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[SPIEL’14]南アフリカ発の小粋なダイスゲーム「Ancient Terrible Things」を紹介。「インディ・ジョーンズ」ライクな“パルプアドベンチャー”ゲーム
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印刷2014/11/29 00:00

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[SPIEL’14]南アフリカ発の小粋なダイスゲーム「Ancient Terrible Things」を紹介。「インディ・ジョーンズ」ライクな“パルプアドベンチャー”ゲーム

画像集#013のサムネイル/[SPIEL’14]南アフリカ発の小粋なダイスゲーム「Ancient Terrible Things」を紹介。「インディ・ジョーンズ」ライクな“パルプアドベンチャー”ゲーム
 ドイツのエッセンにて2014年10月16日から19日まで開催された「Internationale Spieltage SPIEL’14」。数多くの新作ボードゲームが展示されていたその会場で,さまざまゲームを実際に遊んでみることができた。本稿では,そんな中から筆者が気になった一作を紹介してみよう。

 今回紹介するタイトルは,会場でふらりと立ち寄ったPleasant Company Studioのブースに展示されていた「Ancient Terrible Things」だ。どうやらクトゥルフ神話的なホラー要素と「インディ・ジョーンズ」的な冒険ものを組み合わせたボードゲームのようである。ルールブックを確認してみると,ゲームの背景として以下のようなテキストが書かれていた。

「破滅に終わった探検の顛末は噂に覆い隠されていた。冒険家の一団がおろかにも財宝と栄光を求め,リバーボートで遥かジャングルの奥へと向かったのだ。唯一の生存者が残したボロボロの手記には,古代の秘密と目覚めてしまった恐怖の存在に関する妄想のような記述があり,それはすぐさまサナトリウムの焼却炉に投げ込まれてしまったという。」

 うむむ,ドキドキする導入ではないか。まったくノーチェックのタイトルではあったが,このテキストにつられて本作を遊んでみることにした。

画像集#011のサムネイル/[SPIEL’14]南アフリカ発の小粋なダイスゲーム「Ancient Terrible Things」を紹介。「インディ・ジョーンズ」ライクな“パルプアドベンチャー”ゲーム


いざ“パルプアドベンチャー”の世界へ


 試遊の相手をしてくれたのは,本作のゲームデザイナーであるSimon McGregor氏だ。導入のテキストにもあったとおり,プレイヤーが扮するのは,古代の秘密(Ancient Secret)を求めてジャングルの奥深く踏み込んだ探検家だ。選択できるクラスとして「船長」「教授」「遺産相続人」「ジャーナリスト」の4タイプがあるが,能力にはあまり差はないようだ。

ゲームのインストをするPleasant Company Studioのゲームデザイナー,Simon McGregor氏。実に楽しそうにゲームをする御仁だった。ちなみにPleasant Company Studioは南アフリカを拠点とするデベロッパとのこと
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 ゲームの目的は多くの危険な遭遇を乗り越え,できるだけ多くの古代の秘密(Ancient Secret)――つまりは勝利点を持ち帰ること。最も多くの秘密を持ち帰ったプレイヤーは唯一の生存者となり,ボロボロの手記を書く権利を与えられる。……ま,その手記は残念ながらすぐにサナトリウムの焼却炉に投げ込まれてしまうわけだが。

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本作のプレイ風景。中央を流れる川は,東南アジアを流れるメコン川をイメージしたものだという。プレイヤーは川沿いの6つのエリアに置かれたOminous Encounterカードに挑戦し,古代の秘密の獲得に挑戦することとなる
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ルールサマリーを兼ねたキャラクターマットとFeatカード。ゲームの流れはおおよそこのキャラクターマットを見れば把握できる仕組みだ。Featカードは使い捨ての特技で,手札として3枚がわたされる。毎ターン補充できるので,どんどん使ってしまって構わない

 実際の探索はダイスを使って行われる。プレイヤーはFocusダイスと呼ばれる緑色の6面ダイスを5個振り,獲得条件して指定された出目を満たせば,晴れて古代の秘密を持ち帰り,勝利点がプラスされる。
 その獲得条件は,挑戦するOminous Encounterカードごとに決まっていて,例えば【4】【4】ならば,4以上の目の2個組,【2】【3】【4】なら,2以上の目で構成された連番,【4】+【4】+【4】+【4】なら,4以上の出目のダイス4個が必要というわけだ。

