プレイレポート
探索アトラクション「code name: WIZARD」体験レポート。現実とバーチャルの境界が曖昧になるMRの世界を堪能してきた
MR(Mixed Reality)とは,その名の通り現実とバーチャルを混ぜ合わせ,複合させる技術のことで,ARとVRの間をとったようなシステムだ。ARのように現実の一部に映像を映し出し,VRのようにそれらの周囲を見て回り,場合によっては干渉できる。
「code name: WIZARD」は,そんなMR技術に注目したKAKUSINが「もし現実世界で魔法を使えたら」をコンセプトに開発する,MR探索ファンタジーだ。MRデバイス「Magic Leap 1」を装着することで,周囲を“魔法の世界”へと変え,さまざまな非日常体験を楽しむことができるという。
今回,筆者は「code name: WIZARD」の世界を体験する機会を得た。本稿では,本作の魅力を紹介するとともに,その体験の様子をレポートしていく。
「code name: WIZARD」公式Twitter
CAMPFIREの「code name: WIZARD」プロジェクトページ
「code name: WIZARD」の壮大な世界観
「code name: WIZARD」は複数のエピソードによって構成されており,今回体験したのは物語の序章にあたる「code name: WIZARD Episode 0」だ。現在,CAMPFIREにて実施しているクラウドファンディング出資者を対象に,体験会参加者の募集が行われている(Magic Leap 1の性質上,14歳未満は参加不可)。なお,プロジェクトの本格稼働時には「Episode 1」が公開予定だという。
「Episode 0」のストーリーは,とある研究を進める組織「Xカンパニー」が開発した,魔法世界の出来事を見ることができる装置「マジック・サーチャー」と,魔法の力を引き出す指輪「マジカル・リング」を装着したプレイヤーが,魔法世界の謎を探る“ストライダー”の修練生となるため,魔法世界の妖精ティッキーたちとの契約の儀式を行うというものだ。
今回の舞台となるのは,人間世界のとある部屋。だが,体験前にKAKUSINの徳原大和氏と平林 潤氏に説明してもらった資料には,「修練の塔」や「生命の泉」「天空の島」など,今後のエピソードで登場するであろうワクワクするような景色や綿密な設定が用意されていた。
いざ魔法世界の探索へ
「Episode 0」は2人1組で参加することが基本だ。体験が始まると,まずはナビゲーター役のスタッフが登場し,しっかりと盛り上げてくれる。ディズニーランドのキャストのような雰囲気だ。
次にMagic Leap 1もといマジック・サーチャーの装着だ。Magic Leap 1はバッテリーを本体から分離し,肩掛けの状態にすることで,頭にかかる負荷がかなり軽減されている。探索がメインとなる本タイトルを遊ぶのにはありがたい仕様だ。
マジック・サーチャーをかぶると,目の前の枯れた花が魔法の力で色鮮やかに輝き始めた。表示の仕方は,タイトルによるかもしれないが,ARのように平面上で完全にオーバーレイしてしまうのではなく,物体にホログラフが覆いかぶさるような立体的な見え方になっているので,存在感が強く,まさに魔法が見えているといった雰囲気を醸し出していた。
続いてマジカル・リングの装着へ。ぱっと見では何の変哲もない指輪だが,指輪を付けた状態で手をかざすことで,魔法陣が出現する。ゲーム中は,オブジェクトに対して手をかざすことで,さまざまなアクションが行えるという。
準備が整い,いよいよ舞台となる部屋へと移動。今回の目的は,前述した通り魔界の妖精との契約を結ぶことだが,その内容は「部屋に隠れる妖精6匹を捕まえる」というものだ。
探索が始まり,妖精の1匹がすぐ近くにいたので,先ほど教わったように,妖精に向かって手をかざしてみる。すると,指輪の力で妖精を捕まえることに成功。
ネタバレになるので詳細を伝えるのは控えるが,ただ辺りを見回せば発見できるというものではなく,実際に物を動かさないと見つからない妖精もいて,まさに“探索”ゲームとなっている。2人で協力してちょっとした謎解きをする場所もあり,ただ闇雲に探せばいいというだけではないのが面白かった。
妖精が潜んでいる場所はそれほど難しくなく,マジック・サーチャーのスピーカーからゴーレムによるヒントが時折伝えられるので,制限時間内に見つけることはそれほど難しくはないだろう。また,契約の成立には必ずしも全ての妖精を見つける必要は無いとのことなので,焦らず落ち着いて探してみよう。
現実とバーチャルの境界が曖昧になるMRの世界
20分程度の探索を終えてから気付いたが,体験中に見えていたエフェクトは,全てがMRの映像というわけではなかった。ゲーム開始時,最初に調べることになる本に魔法陣のエフェクトがかかっているのだが,これは実際そこにある本にプロジェクションマッピングで投影された映像だったのだ。
しかし,プレイ中はそんなことには全く気づかず,これもMRで投影された映像の1つだと思いこんでいた。これに気づいた瞬間,MRという新たな世界の一端を強く感じることができた。
「code name: WIZARD」は,「Episode 0」と本格稼働時に遊べる「Episode 1」だけでなく,今後「Episode 2」「Episode 3」と続いていく作品とのことで,エピソードによってはMRだけでなく,VRやARを用いたものも構想しているそうだ。
「Episode 0」は「MRがどういったものなのか」を知ることがメインに制作されており,まだそれほど複雑な演出は多くない。しかし,それでも現実とバーチャルが曖昧になるような,不思議な感覚を得ることができた。今後「Episode 1」や「Episode 2」では,さらに進化した演出が,もっと先の作品ではVRやARを絡めた複雑な世界が登場するかもしれないと思うと,なかなか楽しみである。
MRならではのメリットとデメリット
MRデバイスを使うことによるメリットはやはり「現実に干渉できる」という点だろう。例えばVRによる体験は,実在の物に触れるわけではないので,どうしても空を切るような動作になってしまうことが多い。
しかし,MRでは実際に物があることで,それらに触れ,動かし,実際に自分が舞台に干渉しているという感触を得ることができる。
その感触が,先ほど述べたような「現実とバーチャルが曖昧になる」感覚を生み出し,なんとも不思議な体験をさせてくれるのだろう。
また「場所を選ばず遊べる」というメリットもある。登場キャラクターなどのメインコンテンツは,あくまで映像として表示されるものなので,その場その場に合った登場を工夫すれば,ある程度自由に場所を選べるのだ。
MRのデメリット,というよりはMagic Leap 1の仕様上の問題として,機械部分に囲まれたレンズを通して見ることになるため,どうしても視野角が狭くなってしまう。そのため,目で見回すのではなく,首を回して顔を向けるような動作が必要だった。
また,眼鏡を外して装着する必要があるので,視力が低いと体験中に少なからず視界がぼやけてしまう。
妖精自体は明らかに目立っているので,進行自体にはさほど支障は無いのだが,本作を十全に楽しみたいという人は,コンタクトレンズを準備することをオススメする。
冒頭に触れたとおり,「code name: WIZARD」はCAMPFIREにてクラウドファンディングを行っており,リターンの一部として開発設定資料集や「Episode 0」体験会への参加権がもらえる。MRデバイスはまだまだ開発者向けの面が大きく,コンテンツも少ないため,個人で楽しむことが難しい。この「code name: WIZARD」はMRを身近で感じることのできる貴重な機会と言っていいだろう。
現実とバーチャルが交差する,この不思議な空間をいち早く体験したいという人は,本作をチェックしてみてはいかがだろうか。
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