［gamescom］ドイツ・ケルンで「gamescom 2014」がいよいよ開催。欧州最大のゲームイベントに，世界中のゲームが集合

　2014年8月13日〜17日の5日間（13日はビジネスディ），ドイツ西部の都市ケルンで開催される「gamescom 2014」は，北米のE3，日本の東京ゲームショウに並ぶ，ヨーロッパ最大のゲームイベントだ。2013年8月29日に掲載した記事でもお伝えしたように，昨年の「gamescom 2013」 の参加人数は約34万人で，これは同年のE3と東京ゲームショウの参加人数を合わせたよりも大きく，前年比では約23％アップとなる（ご存じのとおり，E3は関係者およびメディアしか参加できないが）。

gamescom2014公式サイト

　参加人数だけでなく，出展者数，参加メディア数，バイヤーなどのビジネス関係者数も軒並み上昇しており，昨年はPlayStation 4/Xbox Oneが欧州で発売される年だったことが，この躍進の理由の一つに挙げられるだろう。

　E3と同様，プラットフォームホルダーや大手メーカーによるプレス向けカンファレンスが実施され，また，ゲーム開発者会議である「Game Developers Conference Europe」が併催される。また，市内各地ではロックコンサートなどの関連イベントが多数行われ，開催の1週間，ケルン市内はゲームを中心にした熱気に包まれる。
　なにしろ，ショーフロアには，発売前にもかかわらず，各メーカー一押しのビッグタイトルがプレイアブル展示され，最新のプロモーションムービーが公開され，さまざまな新情報が開発者自身の口から語られるのだから，ヨーロッパのゲーマーの体温が急上昇するのは当然の話だ。

　もっとも，参加人数があまりにも多いことについての問題も指摘されており，昨年も人気のマルチプレイタイトルが「8時間待ち」といった尋常ではない状況に陥るなど，多くの試遊台の前に非常に長い行列ができる。いくら発売前の話題作とはいえ，安くない入場料を払って，プレイできたのが1本だけとなれば，文句が出るのは当然だろう。
　人が多すぎて近づくことさえ困難なブースや，移動さえままならない通路，恒例のTシャツ投げに群がる人々など，こうした一種独特の“アツさ”はロサンゼルスにも幕張にもないgamescom特有のもので，同じゲーマーとしては「いいねえ」と思う反面，バイヤーなど，ビジネス目的で来場した関係者にとっては大きな問題になる。

　また，出展内容がE3とそれほど変わらないのも，メディアにとって物足りない部分だろう。年末発売のタイトルのプレイアブル版やデモ版などを6月のE3に向けて制作するのでさえ，デベロッパにとっては負担だといわれており，そのわずか2か月後に新しいものを作るのは難しいはず。gamescomのブースで公開されたプロモーションムービーが，E3で公開されたもののドイツ語吹き替え版だったということも珍しくはない。
　欧米各メーカーの新作は，PAXやComic-Con International，さらに独自のプレス向けイベントなど，タイミングの良いさまざまなイベントで発表される傾向が強く，E3と同様に，新作発表の場としてのgamescomの価値は相対的に下降気味だ。


　ただし，北米の業界団体であるEntertainment Software Association（ESA）の会員ではないヨーロッパのメーカーは当然ながらE3には出展していないため，gamescomにターゲットを絞っており，さらに，それなりの規模のPCゲーム市場を持つドイツの事情を考えて，PCに軸足を置いた新作タイトルを発表するメーカーもある。もちろん，がんばったけど惜しくもE3には間に合わなかったため，gamescomで詳しく紹介，という作品も少なからず存在するはずだ。そのためヨーロッパ，とくに年を追うごとに存在感を高めつつある東欧のゲームメーカーから意外な作品が出展される可能性もある。

　また，4月14日に掲載した記事でもお伝えしたように，gamescomの主催社の一つであるケルンメッセは，来場者減を覚悟したうえでチケット販売枚数を抑えたり，連日入場可能な通しチケットを廃止したりといった措置をとり，会場の過剰な混雑を軽減すると発表している。また，ビジネスエリアからショウフロアまでの専用通路を用意するなど，より快適な環境を目指すとのことなので，結果に期待したい。
　もっとも，上にも書いたように，多数の来場者の熱気もgamescomの大きな魅力であり，目当てのタイトルを目指して通路を全力疾走する来場者の姿や長い行列も（やっているほうは大変だと思うが）風物詩の一つだ。我々メディアも，試遊を待つ列の長さや，来場者の感想を，タイトルの人気度を測る助けにしたりしている。


　すでにSony Computer Entertainment，Microsoft，そして任天堂という3大プラットフォームホルダーが出展を表明しており，各社ともgamescomに向けた大型タイトルを用意しているという情報も流れてきている。Electronic Arts，Activision，Ubisoft Entertainment，Bethesda Softworks，Konami Digital Entertainment，Bandai Namco Gamesといったおなじみのメーカーに加え，Wargaming.netやRiot Gamesなどのオンラインゲームメーカーの出展も発表されており，最終的な出展社数は今のところ発表されていないものの，最高を記録した昨年の635社に迫る勢いだ。

　4Gamerでは，今年も取材チームをケルンに派遣し，現地からさまざまな新情報を送る予定だ。真夏のケルンをさらに暑くするゲーマー達の熱気も合わせてお届けできれば幸い。ぜひ期待してほしい。

gamescom2014公式サイト

主なカンファレンス中継

gamescom 2014 Xbox Briefing
現地時間8月12日14：00（日本時間8月12日21：00）
http://www.xbox.com/en-GB/gamescom

PlayStation at Gamescom 2014
現地時間8月12日19：00（日本時間8月13日2：00）
http://blog.eu.playstation.com/gamescom/

EA media briefing at gamescom 2014
現地時間8月13日10：00（日本時間17：00）
http://www.ea.com/gamescom