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Final Fantasy XI Fan Festivalで行われた,プランナー岩尾賢一氏による,ヴァナ・ディールの歴史解説
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印刷2007/11/19 18:09

イベント

Final Fantasy XI Fan Festivalで行われた,プランナー岩尾賢一氏による,ヴァナ・ディールの歴史解説

画像集#002のサムネイル/Final Fantasy XI Fan Festivalで行われた,プランナー岩尾賢一氏による,ヴァナ・ディールの歴史解説
 11月16日と17日にカリフォルニア州アナハイム市で開催された“Final Fantasy XI Fan Festival 2007”では,各種イベント(関連記事)のほかに,開発者がステージに上がってのプレゼンテーションが行われた。
 16日の午前中に行われたのは,世界設定などを担当しているプランナーの岩尾賢一氏による「ヴァナ・ディールの歴史」だ。
 おそらく,拡張パック第4弾の「ファイナルファンタジーXI アルタナの神兵」を公開する前に,ファン達の知的好奇心を煽る目的で行われたようだが,水晶大戦時代の歴史についてはこれまでにも詳しく公開されたことはなく,日本のファンにとっても興味深いだろう。世界観に没入したプレイを楽しむには,不可欠な情報だ。

 さて,岩尾氏は,日本戦国期の兜のレプリカを頭につけてステージに登場し,台本を読みながらではあったが,冒頭は英語でジョークを連発するなど,場の雰囲気を盛り上げていた。

 本題のヴァナ・ディール史については,岩尾氏が日本語で解説したものを,通訳が英語に直していくという形式で行われたが,会場に集まったアメリカのファン達は,お気に入りの種族が出てくるたびに歓声や拍手を送り,気に入らない種族の歴史にスポットライトが当てられるとブーイングを浴びせるなど,かなり興奮していた様子。初日から非常にボルテージの高いイベントであった。

 以下,岩尾氏が日本語で解説した部分を,氏の言葉を忠実に抜き出し,英語で行われた部分は,翻訳して紹介しよう。

画像集#010のサムネイル/Final Fantasy XI Fan Festivalで行われた,プランナー岩尾賢一氏による,ヴァナ・ディールの歴史解説 画像集#011のサムネイル/Final Fantasy XI Fan Festivalで行われた,プランナー岩尾賢一氏による,ヴァナ・ディールの歴史解説

Age of Exodus


画像集#007のサムネイル/Final Fantasy XI Fan Festivalで行われた,プランナー岩尾賢一氏による,ヴァナ・ディールの歴史解説
 今から800年ほど前。天晶歴がまだ指で数えられるくらいの昔のこと。クォン大陸には少数のヒューム族がいくつかの部族に別れて暮らしていたようです。また,ミンダルシア大陸には,それより昔からヤグードが住んでいたようです。え? なぜ“ようです”なんて言い方をするのかって? この時代にはヒューム族もヤグード族もまだ文字を持っていなかったんですね。ですから,その時代について詳しいことは分かっていないんですよ。

 それが今から600年ほど前,そうですね天晶歴で190年ほどになると,クォン大陸のさらに北にある大陸から渡ってきた狩猟民族エルヴァーンの定住地がクォン大陸北部に建設されました。きっと,豊かな獲物を求めてやってきたのでしょう。そして,天晶歴200年頃になると,どこから来たのかははっきりしていないですが,ミンダルシア大陸に放浪の民タルタル族が渡ってきて,サルタバルタ平原に腰を落ち着けました。

 さらに、天晶歴220年頃になると,ゼプウェル島に住んでいたガルカ族が,アンティカ族との戦いに敗れ,クォン大陸南部に移住してきました。

(英語で) このようにして,これら5部族が一つの大陸で共存するようになりました。Age of Conquerorの始まりです。


Age of Conqueror


画像集#003のサムネイル/Final Fantasy XI Fan Festivalで行われた,プランナー岩尾賢一氏による,ヴァナ・ディールの歴史解説
 ところで皆さんは,タルタルと聞いて最初にイメージするものはなんですか? (カワイイ!などの歓声があがる) 小さい? 弱い? (会場で笑いが起こる)

(日本語に戻り) どれも正解なことだと思います。でももう一つ大切なことがありますよね。そう,魔法です(ここで来場者の一人がMahou!と叫び,岩尾氏が吹き出してしまう)。

 天晶歴219年にタルタルの少女,後の“星の神子リミララ”が魔法を発見してから,それまで静かにひっそりと暮らしていたタルタルの生活は,大きく変わることになりました。小さな部族単位でいがみ合っていたタルタルの族長達は,和解してウィンダス連邦を形成したのです。(ここで大歓声の後に,それをかき消すかのようなブーイングが起こる)

