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「ミュージカル『憂国のモリアーティ』」公演直前! キャストたちが登壇したスペシャルイベントの模様をレポート
「憂国のモリアーティ」とは?
時は19世紀末。いわゆる「貴族」社会である大英帝国のロンドンは,完全階級制度により上流階級の人間に支配されていた。そんな時代,階級制度による悪を取り除き,理想の国を作ろうとする1人の青年がいた。
彼の名は,“ジェームズ・モリアーティ”。人間同士のなかで差別しあう世の中に辟易した彼は,本来ならば闇に葬られるような貴族が起こす非道な事件を世に暴きつつ,「犯罪卿」として貴族に理不尽な扱いを受けた平民の復讐を智恵でもって手助けしていく――。
ジェームズ・モリアーティは,シャーロック・ホームズの仇敵として有名ですね。とは言え,実はコナン・ドイルの原作のなかでモリアーティが出てきた数は,そう多くはありません。
ホームズの物語ではいわゆる悪役のモリアーティですが,この「憂国のモリアーティ」ではむしろ悪役は彼の前に立ちふさがるホームズです。
モリアーティは,理不尽な差別制度に怒りを覚え,もっぱら義賊のように描かれます。もちろん,彼の掲げる正義のために極悪非道なことが行われる場合も。自ら手を下すこともあれば,貴族に恨みを持っている平民に完全犯罪の智恵を授け,事件を完遂させることもあります。
コナン・ドイルの原作と「憂国のモリアーティ」で大きく異なるのは,「憂国のモリアーティ」には3人の「モリアーティ」が存在する”という点でしょう。
1人目は,平民でありながら貴族の養子になり身分を得た,ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ。2人目はその実弟であるルイス・ジェームズ・モリアーティ。そして,この2人を引き取ったモリアーティ家の長男,アルバート・ジェームズ・モリアーティが3人目のモリアーティとなるわけです。
ウィリアムはアルバートと共に,腐敗しきった現在の大英帝国を変えるため,”犯罪相談役”として仲間たちを率いる中心人物です。モリアーティサイドの登場人物は,アルバート,ルイスのほか,モリアーティ家の使用人であるセバスチャン・モランとフレッド・ポーロック。ホームズサイドの登場人物は,シャーロック・ホームズと,ジョン・H・ワトソン。
それ以外にも今回のミュージカルを彩るさまざまな貴族や,ホームズの下宿先の女主人であるハドソン夫人,レストレード警部など,原作のシャーロック・ホームズを知っている人はもちろんのこと,知らない人でもなんとなく名前は耳にしたことがあるような登場人物がそろっています。
ミニステージにはメインキャスト8人が勢揃い
この日のステージに登壇したのは,レニー・ダブリン男爵役でこのステージのMCを務める山岸拓生さんと,ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ役の鈴木勝吾さん,シャーロック・ホームズ役の平野 良さん,アルバート・ジェームズ・モリアーティ役の久保田秀敏さん,ルイス・ジェームズ・モリアーティ役の山本一慶さん,セバスチャン・モラン役の井澤勇貴さん,フレッド・ポーロック役の赤澤遼太郎さん,ジョン・H・ワトソン役の鎌苅健太さんです。
ウィリアム役の鈴木さんは,原作のコミックを読んで,モリアーティという存在を裏から描く切り口が大変面白い作品だと感じたという。アルバート役の久保田さんは,モリアーティが3人兄弟として描かれているところが面白い,と述べました。
フレッドは原作のコミックに変装が得意という設定がありますが,フレッド役の赤澤さんによれば舞台上でも変装シーンはあるようで,いろいろな役を自分の匙加減で演じられることがとても楽しいし,このキャスト陣のなかに自分も演じる側として加われることが嬉しいと,笑顔で語っていました。
また,久保田さんは役作りについて,アルバートはモリアーティ兄弟のなかで血がつながっていない(ウィリアムとルイスは血がつながっている)ため,そういうなかで兄弟としての絆を作り上げていく見せ方に苦労したそうです。
稽古中のエピソードでは,平野さんからワトソン役の鎌苅さんと稽古の時に2人でゲームをしているという,仲良しエピソードが明かされました。ちなみに2人は今回の舞台のようにがっつり絡むのは初めてなのだとか。
