レビュー
「リネージュII C5」先行体験レポート:クロニクル5の見どころをスクリーンショットと共に紹介
そんな中,同作のパブリッシャであるエヌ・シー・ジャパンにて,社内テストサーバー上でのクロニクル5先行体験をさせてもらえる機会が得られた。プレイ時間が限られていたため,アップデート内容のすべてをチェックすることはできなかったものの,新マップや新仕様を中心に,あれこれと確認させてもらった。本稿では,そこで得られたクロニクル5の手触り(と印象)を,スクリーンショットとともにお届けしようと思う。プレイヤーは,ぜひ目を通してほしい。
■クロニクル5の導入により,リネージュIIはどう変化するのか
リネージュIIの“年代記”は,クロニクル5をもって一応の閉幕となるが,その先には,より広く,深いゲーム内世界が創造されることとなっている。また韓国では,クロニクル5のユーザビリティを高めるアップデートの存在が明らかになっており,それは先述の“新たな目標”を語るうえで,欠かせない内容となっているはずだ。それに関しては,日本でも後日改めてアナウンスされると思うので,楽しみにしていよう。
クロニクル5の導入により,リネージュIIの世界には,ルウン城とシュチュッツガルト城という二つの城と,それに伴う領地/ダンジョンが実装される。
ルウン城は,ルウン城の村の西に位置する,三方を海に囲まれた難攻不落の王城だ。写真を見てもらえば分かるように,その規模はアデン城に匹敵。立地条件もさることながら,内部構造はかなり複雑である。またルウン城の地下監獄には,「ベノム」というボスモンスターが捕らわれており,攻城戦開始前にこれを倒さなければ,防衛側のいる城内に移動し,無差別攻撃を行うという。かなりの血盟員数とアクティブ率を誇る巨大同盟でなければ,とても長期防衛はできなさそうだが……。クロニクル5の攻城戦としては,最大の見どころとなりそうだ。
ルウン領地には,新たに「スタッカートの巣」「沈黙の修道院」「邪教の神殿」という三つのダンジョンが追加される。スタッカートの巣は,いわば「アリの巣」のスタッカート種族版で,内部には上位スタッカート種がウジャウジャいた。大きめの部屋がいくつも広がっていたので,高レベルキャラクターのパーティプレイにはもってこいの狩り場かもしれない。
邪教の神殿は,ルウン城の村の下水道からたどり着けるダンジョンということで,今回探索はできなかった。
沈黙の修道院は,設定的に邪教の神殿と対立関係にある施設。入り口が二か所あり,ゴダード/ルウン両方のエリアから進入できる。天使系のモンスター(出現モンスターはレベル80〜87)が多数登場し,最奥部には「光輝の支配者 アナイス」というレイドボスが待ちかまえている。
領地の中枢であるシュチュッツガルト城は,シュチュッツガルト城の村の北西に配置されている。構造的にはゴダード城に似ているが,詳細は不明。ベノムの登場するルウン城と比べると,いささか派手さに欠けるかもしれないが,クロニクル5以降の攻城戦の,大きな見どころとなることは間違いないだろう。
ゲーム内世界を完成させる重要なエリアであるだけに,シュチュッツガルト領地には,恥辱の埋葬地,悪霊の棲処,パヴェルの遺跡,略奪の荒野,アイスクイーンキャッスル,冬の迷宮などなど,多種多様な狩り場が配置されている。その立地条件ゆえ,棲息しているモンスターがルウン領地ほど高レベルではないので,幅広いプレイヤー層が狩りやクエストを楽しめるだろう。
ちなみに,シュチュッツガルト領地でのオススメスポットは,個人的にはパヴェルの遺跡。この遺跡は,パヴェルという名の巨人が建てた気象研究施設だったのだが,現在はマッドサイエンティスト「ドクターカオス」の占領下にある。彼は世界征服を目標に掲げ,日夜ゴーレムの製造に勤しんでおり,遺跡周辺には多種多様なゴーレムが徘徊している。それらゴーレムのデザインが,なかなかユニークなものになっているので,新鮮な気持ちで戦闘が楽しめそうだ。同領地を観光するときには,ぜひ一度お立ち寄りを。
新マップの導入に伴い,リネージュIIには多くのモンスターが追加される。合計何種類の新モンスターが追加されるのかは明らかにされていないが,ルウン領地/シュチュッツガルト領地の実装により,中〜高レベルのモンスターが多数追加されており,狩りの楽しみは大きく増したはずである。