 そして,さらにより豊かな土地を求める大規模な開拓運動が(北や東に向かって)始まりました。彼らが最初にターゲットにしたのは,同じミンダルシア大陸に古くから住んでいた,ヤグード族の土地だったのです。ヤグードは,初めて目にする魔法の力におののき,いとも簡単に自分よりもずっと小さなタルタル族に屈してしまいました。彼らの目には,魔法は奇跡にしか見えなかったのです。(再び大歓声とブーイング)

 さて,破竹の勢いでミンダルシア大陸を制覇したウィンダス連邦が,次に目をつけたのはジュノ海峡を挟んで目と鼻の先の広大なクォン大陸でした。そこには,すでに強靱な肉体と勇猛な精神を持つエルヴァーン族が部族ごとに分かれて暮らしていました。けれど,魔法を独占するウィンダス戦闘魔道団の敵ではなく,ノルバレン地方が占領されてしまいました。(またまた大歓声とブーイング)

 そして,軍事の天才ルンゴナンゴ大魔元帥が登場すると,クォン大陸の全土がその軍門に下ることになったのです。

(英語で) タルタルを使用している皆さんはどれくらいいますか(大歓声が起こる)。
 では,そのプレイヤー達は,自分の友達に「タルタルは昔,ヴァナ・ディールを支配していた」って自慢できますね(会場が爆笑)。

Rise of Sand'Oria


画像集#004のサムネイル/Final Fantasy XI Fan Festivalで行われた,プランナー岩尾賢一氏による,ヴァナ・ディールの歴史解説
 次は「サンドリアの勃興」です(割れるような歓声が上がったあと,唸るようなブーイング)。エルヴァーンのプレイヤーはどれくらいいます? 皆さんの先祖だって,ウィンダス連邦の支配にずっと甘んじていたわけではありませんよ。とはいえ,それは,一人の英雄,ランボル・ドラギーユの誕生まで待たねばなりませんでした。みなさんは彼が誰だかお分かりですね。そう,前国王デスティン,そしてトリオン王子らのご先祖様です。
 彼はクゥダフ族と同盟を結ぶと,タルタル族の影響を脱して再びクォン大陸をエルヴァーンの手に取り戻すことに成功。(数人の男性がイェーイ!と叫んだ後に大ブーイングが)こうして,サンドリア王国が建国したのです!


Bastuk Independence


画像集#005のサムネイル/Final Fantasy XI Fan Festivalで行われた,プランナー岩尾賢一氏による,ヴァナ・ディールの歴史解説
 次は,バストゥークの独立についてです。ようやくあなた達のストーリーの時間ですよ。(大歓声) えっ,それまで彼らはどうしていたのかって? みなさんすでにご存じのように,ガルカは人口が増えることがまずありません。ヒュームも昔からクォン大陸に住んではいましたけれど,その人口は少数でした。しかも、その多くは草もまばらな荒れ地の広がる辺境に住んでいました。ですから,大陸の覇権に関わるチャンスはなかったんです。

 しかし,しかしです。エルヴァーンがチョコボの牧草地に適せぬ不毛の地とバカにし,タルタルが魔法を運用しても作物が育たぬ無用の地と見捨てた土地は,実は莫大な恵みの土地だったのです。バストゥーク出身の方ならよくご存じですよね。そう,ミスリル,ゴールド,プラチナ,その他鉱物資源の宝庫だったのです。

 グスゲン山で巻き起こったゴールドラッシュに端を発して,世界中から集まってきたヒュームの鉱山労働者達。彼らが自分達の上前をはねるだけの支配者,サンドリアに反感を持つのは当然のことでした。やがて,鉄腕マイヤーという有能な指導者を得たヒューム族は,持ち前の技術力を活かしてバストゥーク砦を建築。ガルカ族と手を組み,当時無敵と思われていた王立騎士団を破ることに成功しました。こうしてバストゥーク共和国が誕生したのです。

 流れ者が集まっていたバストゥーク共和国は,世界中の政府や軍隊の利点を比較検討し,斬新な制度を築きあげました。それが国民から選ばれる王,そう大統領制の施行です。そして市民による市民のための軍隊,共和軍団の誕生でした(大歓声)。 さらに,大砲や火器など新兵器の発明と,鉱物資源の増産による莫大な富の流入によって,バストゥークは新興国ながらウィンダスやサンドリアを凌ぐ強国へと発展していったのです。

画像集#001のサムネイル/Final Fantasy XI Fan Festivalで行われた,プランナー岩尾賢一氏による,ヴァナ・ディールの歴史解説
岩尾賢一氏
 こうして,我々の良く知る三つの国家,サンドリア,バストゥーク,ウィンダスが形成されます。そして,忘れてはいけません。ヤグード教団,クゥダフ兵団ら土着の獣人も,強力な指導者を得て勢力を拡大し始めました。さらに北方からは,強大なオーキッシュエンパイアがついにクォン大陸に侵略を開始したのです。いずれも,実力の伯仲する強国ばかりです。ゆえに,いつ果てるとも知れぬ群雄割拠の戦乱の時代が300年も続きました。この時代は我々東の国(日本のこと)の戦国時代に似ていて,数多の英雄や豪傑が登場し,いろんなエピソードがあるんです。本当は皆様に,(この300年のことを)お話したいのはヤマヤマなんです。でも,話し始めると私は一日中でも話しそうなので,ここでは残念ながら割愛させていただきますね。

