舞台「WIND BREAKER」ゲネプロ公演レポート。防風鈴 VS. 獅子頭連をステージ上で存分に堪能

　にいさとる氏による漫画作品「WIND BREAKER」（講談社「マガジンポケット」）を原作とした舞台「WIND BREAKER」が，2025年1月3日に大阪/COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて開幕し，1月10日より東京/シアターHにて上演している。


　本作は昨年アニメが放送され，今年4月にはアニメ2期の放送も決定しているほか，3月12日には新作オンラインゲーム「WIND BREAKER 不良たちの英雄譚」（PC / iOS / Android）のリリースも控えている話題作だ。


　本稿では，東京公演に先駆け行われたゲネプロ公演の様子をレポートしていく。物語や演出のネタバレとなるような記述，写真が含まれるため，今後観劇予定の人は注意してほしい。

物語の世界観へと引き込んでいく仕掛けが満載

　「WIND BREAKER」では，風鈴高校へ入学した桜 遥や仲間たちが街を守るため，日々戦いに挑んでいく……といった物語が描かれる。

　主人公の桜 遥は，「てっぺん」を目指し，不良高校としても名高い風鈴高校へ進学する。しかし，現在の風鈴高校は地元住民から慕われ，“防風鈴（ボウフウリン）”と呼ばれる正義のヒーロー的存在となっていた。


　街の人々を守るためケンカをする防風鈴の一員となった桜は，戦いの中でさまざまな人々と関わり合い大きく成長していく。本作では，桜の入学，そして“力”の絶対信仰を掲げる「獅子頭連」とのタイマン勝負までが展開される。


　会場内へ入るとさわやかな風鈴の音や子供たちのはしゃぐ声，車のクラクション音などが鳴り響き，まるで私たちが「まこち町」にやってきたかのような空気感に包まれる。

　さらには原作でも描かれていた防風鈴の総代，梅宮 一の校内放送シーンを彷彿とさせる前説があるなど，ファンを感動させるような仕掛けが満載だった。

　舞台の幕が上がると，これまで周りの人から拒絶され，1人で過ごしてきた桜の心情が歌唱や映像で表現される。

　アニメ版同様，冒頭で彼の生い立ちや過ごしてきた環境を示すことで，今まで「WIND BREAKER」に触れたことがない人にも“桜 遥”がどのような人間なのか，理解しやすくなっているように感じた。

　漫画，アニメ原作の舞台でファンが気になることと言えば，「「原作の動きをどこまで再現できるの」という点だろう。

　筆者も原作やアニメを拝見していることもあり，期待に胸を弾ませながら会場へと向かっていたのだが，想像以上の再現度に目が離せなかった。

　桜の身体の柔軟性を活かした動きや驚異のジャンプ力は，ワイヤーアクションを取り入れ巧みに表現。桜の同級生，蘇枋隼飛が魅せる武術も，アニメで観たままの動きを再現し観客を魅了させた。

　そのほかにも風鈴高校3年，柊 登馬がバットを折る場面など印象的な場面の数々が生で堪能でき，2.5次元舞台の限界は計り知れない。


　一方，舞台ならではのポイントと言えば，やはり“歌唱パート”だろう。

　先ほども少し言及したが，舞台「WIND BREAKER」では演者がストーリーに合わせ，歌い上げるシーンが各所に存在し，観る人を物語の世界へと引き込んでいく。

　本作では桜のほかにも，ケンカは弱いが情報収集に長ける楡井秋彦，梅宮を崇拝する杉下京太郎，獅子頭連に所属する兎耳山丁子や十亀 条といったキャラクターたちが登場する。

　一つひとつの台詞を歌いながら演じることで，キャラの感情や想い，人間性がより伝わりやすくなっているのではないだろうか。


　また，歌唱しながらのダンスシーンでは防風鈴と獅子頭連，2つのチームのカラーも明確に見えてきた。“街を守る”という同じ志を持った仲間が集う防風鈴では皆の動きが揃い，統率のとれた振り付けがインパクト抜群だ。

　反対に強い人ほど認められる獅子頭連は，ダイナミックな動きを主体としたダンスが特徴的である。歌唱やダンスシーンは観る人を夢中にさせるとともに，物語に彩りを添えてくれた。


　本舞台でメインとなる“獅子頭連とのタイマン勝負”でも，原作，アニメでは味わえないよさが確認できた。今回の勝負では剣道の団体戦のように，それぞれ5名が1人ずつ前に出て戦っていく……というルールとなっている。

　原作やアニメでは主に対戦者たちをクローズアップしているが，舞台では“あえて”タイマン勝負を見守る人たちを観劇することも可能である。

　「このキャラクターは勝負を見ている間，何をしているのか？」「どんな仕草をしているのか？」少し目線を変えてみることで，キャラの解像度や抱いていた印象がガラッと変化するかもしれない。自分なりの観劇方法を模索してみるのも面白いだろう。


　ほかにも見どころ満載の舞台「WIND BREAKER」東京公演は1月19日まで上演しており，公演最終日にはライブ配信も決定している（該当ポスト）。当日引換券も用意されているため，ぜひ防風鈴や獅子頭連の勇姿をその目で見届けていただきたい。

配信概要

■配信日時
ライブ配信：2025年1月19日（日） 17：00公演(千秋楽)

■配信サイト
ABEMA PPV
シアターコンプレックスTOWN

■チケット/販売価格(税込)
（1）一般チケット：3,800円 ※アプリでご購入の場合4,100円
（2）2週間アーカイブチケット：4,500円 ※アプリでご購入の場合4,900円

■視聴期間
（1）一般チケット：ライブ配信後〜2025年1月26日（日）23:59まで
（2）2週間アーカイブチケット：ライブ配信後〜2025年2月2日（日）23：59まで

■販売期間
（1）一般チケット：2025年1月5日（日）20：00〜2025年1月26日（日）21：00まで
（2）2週間アーカイブチケット：2025年1月5日（日）20：00〜2025年2月2日（日）21：00まで

▼チケットの購入につきましては下記をご参照ください。
ABEMA PPV
https://abe.ma/3VUwyyk
シアターコンプレックスTOWN
https://www.theater-complex.town/ppv/fX6vN71WfR44ddMAejbi9W

舞台「WIND BREAKER」公式サイト