通弾を発射するといった,魔法そのものの効果を決める。
最後にオプションは,魔法の性能を変化させる効果を持つ。例えば,エイムした方向に弾を1発飛ばす魔法があったとして,これに「一番近い敵を狙う」というオプションをつけた場合,エイムせずに自分が明後日の方向を向いていたとしても,発射した弾は自動で一番近い敵に向かって飛んでいくようになるのだ。
これらを組み合わせると,いろいろな効果の魔法が生まれる。例としてここでは
A:回避(トリガー)
B:一番近い敵を狙う(オプション)
C:ランダムな方向に4つの弾をばら撒く(スペル)
という呪文の欠片を持っているとして,
A B C
の順番でグリッドに配置し,パスでAB間,BC間をつなげたとしよう。この場合,回避のアクションを使うと,勝手にランダムな方向に弾を4つばら撒くが,その弾は全部近くの敵に飛んでいくので,結果的に「敵から逃げながら,そいつに4発自動でぶち込む」という,攻防一体な魔法が生まれることになる。ランダム方向の拡散弾という,いかにも弱そうなスペルが,オプションの効果で実用的になるわけだ。
しかし,この拡散弾は一発の威力が低く,全部当たったとしても各2点の計8点しかダメージを与えられないという欠点が見つかった。そこで所持している呪文の欠片を確認したところ
D:6点の弾を1発放つ(スペル)
E:左クリック(トリガー)
を見つけたとする。では,この5つを使って大ダメージを与えるには,どうすればいいだろうか。
各魔法にはクールタイムが設定されているので,先ほどの回避拡散弾とはパスをつながず,別の呪文として
D E
を作れば,扱いやすい6点ダメージの魔法が増え,強くはなれる。ただ,これはあまり効果的な使い方ではない。なぜなら
A B C D
の魔法を作れば,拡散したあとで4つの弾それぞれが6点の弾に変化し,計24点のダメージアップとなるからだ。
ちなみに,
A B C D E
とつなげた場合,左クリックでも魔法は発動するのだが,配置の問題で右から処理することになる。この場合のダメージは,6点が敵に当たってから拡散弾が各2点といった計算になるため,思うようにダメージがでない。回避と左クリックで同じ魔法を発動させたいなら,グリッドの縦方向も使って
A B C D
E
と,Bの下にEを配置してパスをつなぐのが正解だ。
呪文の欠片は,ダンジョン内で敵を倒したり,宝箱を開けたりすると手に入り,いつでもグリッド上の配置を変更して新たな魔法を生み出せる。もちろん,呪文の欠片の効果はランダムなので,新しいものを手に入れたら,工夫次第で化ける可能性が常にある。
また,ダンジョンでは呪文の欠片のほかにも,武器や防具,ポーションなどの装備アイテムが手に入る。単純に攻撃力や防御力が上がるだけでなく,ものによっては「〇〇属性のダメージが+いくつ」といった追加効果がついていることがある。
筆者がプレイしていたとき,たまたまある属性のダメージが12も増える防具が手に入ったのだが,これを先の拡散弾の後に発生する魔法に合わせれば,これだけで計48点アップ。もはやスペルの効果よりも防具のほうが火力を出しており,ものすごい強化量だ。
ここまでの説明で予想できると思うが,本作はダンジョンを探索していると,容易にインフレする。よさげな呪文の欠片やアイテムを手に入れて,それをどう組み込むか試行錯誤し,その結果めちゃくちゃ凶悪な魔法ができたときは,ものすごく気持ちがいい。「こんなに強くなっちゃっていいの!? うひょー! 早く試し撃ちさせろー!」と,敵を探してダンジョンを徘徊したくなるほどである。
なるほど,この魔法作成のシステムは,ローグライク要素との相性が非常に良さそうだ。
「そんな魔法が作れたら,どうやってバランス取るの?」と思うかもしれないが,そんなもの,気にする必要はない。なにせ,本作は最強の魔法を作るゲームなのだ。インフレ魔法で敵をなぎ倒すのが楽しいので,手に汗握るボス戦を求めるのは野暮というものだろう。
なんなら,本作は協力プレイにも対応するという。最強の魔法を持ち寄ったりなんかしたら,バランスのバの字もなさそうな事態になるはずだし,一方でそれが最高に楽しそうなのも分かる。逆に,それでも太刀打ちできないほど強い敵が用意されるとしたら,そいつを超えるほどの魔法を考え抜くのも楽しそうだ。
「最強の魔法を作る」というフレーズに心惹かれる人も,頭から煙を吹き出しそうな魔法作成のシステムが気になる人も,ぜひ本作をウィッシュリストに追加しておこう。
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Spell Fragments
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