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凄腕のプレイヤーが集うRTAの祭典「RTA in Japan Summer 2023」が開幕。運営チームにその意義や展望を聞いてみた
「RTA in Japan Summer 2023」イベントページ
腕に覚えのあるRTA走者が一同に会し,各々の得意とするゲームのプレイを披露するこのイベント,今回は新旧合わせて約100タイトルが選定され,10日正午のイベント開始から配信中のタイトルがX(旧Twitter)のトレンドにあがるなど,ネットユーザーの注目を集めている。
Twitch「RTA in Japan Summer 2023」配信ページ
会場には,事前に申込を行ったファン達が応援に詰めかけた。開幕タイトルとなった「Celeste」では,走者のenenさんが予定タイムの01:05:00を7分近く縮める,00:58:53でクリアを果たし,客席からは大きな拍手が上がった。
またRTAの見せ方としては,ソロでプレイする「Single run」に加え,複数の走者がクリアタイムを競う「Race」があり,初日の「モンスターハンターライズ」や,11日の「Pokémon LEGENDS アルセウス」「スプラトゥーン3」といったタイトルが後者にあたる。
「RTA in Japan Summer 2023」配信スケジュール
さらに「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」(12日/05:38開始予定)と「ときめきメモリアル〜forever with you〜」(15日/18:21開始予定)といったタイトルでは,目隠しでのクリアを目指す挑戦も予定されている。果たしてどんなプレイが見られるのが,非常に楽しみだ。
もちろん競技タイトルはこのほかにもたくさんあるので,気になるタイトルを見つけたら,ぜひリアルタイムで観戦してみよう。
ゲームを通した社会貢献としてのRTAイベントを目指して――「RTA in Japan」運営チームインタビュー
ここからは,「RTA in Japan Summer 2023」の運営スタッフの1人である“Naka”こと中村圭宏氏へのミニインタビューをお届けする。イベントの意義や展望について詳しく聞いているので,RTAファンはぜひご一読いただきたい。
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずはこの「RTA in Japan」というイベントの開催経緯について,改めて聞かせてください。
中村圭宏氏(以下,中村氏):
「RTA in Japan」は,アメリカで行われている「Games Done Quick」というチャリティイベントをベースにして,その日本版としてスタートしたイベントです。ゲームプレイを通した社会貢献と,チャリティの文化を根付かせたいという思いから2016年に活動を開始しまして,数年前には一般社団法人になりました。今では年に2回,夏と冬にイベントを開催しています。
4Gamer:
RTAの魅力とは,どんなところだとお考えですか。
中村氏:
RTAも競技ですので,いわゆるeスポーツと似たところがあると思います。ただ明確に異なるのは,対戦ではないということです。レース形式で行う場合もありますが,そこでの競い合いは二の次で,中心はあくまで自分との戦いなんです。練習を重ねて本番で披露する,記録を縮めていくところは,陸上や水泳のようなスプリント競技に近いものがあります。
4Gamer:
今回の「RTA in Japan Summer 2023」の見どころというと,どの辺りになりますか。
中村氏:
今回は応募総数800の中から,約100タイトルを選定しています。すべての競技が実力派のプレイヤーによるものですし,運営としてはそのすべてが見どころだと思っています。
……とは言いながらも,思い入れのある作品が見たくなるのは間違いないですし,個人的には「悪魔城伝説」が気になっています(笑)。あとは「メタルギアソリッド3 スネークイーター」ですね。これは“全トロフィーの取得”という最高難度のチャレンジになっています。
4Gamer:
「RTA in Japan」は,今やかなり知名度のあるイベントに育ってきましたが,現在の規模感はどの程度なのでしょうか。
中村氏:
配信の視聴者でいうと,最終日のクライマックスの同時視聴者数が5〜6万人。運営チームとしてはスタッフが10人ほどで,あとの126人(現地64人,オンライン62人)がボランティアで手伝ってくれている状態です。
4Gamer:
5〜6万人はすごいですね。イベントとしては今は配信がメインだと思いますが,今回のような観客を入れたオフラインイベントとしての側面は,今後も継続していくと考えていいのでしょうか。
中村氏:
そうですね。コロナ禍でお客さんを呼べない時期もありましたが,できればオフラインイベントとして続けていきたいです。今回はnote placeさんにご協力いただけて,無事に開催することができました。
4Gamer:
深夜もずっと続くイベントなので,会場問題はなかなか難しそうです。でも海外のRTAイベントには,もっと大規模なものもありますよね。
中村氏:
海外の大きなイベントは桁違いですね。ホテルのボールルームのような会場を貸し切りにして,スタッフから観客まで宿泊前提で参加するものですから。
4Gamer:
イベントとして,今後の展望をどうお考えなのでしょうか。海外に負けないくらい大規模にしていきたいのか,それとも現状維持を目指すのか,といったような。
中村氏:
我々としては,あくまで社会貢献を目的としたコミュニティイベントという方向性を崩さずに続けていきたい,という思いが強いです。そこに賛同いただける方が増えた結果,今日の盛り上がりがあるわけですから。おかげさまでチャリティの寄付額も年々増えていますし,商業化とかは目指さず,これを維持していきたいと思っています。
4Gamer:
なるほど。継続していくことが大事だと。
中村氏:
ええ。ただ理想としては,広い会場で開催したいというのは,やはりあります。でもそれはコスト的に難しいので,結果として現状維持を優先している側面はあると思います。
4Gamer:
過去にはほかのイベントとの併催や,配信チャンネルを別の団体に貸し出すような施策もありましたが,それも資金繰りというよりは,コミュニティの活性化を意図したものと考えていいのでしょうか。
中村氏:
そうですね。我々としても無関心が一番怖いので,1人でも多くの人の興味関心を引けるような施策を考えています。同じ志を持ったコミュニティからの打診であれば,断る理由はありません。
4Gamer:
分かりました。最後に4Gamer読者に向けたメッセージをいただけますか。
中村氏:
まずはRTAがどういうものなのか,今回や過去のアーカイブなんかを見て,知っていただけたらと思います。「こんなプレイができるんだ!」といった驚きが,RTAの醍醐味の一つなので。それをきっかけにして,我々の社会奉仕活動にも賛同してもらえたら,これほど嬉しいことはありません。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「RTA in Japan Summer 2023」の配信は,掲載日時点でもまだまだ続いている。この記事で興味を持った人は配信スケジュールを確認のうえ,気になるタイトルのチャレンジをチェックしてみよう。
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