Ominous Encounterの一例。左は序盤に現れる簡単なカードで,背が緑色になっている。やや危険なオレンジ,非常に危険な赤のカード(写真右)もあって,獲得条件もどんどん難しくなっていく。なお左上に書かれた数字が得られる勝利点だ
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 なお,Ominous Encounterへの挑戦時に振ったダイスの出目は,古代の秘密を持ち帰るのに使用されるだけでなく,便利なトークン類を獲得するためにも用いられる。トークンにはCourageトークンFeatトークンFocusトークンTreasureトークンがあり,例えば4以上の出目一つにつきCourageトークンが1つ獲得できる。そのほか3以上の出目が2つあればFeatトークンが2つ獲得でき,同じ出目のダイスが3つあればFocusトークンを3つ,3つ以上の連番があればTreasureトークンを3つ獲得できる。

 トークンはいずれも探索が有利になる(例えばCourageトークンなら,Encounterごとに決まった数を支払うことでダイスを振ることなく秘宝を獲得できる)ものなので,ダイスの出目をどう組み合わせ,古代の秘密とトークンの獲得条件を満たすのかが重要になる。ときには古代の秘密を諦め,トークンの獲得を優先する状況も出てくるのだが……その場合は,恐るべき古代の恐怖(Ancient Terrible Things)を解放してしまうことを覚悟せねばならない。探索の達成条件を満たせない場合は,Terrible Thingトークンを必ず1つ受け取らなければならないのだ。

左側のSinister ChateauにあるOminous Encounterに挑戦してみる。必要な出目は5以上のペアだが……出なかった(汗)。振り直しは2回まで認められおり,コスト無しで全部を振り直すか,Focusトークンを使用して,選んだダイスだけ振り直すかを選ぶことができる。この場合はFocusトークンを2個使用して,5と6を残し残り3つを振り直すのが良さそうだ。ちなみにボードの左下にあるSwagカード(アイテム)は,Treasureトークンを使って購入できる。筆者は真ん中のRELIC(ゲーム終了時に7点の勝利点となる効果)が欲しいので,ここは振り直さずにTreasureトークン獲得に走り,他の人に取られるまえに買ってしまう手もありそうだ
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Ancient Terrible Thingsの恐怖を表すTerrible Thingトークン。トークンに描かれた触手の数(0から3)が勝利点へのマイナス効果を表しており,手に入れることでどんどん勝利から遠ざかってしまう。獲得時は伏せられた状況になっているので,どのくらいヤバい恐怖なのかは,自分だけが知ることができる
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Treasureトークンで購入できる便利アイテム,Swagカード。その効果はさまざまで,冒険を生き残るには欠かせないものといえる。この写真のカードで言えば,左から「Terrible Thingトークン1つにつき,勝利点1を得る効果」「ダイスの振り直し回数を1減らして場のEncounterを入れ替える効果」「4種のトークン一揃いにつき,勝利点3を得る効果」「Treasureトークン3枚につき,勝利点2を得る効果」となっている

試遊の途中経過。色々アイテムを取り揃え,冒険をこなしてきたが,CourageトークンとTreasureトークンが尽き果ててしまった。キャラクターマットの上に乗っている地図は1st Player トークンで,これを奪い合うのもゲームの駆け引きの一つ。本作ではターン毎に手番が変わり,1st Player トークンを持っているプレイヤーから時計回りとなる。なんでも早い者勝ちの本作において,行動順は非常に重要となる
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 そんなこんなで試遊はSimon氏の有利に進み,最終的にはTerrible Thingトークンのマイナス分で及ばず筆者の負けとなってしまったが,1時間ほどのプレイはかなり楽しかった。ダイスゲームであるため運の要素が強いが,その分誰とでも気軽に遊べるのはプラスと捉えていいだろう。もちろん各種カードをうまく使うことによる戦略性も適度に用意されているので,パーティゲームとして悪くない。個人的にはぜひ,日本語版が出てほしい作品と感じられた。

 なおゲーム終了後にSimon氏に幾つか質問を投げかけ,本作の制作経緯について聞いてみたところ,やはり「インディ・ジョーンズ」のような“パルプアドベンチャー”からイメージして制作したものとのことだった。しかしその中でも大きく影響を受けた作品に漫画の「HUNTER×HUNTER」があり,制作中はずっとアニメ版をヘビーローテーションしていた,なんていうエピソードまで語ってくれた。原作もちょうど暗黒大陸編が始まったことだし,なるほど雰囲気は近いかもしれない。

Pleasant Company StudioのSimon McGregor(左)とRob van Zyl氏
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「Ancient Terrible Things」公式サイト(英語)

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