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[SPIEL’14]南アフリカ発の小粋なダイスゲーム「Ancient Terrible Things」を紹介。「インディ・ジョーンズ」ライクな“パルプアドベンチャー”ゲーム
今回紹介するタイトルは,会場でふらりと立ち寄ったPleasant Company Studioのブースに展示されていた「Ancient Terrible Things」だ。どうやらクトゥルフ神話的なホラー要素と「インディ・ジョーンズ」的な冒険ものを組み合わせたボードゲームのようである。ルールブックを確認してみると,ゲームの背景として以下のようなテキストが書かれていた。
「破滅に終わった探検の顛末は噂に覆い隠されていた。冒険家の一団がおろかにも財宝と栄光を求め,リバーボートで遥かジャングルの奥へと向かったのだ。唯一の生存者が残したボロボロの手記には,古代の秘密と目覚めてしまった恐怖の存在に関する妄想のような記述があり,それはすぐさまサナトリウムの焼却炉に投げ込まれてしまったという。」
うむむ,ドキドキする導入ではないか。まったくノーチェックのタイトルではあったが,このテキストにつられて本作を遊んでみることにした。
いざ“パルプアドベンチャー”の世界へ
試遊の相手をしてくれたのは,本作のゲームデザイナーであるSimon McGregor氏だ。導入のテキストにもあったとおり,プレイヤーが扮するのは,古代の秘密(Ancient Secret)を求めてジャングルの奥深く踏み込んだ探検家だ。選択できるクラスとして「船長」「教授」「遺産相続人」「ジャーナリスト」の4タイプがあるが,能力にはあまり差はないようだ。
ゲームの目的は多くの危険な遭遇を乗り越え,できるだけ多くの古代の秘密(Ancient Secret)――つまりは勝利点を持ち帰ること。最も多くの秘密を持ち帰ったプレイヤーは唯一の生存者となり,ボロボロの手記を書く権利を与えられる。……ま,その手記は残念ながらすぐにサナトリウムの焼却炉に投げ込まれてしまうわけだが。
実際の探索はダイスを使って行われる。プレイヤーはFocusダイスと呼ばれる緑色の6面ダイスを5個振り,獲得条件して指定された出目を満たせば,晴れて古代の秘密を持ち帰り,勝利点がプラスされる。
その獲得条件は,挑戦するOminous Encounterカードごとに決まっていて,例えば【4】【4】ならば,4以上の目の2個組,【2】【3】【4】なら,2以上の目で構成された連番,【4】+【4】+【4】+【4】なら,4以上の出目のダイス4個が必要というわけだ。
なお,Ominous Encounterへの挑戦時に振ったダイスの出目は,古代の秘密を持ち帰るのに使用されるだけでなく,便利なトークン類を獲得するためにも用いられる。トークンにはCourageトークンとFeatトークン,Focusトークン,Treasureトークンがあり,例えば4以上の出目一つにつきCourageトークンが1つ獲得できる。そのほか3以上の出目が2つあればFeatトークンが2つ獲得でき,同じ出目のダイスが3つあればFocusトークンを3つ,3つ以上の連番があればTreasureトークンを3つ獲得できる。
トークンはいずれも探索が有利になる(例えばCourageトークンなら,Encounterごとに決まった数を支払うことでダイスを振ることなく秘宝を獲得できる)ものなので,ダイスの出目をどう組み合わせ,古代の秘密とトークンの獲得条件を満たすのかが重要になる。ときには古代の秘密を諦め,トークンの獲得を優先する状況も出てくるのだが……その場合は,恐るべき古代の恐怖(Ancient Terrible Things)を解放してしまうことを覚悟せねばならない。探索の達成条件を満たせない場合は,Terrible Thingトークンを必ず1つ受け取らなければならないのだ。
そんなこんなで試遊はSimon氏の有利に進み,最終的にはTerrible Thingトークンのマイナス分で及ばず筆者の負けとなってしまったが,1時間ほどのプレイはかなり楽しかった。ダイスゲームであるため運の要素が強いが,その分誰とでも気軽に遊べるのはプラスと捉えていいだろう。もちろん各種カードをうまく使うことによる戦略性も適度に用意されているので,パーティゲームとして悪くない。個人的にはぜひ,日本語版が出てほしい作品と感じられた。
なおゲーム終了後にSimon氏に幾つか質問を投げかけ,本作の制作経緯について聞いてみたところ,やはり「インディ・ジョーンズ」のような“パルプアドベンチャー”からイメージして制作したものとのことだった。しかしその中でも大きく影響を受けた作品に漫画の「HUNTER×HUNTER」があり,制作中はずっとアニメ版をヘビーローテーションしていた,なんていうエピソードまで語ってくれた。原作もちょうど暗黒大陸編が始まったことだし,なるほど雰囲気は近いかもしれない。
「Ancient Terrible Things」公式サイト(英語)
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