さらに鎌苅さんも,平野さんとの初共演をとても楽しみにしていたとのこと。ワトソンとしてシャーロックに惹かれていくのが,自分自身が平野さんに惹かれていくのととても似ているため,役柄の雰囲気を掴みやすかったそうです。
ルイス役の山本さんは今回共演するメンバーとは面識はあるものの,今回の稽古に少し遅れて合流したため,最初は恥ずかしさがあったと照れ笑い。みんな真面目に取り組んできた現場なので頑張りたい,と上演を間近に控えて,少し緊張したような表情も見られました。
モランはコミックのなかでもいじられ役ですが,現場でも同じだと話す井澤さん。井澤さんによれば,出演キャスト全員が兄のような感覚で,頼らせてもらっているそうです。
ここで集まってくれたファンのために劇中から3曲を特別に披露してくれることになりました。
ピアノ伴奏には,劇中の楽曲をすべて担当した作曲家のただすけさんを迎え,メインテーマとなる「憂国のモリアーティ」を7人で,「名推理」というホームズとワトソンの曲を平野さんと鎌苅さんで,そして「誓い」を鈴木さん,久保田さん,山本さん,井澤さん,赤澤さんで歌い上げました。
なお,メインテーマの「憂国のモリアーティ」は荘厳な曲で,ただすけさん自身,これまでに作った曲のなかで一番難しい,と言うほどの楽曲になってしまい,キャスト陣も歌いこなせるようになるまで練習をするのが大変だったそうです。
「名推理」は,ワトソンがホームズの下宿先である221Bを初めて訪れた時に,ワトソンの過去をホームズが推理してみせるシーンを歌にしたもの。ワトソンが第二次アフガン戦争から帰ってきた軍医であったことなども歌詞になっていました。とても聞き取りやすいメロディと歌詞なので,ストーリーを語る重要な部分でもしっかりと耳に届きやすいです。
3曲目「誓い」は,モリアーティサイドが今の社会を憂える内容の曲となっています。
今回はピアノ伴奏のみでしたが,実際の舞台ではヴァイオリンの生演奏も加わり,より重厚さを感じられる曲になっているとのこと。また,曲数もかなり多いそうなので,これは期待が膨らみますね。
場所が屋外のイベントスペースということもあって,会場に集まったファン以外にも,足を止めてステージを見ているお客さんも多く見受けられました。
ステージの最後には,キャストからそれぞれ「原作のコミックもとても素敵なので,僕らも新しいステージを生み出したいです(鎌苅さん)」,「稽古も残り少なくなってきましたが,詰められるところを最後までしっかり詰めていって,憂国のモリアーティの世界を皆さんにお見せしたいです(赤澤さん)」,「皆さんの心に残るような作品にしていくので,楽しみにしていてください(井澤さん)」,「世界観を大事に作っているので,稽古の段階でもすごい舞台が出来上がると確信しています(山本さん)」,「本番まで一週間足らずですが,劇場で皆さんに最高のものをお見せできるように頑張ります(久保田さん)」,「ウィットに富みつつも胸に刺さり,スカっとするような場面もあります。実際に劇場に足を運んでいただければ,僕らが皆さんの疲れた心をほぐしてあげられると思います(平野さん)」,「本番も近いですが,このタイミングで作品の一端を見せることができて光栄です。本番は生演奏などにも注目してください(鈴木さん)」と,この作品への意気込みを語ってくれました。
「憂国のモリアーティ」は,5月10日より東京の銀河劇場にて上演され,そのあと大阪公演もありますので,気になる人はぜひチェックしてみてください。
・公演期間
【東京公演】
2019年5月10日(金)〜5月19日(日)
天王洲 銀河劇場
【大阪公演】
2019年5月25日(土)〜5月26日(日)
柏原市民文化会館リビエールホール 大ホール
・チケット料金:一般 7800円
※全席指定・税込
※詳細・その他の席種に関しては公式サイトをご確認ください
・主催 :マーベラス,TCエンタテインメント
・公演に関するお問い合わせ :
マーベラス ユーザーサポート
TEL: 0120-577-405 (平日11:00〜17:00)
・公式サイト
https://www.marv.jp/special/moriarty/
・公式ツイッター
https://twitter.com/mu_moriarty
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