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ASRockがIntel 8シリーズ搭載マザーボードを公開。ゲーム機やタブレットの映像を出力する機能をマザーボードに搭載
日本市場には20製品が投入される予定とのことだが,その中でもゲーマー向けマザーボードとしては,上位機種「Z87 Professional」と下位機種「H87 Performance」の2製品が用意されている。
ちなみに,従来の同社製ゲーマー向けマザーボードには,プロゲーマーJohnathan "Fatal1ty" Wendel氏の名を冠した製品名が付けられていた。しかしASRock 8シリーズでは,Fatal1ty氏とのコラボレーションは続いてるものの,製品名には氏の名前が付かなくなった。
Z87 Professional
Z87 Professionalは,エンスージアスト向けとされるATXマザーボードである。詳細なスペックは現時点で非公開とされているが,製品名を見ればチップセットに何を使っているかは一目瞭然だ。展示されていた実物を見る限り,拡張スロットはPCI Express x16タイプが3基,x1タイプとmini PCI Expressスロットが1基ずつ,さらに昨今では珍しいPCIスロットが2基用意されている。
ゲームとは直接関係ないものの,ゲーマー向け製品を含むASRockの新マザーボードには,ちょっと珍しい機能が搭載されている。それはマザーボード上にHDMI入力端子を装備して,その端子に接続した機器,たとえばゲーム機やタブレット,スマートフォンの映像を,マザーボード上の映像出力端子経由で接続したディスプレイに表示する「ASRock HDMI-IN」という機能だ。
液晶ディスプレイ一体型PCでは,搭載ディスプレイを外部機器の表示に使えるように,映像入力機能を持つ製品は珍しくない。しかし,単体のマザーボードでこうした機能をサポートするものは,ちょっと記憶にない。
またデモでは,PC自体の映像出力と外部機器の出力の切り替えは,マザーボード上のスイッチで行っていた。この切り替えはマザーボードのハードウェアで行われているため,OSやアプリケーションには依存しないとのことだ。しかし,PCケース内にマザーボードを装着したときに,外部から切り替える手段,たとえば外から操作できるケーブル付きスイッチのようなものが用意されるのかどうかは,分からなかった。
ゲーマー向けマザーボードを使うユーザーは,ほとんどの場合拡張スロットに装着したグラフィックスカードにディスプレイをつないでいるだろうし,今時の液晶ディスプレイは安いものでも2系統,機能の充実した製品なら3〜4系統のデジタル映像入力端子を備えているのが一般的だ。そうした実情を考えると,ASRock HDMI-INに実用性はあるのだろうかという疑問は残るものの,面白い機能ではある。
付属ソフトについてもアピールされており,とくに「Sniper Key」というツールが一押しのようだ。これを使うと,ゲーム中に特定のキーを押しているだけで,マウスの感度を下げて精密操作をしやすくできるのだという。明らかにチートツールの類に分類されるので,4Gamerとしては使用を推奨しないが,ASRockに限らず,ゲーマー向けマザーボードにこうしたチートツールが付属する傾向は,広がっているように思える。
そのほかにも付属ソフトとしては,ゲームの動画実況でよく使われる配信ツール「XSplit Broadcaster」が,3か月分のプレミアムライセンスと一緒に付いてくる。付属するXSplit Broadcasterは,海外でよく利用されている配信サービス「Twitch.TV」だけでなく,「ニコニコ生放送」や「UStream」にも対応するほか,PC上での動画保存にも対応しているとのこと。ゲームの動画配信に挑戦してみたいという人には,嬉しいオマケかもしれない。
キーを押している間は精密なマウス操作が可能になる,というSniper Key。ほかにもキーボードマクロツールなどもある |
付属のXSplit Broadcasterは,3か月分の有料ライセンス付き |
H87 Performance
H87 Performance |
背面I/Oパネル。横に2つ並んだHDMI端子のうち,右側がASRock HDMI-IN用のHDMI入力である |
こちらも搭載チップセットや仕様の詳細は公開されていないが,実物にはPCI Express x16タイプとx1タイプがそれぞれ2基ずつと,PCIスロットが3基並んでいる。また背面I/Oパネルには,DVI-I出力やHDMI出力と並んで,ASRock HDMI-IN用のHDMI入力端子も装備されていた。
マザーボード上のサウンド機能はZ87 Professionalとは異なり,ASRockが「Purity Sound」と呼ぶ機能が新たに搭載されている。これはゲーマー向け製品以外のマザーボードにも多く搭載されているものだが,Realtek Semiconductor製のコーデックチップ「ALC1150」と,Texas Instruments製のOPAMP「NE5532」を組み合わせることで,S/N比115dBを謳う低ノイズと,豊かな低音表現などを実現したという。
ASRock 8シリーズの売りである「Purity Sound」。低ノイズが特徴とされる |
Z87 ProfessionalとH87 Performanceが対応する機能表。電源周りや冷却関連が異なる |
マザーボードの表面を,シリコン製のごく薄いコーティングで覆ったとのことで,液冷システムや液漏れや結露による損傷を防ぐというふれ込みだが,同社がYouTubeで公開している以下の動画を見ると,動作中のマザーボード上を,かなりの水が流れているので驚く。ただし,拡張スロットや各種ポート類のように,接点となっている部分は保護されていないので,マザーボード全体が水びだしになれば,さすがに故障してしまうようだ。
いずれの製品とも発売時期,価格は非公開とされているが,6月4日から台北市にて開催される展示会「COMPUTEX TAIPEI 2013」の頃には,確定した情報が発表されるのではなかろうか。
ASRock 公式Webサイト
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