(英語で) そうだ,ミスラでプレイされている皆さんはどれくらいおられますか? (歓声がホールの各所から上がる)

 皆さんが,歴史に登場するのはこれからです。海賊として,傭兵として,あるいはウィンダスの海兵隊として大活躍するようになりました。ほかの人々からは,大迷惑だったという話もありますけれどね(大爆笑となる)。


Founding of Juno


画像集#006のサムネイル/Final Fantasy XI Fan Festivalで行われた,プランナー岩尾賢一氏による,ヴァナ・ディールの歴史解説
 次にお話しするのは,ジュノ大公国の建国です。(大ブーイング)

 さて,アルタナ諸国で最後にできた国は,みなさんよくご存じのジュノ大公国です。戦乱に疲れたサンドリア,ウィンダス,バストゥークは互いに相手の隙を狙う一方で,徐々に交易による結びつきも強くなっていきました。やがて,豪商の中にクォン大陸とミンダルシア大陸を隔てるジュノ海峡に長い長い橋を渡し,海賊がはびこる海路よりも,陸路の貿易を安全にできないかと考える者達が現われ,ヘブンズブリッジの建設が始まったのです。

 やがて橋の上に街ができました。その街はジュノといい,海峡を通過する商船の中継地,大陸を渡る隊商の中継地,両方の特性を兼ね備えた貿易都市として,商業が発達しました。そして,カムラナートという卓越した指導者がいたジュノの経済力は他国にとって無視できないものになり,三国公認のもとジュノ大公国が成立したのです。

 それは,三国が初めて共同で行った歴史的行事でもありました。当時の多くの人々は,新たな平和の時代の幕開けを確かに肌で感じていたようです。しかし……。

Rise of the Shadow Lord


画像集#009のサムネイル/Final Fantasy XI Fan Festivalで行われた,プランナー岩尾賢一氏による,ヴァナ・ディールの歴史解説
 突然のようにやってきた闇の王。いいえ,それは正確ではありませんね。北方に出現した獣人の新興勢力がオークやクゥダフ,ヤグードと激しく戦っていることは、どの国の人も知ってはいましたから。でも,それが互いに対立していた獣人勢力を糾合するための予備戦争だと予見していた人は少なかったようです。ですから,10万を超える兵力をそろえて,各地に電撃的に侵攻を開始した獣人血盟軍に対し,各国の軍隊はなす術もなかったのです。

 各国の軍は敗退を重ね,サンドリアは王都を包囲され,バストゥークは主要な要塞と制海権を失い,ウィンダスは聖都の中にまで敵に攻め込まれ,ジュノは陸,海,すべての通商路を封鎖されてしまいました。もはや,アルタナの民の未来は失われたかに思われたのです。


 個別に戦っていたのでは,世界的規模で戦っている獣人血盟軍に勝てない。そう気づいたアルタナ各国は,遅まきながら歴史的な恩讐を捨て去り,連合軍を形成することに同意したのです。そしてもう一点。実は,アルタナがもたらした希望の翼が……おっと,これ以上は言えません。(アルタナの神兵の話題へとおよぶことへの期待があったのか,大ブーイングが起こる)

画像集#008のサムネイル/Final Fantasy XI Fan Festivalで行われた,プランナー岩尾賢一氏による,ヴァナ・ディールの歴史解説
6世紀から9世紀初旬にかけての300年間は,水晶大戦時代の中でも,日本の戦国時代にたとえられる,と岩尾氏は説明する。各勢力の間で行われたさまざまな戦闘もあるのだが,今回はそこまで細かく解説されなかった。この長き戦国時代への嫌戦気分からジュノ大公国が誕生した
 ジュノは,獣人血盟軍の猛攻をしのぎました。獣人血盟軍はザルカバード海戦に敗北しました。闇の王は英雄によって倒されました。どれも歴史であり,終わったことです。でも,そこに隠された真実があったとしたら……,語られぬ物語があったとしたら……。そして,もし,もしも過去を変える手段があったとしたら……。後世に創作された歴史ではない,物語のために脚色された歴史ではない,生の歴史の真実を見極めて行動し,新たなるヴァナ・ディールの歴史を築きあげるのは,みなさん冒険者なのです!(大歓声)

 皆さんと,近い将来,いえ,過去に再びお会いできるのを楽しみにしています!(拍手と大歓声に送られながら,岩尾氏が退場)

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