2004/08/24 20:51 |
シド・マイヤー氏の往年の名作「Sid Meier's Pirate!」が,完全3Dのゲームとなって18年ぶりに復活する。E3 2004でも遊べるデモの公開が行われていたものの,今回のバージョンは「どこができていないのか分からない」ほど完成度の高いものだった。
2004年11月にAtariからリリース予定のPirate!は,Firaxis Games社を統括するシド・マイヤー(Sid Meier)氏が手がけた一連の作品群の中でも,ひときわ輝く名作のリバイバル版である。戦闘,探索,商売などがプレイヤーの気の向くままに行える自由度の高さは,「Grand Theft Auto」に見られる今なお人気のコンセプトであり,AppleIIソフトとして初めて100万本の売り上げを誇るソフトとなった。あまりにも斬新なアイデアだったのか追随するゲームが長らくなかったが,ここに来て機運も高まったといえよう。
Pirates!は17世紀のカリブ海を舞台にしたゲームで,プレイヤーは駆け出しのキャプテンとして冒険を始めることになる。時代はスペイン王国の影響が強い1620年から始まり,20年ごとに4段階のシナリオが用意されている。1680年のシナリオではイギリス,フランス,オランダの強豪もカリブの島々で植民地を切り開いており,より混沌とした世界をすぐに楽しみたい人にはお勧めだ。 ゲーム開始時点では,この4国の中からスタートポイントとなる街を選ぶことになる。そのあとは統治者と話したり,酒場でクルーの雇用や情報入手,商人からの買い付けや船大工との交渉をしたりと,自由に行動できる。 港に入ったときのメニューは以下のようになっており,街をウロウロして場所を探すのではなく,メニューをクリックして場所を切り替える方式になっている。
Talk to the Governor(統治者の執務室で,公文書などを入手) Visit the Tavern(クルーの雇用や情報収集など) Trade with Merchant(貿易やアイテム売買) Cons Shipwright(船の売買や改修) Divide the Plunder(積荷の仕分け) Check Status(街や船,キャラクターのステータス検査) Sail Away(航海モードへ)
明確なルールは存在せず,最初に恩顧にしてもらった国を離れて別の国家との連携を深めても良い。密貿易によって敵対する国との交易を秘密裏に行うほうが大きな儲けになるようで,一国の君主に頼らないほうがパイレーツ気分を満喫できるのかもしれない。 スペインとイギリスが敵対関係になるなど史実に基いてメインストーリーは進行していくが,プレイヤーの成長や協力関係によって左右していく部分も多く,リプレイ性も高そうだ。
会場にあったバージョンには,起動画面にさまざまなオプションがあり,統治者の娘とのダンスや船での戦闘,敵のキャプテンとの一対一の戦いなどがいつでも行えるようになっていた。
●ダンス
オリジナル版では,プレイヤーは統治者の娘と結婚し,さまざまなインサイダー情報を得ることができた。本作では,まず結婚するまでの過程で,ダンスや贈り物で彼女のハートを射止めなければならない。 ダンスは,床に現れる黄色い足跡のマークに従って,プレイヤーキャラクターをナンバーキーを使ってリズミカルに操作しなければならない。最初は横移動ばかりで簡単だが,やがてナナメへの動きも加わって複雑化し,簡単には習得できるものではないようだった。このダンスの技術を向上させるアイテムとして,ダンスシューズを商人から購入することもできる。
●海戦
「大航海時代」から「Pirates of the Caribbean」まで,オリジナルのPirates!の登場以降,大航海時代の海戦を手がけたゲームは多い。しかし,やはり本家はひと一味違い,非常にスピーディで爽快感のある戦いが楽しめる。 戦闘はリアルタイムとターンベースの混合型となっていて,船にダメージを与える通常のキャノン,人を攻撃するためのグレープ(ぶどう弾),帆を破るチェーンなどを再発射するには一定の時間を要する。その間は,攻撃するために敵船に対して角度を90度に保ったり,逆に迂回して被弾を避けたりといった行動を取るわけだ。 戦闘中に敵船や自分の船から落っこちる船員がおり,その様子までゲーム中で表現されている。生存者は自分のクルーに引き入れることも可能で,中にはコックやナビゲータなど特殊技能を持った者もいるようだ。者もいるようだ。
●デュエル
敵船のキャプテンとの戦闘は,船にダメージを与えることなく勝利することが可能だ。 ダンス同様,九つのナンバーキーをうまく操作して戦わなければならず,1,4,7は上段から下段への攻撃,2はジャンプ,8で敵の攻撃をかわし,そして3,6,9は相手の攻撃に対する防御となっている。一見,同じシーンの繰り返しにも思えるが,アートは敵の属性によって数パターン用意されている。プレイヤーの熟練度によっては体力がもたずに攻撃力が落ち,敵を追い詰めていても撒き返しを図られることもある。甲板上だけでなく,噴水前など陸地でも交戦できるようになっていた。
「Port Royale」のような複雑なパラメータは存在しないので,E3で見たときには少々子供っぽいようにも感じられたが,"Civilizationシリーズ"のように長時間楽しめるゲームのようだ。陸戦は,以前計画されていた「Gettysburg!」のようなリアルタイム方式ではなくなり,ターンベース型に変化していた。ただ,コリジョンディテクションの問題で丘にキャラクターが隠れてしまう現象が起きていたので,実際に試して見ることはできなかった。
2004年10月には,リミテッドエディションとしてDVD-ROM版が予約可能になる。これにはオリジナル作品をWindows版へと移植したものが含まれるほか,メイキングビデオやコンセプトアート,ヒント集など満載の内容になるという。さらに,MODツールも同梱されることになっており,アジア地域や全世界を股にかけたマップや現代シナリオなどが熱心なファンによって開発されることが予想できる。 またAtari社では,Firaxis社ゲーム初となるXbox版も開発していることを発表しており,こちらは2005年春にリリースされるとのこと。HDTVやサラウンドサウンドに対応するうえに,なぜかPC版にはないオンラインモードも考案されており,海戦などがLive!で楽しめるようになる。
古いゲーマーには甘い記憶として残されている「Sid Meier's Pirates!」が,いよいよリアレンジされた3Dゲームとなって登場する。時に記憶は美化されてしまうものだが,実際にプレイした感覚では,新しいPirates!は昔のままの雰囲気を色濃く残していた。(奥谷海人)
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