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[TGS 2013]宮本武蔵が興した兵法“二天一流”をe-Sportsライクに発展。「交陣們」のブースが東京ゲームショウに出展
ブースには変わった防具が展示されており,その横のディスプレイには3D格闘ゲームにも似た画面が映し出されているのだが,ゲームタイトルを出展しているわけではなさそうだ。ゲーム用のデバイスでもない。よく分からないままブースにいたスタッフに聞いてみたところ,話が意外な方向に展開していったので,情報を整理して紹介してみたい。
二天一流の兵法としての特徴はいろいろとあるが,端的に述べると勝つためには手段を問わない側面を持つ。使用武器は刀・小刀・素手など,とくに決まっておらず,身の回りにある,あらゆる道具や環境を活用し,戦っていくのだ。しかも目突きや金的などといった急所攻撃も当たり前に行う。
現在受け継がれている二天一流は,基本的に“寸止め”を前提に行われているが,たとえ熟練者でも一歩間違えば,怪我どころではすまない。非常に危険な兵法である。そんな二天一流の極意を記した記述を以下に引用しておこう。
兵法に武具の利をわきまゆるに 何れの道具にても
折にふれ 時にしたがひ 出合もの也
〜宮本武蔵 五輪書 地之巻〜
交陣們は,この危険を防止するための具足(防具)を開発し,急所攻撃を含む二天一流を現実的に行えるようにしたもの。ただし,厳密に言うと二天一流の兵法からはやや外れてしまうため,それとは別に「交陣」なる武道を派生させたうえで活動しており,その交陣を,雷鳴ψと共に東京ゲームショウ2013に出展している,というわけだ。
センサーを具足に装着することで,ヒット時に周囲からそれを判別でき,ある意味e-sportsライクに楽しめるようになっているのが交陣們の特徴だ。この防具は「雷鳴ψ」(らいめいぷさい)と名付けられている。
雷鳴ψには圧力センサーが取り付けられており,攻撃を受けるとランプが点灯すると共に,無線接続されたPCにその情報が送られる。頭部用の雷鳴ψは,顔の全面をガードしており,ヒット時には右目・左目・額などといった部位が細かく分かる仕組みだ。
また,それとは別に5センチ四方程度の大きさの圧力センサーもあり,これは防具の任意の場所に貼り付けることができる。基本的に急所の上に貼ることになるが,着用者の体格や,試合時の詳細ルールなどに応じて調整できるというわけだ。
最初のバージョンの雷鳴ψは,ヒット時の判定をPCに送り,その結果を単純に表示させるだけの,スコアボードのようなものであった。これに対し,東京ゲームショウの主催者側から,演出を強化してはどうかというアドバイスを受け,ヒューマンアカデミーに相談したうえで,格闘ゲームライクなインタフェースを作り,第三者から見ても楽しめるようにしたそうだ。
二天一流では,現代のゲーマー層や外国人に向けて,この兵法をアピールする手段を模索しており,その一環として東京ゲームショウを選んだという。ゆくゆくは2020年の東京オリンピックに向けて,二天一流を世界に発信したいとの意向だった。ちなみに雷鳴ψを一般向けに販売する予定はなく,また交陣們の門下生を募集したり,本格的にe-Sportsとして発展させたりする予定もないそうだ。
詳しく聞くことで出展の狙いは理解できたものの,来場客の反応を見る限り,なかなか伝わっていないように思えたので,次回の出展時はそのあたりの改善を期待したいところだ。
「交陣們」公式Facebook
こちらは,昨年の東京ゲームショウ2012における出展の様子。二天一流の実演を行っていた |
どこまで本気なのかよく分からないが,ロボットによる対戦ゲームも開発中。この試作機の名前は,武蔵と同様,熊本にゆかりのある「加藤清正」 |
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