ボスモンスターに関しては,「エルモアデン最後の皇帝」「バイウムの息子」とも呼ばれる「フリンテッサ」が登場するほか,各レベル帯に対応する多数のレイドボスが追加されている。クロニクル5では,各レイドボスが5種のカテゴリ(邪悪/ドラゴン/生命体/人工生物/自然性向)に分類され,カテゴリに見合った特産物アイテムをドロップ。特産物アイテムを組み合わせてNPC「冒険者組合員」に持っていけば,さまざまなアイテムが得られるので,レイドボスハントもより活発に行われそうだ。
ちなみに今回の体験プレイでは,さすがにレイドボスの強さを確認できなかったが,韓国情報などを調べた限りでは,「一部で噂されているほど,ボスは上方修正されていない」模様(実際に戦ってみないことにはなんともいえないが)。
クロニクル5では,新規アイテムも大量に実装されている。後述する「アカデミー」に加入した血盟員がクエストを通じて入手できる誓いセット防具や,一定の名声値と引き換えに入手可能なアペラセット防具をはじめ,両手剣,片手剣,片手鈍器,両手鈍器なども各グレードに追加され,装備のバリエーションが広がった。
また,キャラクターの能力には影響を及ぼさないヘアアクセサリー(おしゃれ装備)が15種類も追加され,アバター性の向上にもつながっている。リネージュIIは,装備の幅や外見の変化が若干弱めなところがあるので,こういった追加要素は,プレイヤーとしても大歓迎だろう。
なおテストサーバーでは,実際に「魔剣ザリチェ」を入手/使用する機会があった。魔剣ザリチェは,各サーバーに1本しか存在しないユニークアイテムで,「装備するとカオティック(赤ネーム)状態になるが,PKペナルティが適用されない」「装備者の戦闘能力が大きく向上する」「魔剣ザリチェを用いてPKカウントを増やすと,攻撃力がさらに向上していく」など,極めてアグレッシブな武器。まさに魔剣だ。
魔剣ザリチェを装備したキャラクターのステータスは,右の写真のとおり。試しに亡者の森でモンスターと戦ってみたところ,攻撃さえし続けていれば,パーティモンスターを相手にしても余裕でソロ狩りができてしまった。ザリチェ自体にヴァンパイアリック レイジの効果が備わっているため,攻撃を当てるたびに,信じられないくらいのHPが吸収できるわけだ。
また,エヌ・シー・ジャパンの広報さん協力のもと,何回かPvPを試してみたのだが,ザリチェの効果でCP(対人戦専用の気力ゲージ)が激増していたため,ほぼ無傷で勝利できた。複数の攻撃型メイジや弓職に襲われない限り,魔剣ザリチェの使い手が敗北することは,まずないのだろう(近接職数人ならば,余裕で対応できそうだ)。
この恐ろしくもユニークな魔剣によって,「鬼ごっこ的なユーザーイベント」が行われたり,「攻城戦における一騎当千」が実現したり,あるいは「狩り場での敵対勢力の排除」が敢行されたりするのだろう。魔剣の所有者が変わる度に生まれる物語には,多くのプレイヤーが無関心ではいられないはずだ。
MMORPGというゲームの性質上,血盟の強化と社会階級に関する追加/変更要素は,多くのプレイヤーに影響を及ぼす。
クロニクル5では,従来5が上限だった血盟レベルを,8まで上げられるようになる。血盟のレベルを5以上に成長させるには,レイドボスからドロップする特定のアイテムと,血盟の名声値が必要になるが,血盟レベルが5以上になれば,アカデミー/近衛隊/騎士団という新たな組織が作れるようになり,血盟の最大人数が増える(最大140人まで拡張される)。
社会階級は,キャラクターが所属する血盟のレベルや,キャラクター自身の立場によってさまざまに変化する。クロニクル5での社会階級は,放浪者/領地民/従士/騎士/賢者/男爵/子爵/伯爵/侯爵という9種類が導入される模様。社会階級によっては,血盟専用のセット防具「アペラセット」や,アカデミー所属員専用の「誓いセット」などが着用でき,(取得済みなら)血盟員に効果を発揮する「血盟スキル」の恩恵も受けられる。組織の発展のため,そしてキャラクター単体の強化のためにも,血盟の強化と社会階級システムを軽視することはできないだろう。
とはいえ,クロニクル5の導入により,最大同盟数は3血盟に縮小されることとなる。1血盟あたりの最大血盟員数が増えたため,3血盟からなる同盟でも戦力強化は計れるが,これまで小〜中規模の血盟によって形成されていた「狩り同盟」「チャット同盟」にとっては,いささか寂しい状況になりそうだ(血盟の吸収合併でコミュニティは維持できるが,そのために思い入れのある血盟を解散するのは辛いだろう)。
同システムは,より魅力的なゲーム内利権を生むシステムではあるものの,大手血盟(同盟)と中小勢力の戦力差が(勝負にならないほど)大きく広がってしまう恐れもある。システム的な権力の導入により,ゲーム内コミュニティがどう変化していくのか。興味深くもあり,不安でもあるというプレイヤーも,決して少なくないだろう。
