1987年にリリースされた「Sid Meier's Pirates！」は，海賊の一生を描いたシミュレーションゲームで，シド・マイヤーの代表作の一つとしてオールドゲーマーによく知られているタイトルだ。
　プレイヤーはオランダ，スペイン，イギリスのどれかの国家に所属する海賊となって，敵国の船舶を襲って積み荷や船舶を売り飛ばし，自国に災いをなす海賊を退治しながら立身出世を目指す。手柄を立てれば国王から土地や爵位がもらえ，また引退時にはプレイヤーの功績（所有している土地の広さや階級など）によって余生の肩書きが表示されるため，より上のランクを目指して何度もプレイした人もいることだろう（実は筆者もその一人だ）。
　それから6年後の1993年にはリメイク版として「Pirates！ Gold」がリリースされたが，これはあまりデキが良くないとの評判もあり，大した話題にはならなかった。
　そんな歴史を持つ本作は，以前からリメイク版が制作されており，今回のE3でも展示されていた。しかし何か理由があるのか発売元のATARIのブースには置かれておらず，Microsoft社の「Game for Windows」ブースやNVIDIA社のブースの片隅にひっそりと新「Sid Meier's Pirates！」置かれていた。とはいえ，さすがにシド・マイヤーのタイトルということもあって，オールドゲームファンなどが集まりちょっとしたにぎわいを見せていた。

　筆者が見る限り，今回のリバイバルは非常にいい感じだ。秀作と名高い初代「Pirates！」をベースに3D化して，いくつかの追加要素が盛り込まれている。縦帆の船は最大船速は低いが風上にも進みやすく，横帆の船は最大船速は高いが風上には進めないといった特徴もしっかりと再現されていた。
　また海戦で敵船舶に接舷すると敵の船長とフェンシングでの勝負になったが，これは大幅にパワーアップ。場所を変えながら戦うなどの演出はなかなかに興奮させられた。なおデモプレイの間にムービーが流れていたが，宝の地図を入手した主人公などの姿が見られることから，これまで同様に海賊行為や交易だけではなく，宝探しなどもできるようだ。
　船員を募ったり，売買を行う港がメニューオンリーではなく，歩き回れるようになっていた点は目新しい。どうやら敵対している国の港には近づいただけで砲撃されるので，近くに停泊してスニークアクションのように潜入することになるようだ。またパーティのシチュエーションで女性とダンスを踊るシーンなどは，ちょっとしたダンスゲーム（いわゆる"音ゲー"のシステム）が楽しめた。ちなみにダンス中には画面上部にハートマークが表示されており，ダンスのうまさに応じてハートが増減。ダンスが終了すると告白シーンになり，女性が正否を出すといった少々軟派な演出も。おそらく，同じ女性と親密度を高めていけば結婚などのイベントもあるに違いない。

　発売時期については，資料には2004年のクリスマスと書かれていたが，現場で説明してくれたスタッフによると2004年の11月には発売するらしい。
　ベースとなるソフトがかなり古いだけに，どうしてもオールドゲーマーに向けの記事になってしまった感もあるが，決してノスタルジックな思いだけで記事を書いているわけではないので，勘違いしないでほしい。E3で展示された「Sid Meier's Pirates！」を見てつくづく思ったのだが，よくできたゲームシステムは，今となっても古さを感じさせないのだなと感心させられた。発売日を楽しみにしていたいと思う。（Murayama）

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