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エルピーダ,QimondaからGDDR技術を獲得。グラフィックスメモリ市場へ参入
自作派PCゲーマーにGDDR5/3チップのメーカーとしてよく知られるQimondaは,2009年1月23日に破産申請し,4月1日から事業再生手続きが始まっていたが,今回の発表でGDDR5/3メモリ,とくにGDDR5メモリの生産が継続される見通しが立ったことは,さりげなく(といっては当事者に失礼かもしれないが)重要な情報といえそうだ。
なお,エルピーダメモリによると,同社は,QimondaのGDDRメモリ開発チームを引き継ぐ形で,ミュンヘンのデザインセンターにて,GDDRメモリの開発を継続するとのこと。2010年上半期には,Qimondaのプロセス技術を継承する台湾Winbond Electronicsに生産委託する形で,1Gbit GDDR5/3チップの出荷を開始する予定になっているほか,下期には同社の広島工場で,2Gbit GDDR5チップの量産を開始するロードマップになっているという。
→エルピーダのプレスリリース
#### 以下,リリースより ####
GDDR技術を使用するグラフィックDRAM事業に参入
キマンダのGDDRに関するライセンスを取得し、
新規開設のミュンヘンデザインセンターにて事業を開始
DRAMのリーディングカンパニーであるエルピーダメモリ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長兼CEO:坂本幸雄 以下、エルピーダ)はQimonda AG社(本社:ドイツ ミュンヘン、代表者: 管財人 Dr. Michael Jaffe 以下、キマンダ)と、グラフィックス処理に適した高速データ転送を実現するDRAMアーキテクチャであるGDDRに関し、その技術を導入すること、またその一部設計資産を譲り受けることで合意しました。
エルピーダはこれによりグラフィックDRAM事業に参入し、メモリソリューションカンパニーとしての基盤をさらに広げることが可能となります。
GDDRの技術開発は、新たに設置したミュンヘンデザインセンター(Elpida Memory Europe GmbH, Munich branch)にて、キマンダの元従業員で当該技術に携わって来たエンジニア50名弱を中心に進め、2010年上期には1GビットGDDR3および1GビットGDDR5の出荷を開始する予定です。これらの製品は、それぞれキマンダで量産、設計完了の実績があるため、同社のプロセス技術を継承するWinbond Electronics Corp.(華邦電子)に生産委託することを想定しております。また、優秀かつ経験豊富なエンジニアリングチームによる技術開発を進めることで、同年下期には2GビットGDDR5の量産を広島工場にて開始する予定であり、早期にビジネスの立ち上げを進める計画です。
GDDR技術を使用したDRAMは、その高速なデータ転送能力からゲーム機器を中心とするグラフィック処理に最も適しており、メジャーなゲーム機器メーカーによる採用が進んでいます。またデスクトップPCやノートPCにおけるハイエンド機種のグラフィック処理にも積極的に使用されています。
汎用DRAMをはじめ、グラフィックス向けのGDDR DRAM、高速XDR DRAM、モバイル機器向けのMobile RAMと全てのDRAM分野をカバーするDRAMベンダは世界的にも限られており、エルピーダが今後のDRAM市場にて果たす役割は非常に大きいと考えております。
エルピーダの取締役兼CTO安達隆郎は次のようにコメントしております。「グラフィックス向けDRAMでは、3Dグラフィックスの普及、スクリーンサイズの大型化、多様化、ハイデフィニションフォーマットの普及などにより、画像用メモリに要求される転送レートは今や5Gビット/秒を超えています。こうした市場背景を受け、8Gビット/秒も視野に入れつつ、GDDR5を製品化していきます。この高速性を実現するためには、内部回路における高速動作はもちろん、入出力の信号伝送路の特性にも高度な技術が必要になります。今般、当社がこの技術を獲得することは、単にグラフィックスDRAMに留まらず、当社の全てのDRAM設計技術向上に大いに貢献すると考えています。」
エルピーダは、低消費電力がキーとなるモバイル分野、高信頼性を要求されるサーバ分野において高い顧客評価を受けておりますが、高速性が追求されるグラフィックスDRAM分野への参入によって、全てのDRAM分野に参入を果すことになります。これにより顧客基盤の拡大と顧客サポートの更なる向上に努め、強固な事業体質の確立を図ってまいります。
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