クロニクル5で実装される新クエストについては,さすがに短時間ではチェックできなかった。特設ページや4Gamerに,新クエストに関する情報が掲載されているので,事前に公式情報を得たいという人は,そちらを参考にしてもらいたい。
とはいえ,クロニクル4の段階でも,レベル帯ごとにさまざまなクエストが用意されているので,基本的には「より多彩なクエストが受けられるようになる」という認識を持っていて,間違いないだろう。韓国での情報を見る限りでは,武器/防具の図に関わるクエスト(ドロップ/スポイルで得られるアイテムも,ゲーム内経済に大きな影響を及ぼす変更がある)も充実してきた印象があるし,報酬の面でも納得のいくものが増えてきていると思う(あくまで個人的な見解だが)。クロニクル5が実装されて,どのようなクエストが「お金稼ぎ」の要となるのか,非常に興味深いところだ。
●スキルの追加/変更
狩りや対人戦に大きな影響を及ぼす「スキルの追加/変更」要素に関しては,実際にスキルを使い,さまざまなケースを通じてその効果を確認してみなければ,うかつなことは言えないだろう。クロニクル5では,新スキルが新たに50種類ほど追加され,各種スキルの効果も大きくリファインされている。
なお,クロニクル5では「攻撃型メイジ>(ナイト>ローグ>ウォーリア>ナイト)>防御型メイジ>攻撃型メイジ」という,職業タイプ間の相性が導入されているのだが,これは「特定のタイプと戦うときに各種補正が入る」ということではなくて,各タイプに追加されるスキルの効果によって,職業間のPvPバランスが調整されている,というものだ。
例えば,防御型メイジ(ビショップ/プロフィット/エルダー/シリエン エルダー/ウォークライヤー/オーバーロードなど)にはマナバーン(ターゲットのMPを削る効果)が追加されるので,MPの消費を通じて相手に損害を与える攻撃型メイジ(ソーサラー/スペル シンガー/スペル ハウラー/ネクロマンサー/ウォーロック/エレメンタル サマナー/ファントム サマナーなど)に対して,以前より有利に戦えるようになる(ちなみに,マナバーンの効果は相手の魔法防御力によって大きく変動する。相手の魔法防御力が低ければ,数百のMPを削れるかもしれない)。
とはいえ,リネージュIIはMMORPGであって,格闘ゲームではない。1対1での戦闘結果にはあまりこだわらず,多対多での戦闘時にどう動くか,どの相手を優先して狙うか,といった点に頭をひねるのが,正しい楽しみ方といえるのかもしれない(もちろん,英雄を決めるためのオリンピアードの場では,職業単体の強さが問われるが)。
ここまでに紹介してきた要素以外にも,キャラクターレベルの上限が78から80に拡張されたり,各種情報ウィンドウやインタフェースが改良されたり,トレード/個人商店の使い勝手が向上したりと,規模の大小を問わず,さまざまな部分に追加/変更が施される。
また,フィールド上のモンスターを狩ると,一定確率でHP回復/MP回復/攻撃力Up/防御力Up/魔法力Upなどの効果が得られる即効性アイテムがドロップするようになり,レベル40未満のプレイヤーキャラクターが「座る」状態のとき,HP/MP回復率が飛躍的に上昇するといった改善が行われるなど,初心者やソロプレイヤーのレベリング効率が確実によくなっている点も見逃せない。
コンテンツの拡充だけでなく,ユーザビリティの向上にもしっかりと注力されている印象がある,クロニクル5。クロニクルシリーズ最後の章ということもあって,その規模は非常に巨大だ。それだけに,今回のアップデート内容を客観的に俯瞰するためには,かなりのプレイ時間が要求されそうだが,血盟システムの強化やゲーム内世界の完成,中〜高レベルキャラクターに対応する装備/スキル/クエストの追加などにより,しばらくは純粋に楽しむことができそうだ。
歴史が長く,ゲーム内の要素も実に豊富なタイトルだけに,作品とその周辺には,まだまだ多くの問題が山積しているが,少なくとも「MMORPG」としては,間違いなく「末永く楽しめる」作品に仕上がっている。とりあえずは,9月12日のクロニクル5開幕日を心待ちにしつつ,(公式発表はまだされていないが)その後に導入されるであろう小〜中規模アップデートの内容にも,注目していきたいところだ。(大路政志)
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