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AMD,「Catalyst 12.8」を公開。6月末以来の公式最新版ドライバスイートはWindows XP〜8に広く対応
今回のリリースにおける最大のポイントは,AMD製のGPUやAPU,チップセットに広く対応するCatalystドライバスイートとして初めて,Windows 8を正式にサポートしたことだ。Windows 8は,北米時間2日にRTM(Release to Manufacturing,製造工程向けリリース)を迎え,15日からは開発者や企業のIT部門が入手できるようになっているので(関連記事),AMDがさっそく対応ドライバを投入してきたのは歓迎されそうである。
なお,AMDのサポートページからダウンロードできるドライバパッケージは,Windows 8と7,Vistaで共通だ。すぐに入手したい人は,下に示したリンクを利用してほしい。
→32bit版Windows 7&Vista向けCatalyst 12.8
→64bit版Windows 7&Vista向けCatalyst 12.8
→Windows XP向けCatalyst 12.8
→32/64bit版Windows 8・7・Vista向けCatalyst 12.8チップセットドライバ
→Windows XP向けCatalyst 12.8チップセットドライバ
→4Gamer最新ドライバリンクページ
「Display Driver」のバージョンは8.982(1208091614-8.982-120727a-144945C-ATI)なので,Catalyst 12.6からは0.002,「Catalyst 12.7 Beta」からはほぼ0.001の引き上げということになる,今回のCatalyst 12.8。製品版のWindows 8に対応する初のドライバということもあってか,新要素としてリストアップされているのは同OSに向けた最適化項目のみとなっている。
具体的な内容は下にまとめたとおりだが,実のところこれは,Windows 8の新しいグラフィックスドライバ仕様「WDDM 1.2」(WDDM:Windows Display Driver Model)をフルサポートするとして3月に公開された「Windows 8 Consumer Preview」向けドライバで新要素とされたものとほとんど同じだ。
もっとも,新たにDirectX 11.1(Direct3D 11.1)の新機能が利用可能になったりしているので,「新世代OSの製品版を正式サポートするにあたって,そのほかの項目でも最適化は進んだ」と見るのが,ここではおそらく正解だろう。
●Catalyst 12.8の新要素(Windows 8)
※プレビュー版から変わっていないところは項目の最後に▲を付けたが,最適化が進んでいる可能性はある
- Direct3D 11.1の新しいレンダリングパス「Target-Independent Rasterization」(TIR)に対応。Direct3Dアプリケーションでより高品質なアンチエイリアシングを適用可能に
- ネイティブ3D立体視対応▲
- 統合型ビデオAPI(Unified Video API)対応。DirectX 11 APIベースのビデオ再生が可能になり,ビデオとゲームコンテンツの同時利用ができるようになった。また,一部のアプリケーションでトランスコード性能が向上する可能性もある▲
- 画面の回転機能最適化▲
- スリープおよび復帰時の性能向上▲
- GPU消費電力の最適化▲
- Eyefinity,AMD Dual Graphics,CrossFireX,AMD OverDrive,UVD,Catalyst Control Center(VISION Engine Control Center)対応▲
- OpenCL&OpenGL対応▲
そのほか,バグフィックス内容は,対応製品情報ともども,本項の最後にまとめたとおりだ。AMDのドライバ担当であるAndrew Dodd氏は,Twitterで「The Elder Scrolls V: Skyrim」のHUD表示に関するバグが修正されると予告していたのだが,その項目はリストに入っていないため,実際に修正されているかどうかは分からない。
ともあれ,約1か月半ぶりの公式最新版である。対象製品を使っている人なら,自己責任でアップデートする価値があると述べていいのではなかろうか。
●Catalyst 12.6 Previewの対応製品
- デスクトップPC向けRadeon HD 7900・7800・7700シリーズ
- デスクトップPC向けRadeon HD 6000シリーズ
- デスクトップPC向けATI Radeon HD 5000シリーズ
- ノートPC向けRadeon HD 7000M&6000Mシリーズ
- ノートPC向けATI Mobility Radeon HD 5000シリーズ
- Fusion APU A・E&Cシリーズ
●Catalyst 12.8で解決した問題(Windows 8)
- Modern UI(旧称:Metro UI)ベースのビデオプレーヤーを用いたビデオ再生時に画面表示が乱れ,緑色が表示される問題
- CrossFireX構成時に「Deus Ex: Human Revolution」のゲーム内デモシーンで画面表示が乱れる問題
- CrossFireX構成時に「Batttlefield 3」がクラッシュする問題
- 「Need for Speed The Run」でゲームがクラッシュしてデスクトップに戻る問題
- 「VLC media player」を用いたビデオ再生時にブロックノイズが乗る問題
- 「PowerDVD」を用いるとシステムがハングする問題
- 複数のビデオプレイヤーで,ビデオ再生時に画面表示が乱れ,緑色が表示される問題
●Catalyst 12.8で解決した問題(Windows 7)
- システムを再起動するとオーバースキャンおよびアンダースキャンの設定が元に戻る問題
- 3D CADソフトウェア「SolidWorks」で画面表示がおかしくなる問題
- 「Crysis Warhead」をDirectX 10モードで実行するとアプリケーションがクラッシュする問題
- スリープからの復帰時にシステムがハングする問題
- 接続されている高解像度テレビの電源を入れたり消したりすると(HDMI経由の)サウンド出力が無効化される問題(※ということだと思われる。原文は「Audio is no longer disabled if the connected HDTV Is switched off/on」)
- Radeon HD 7000シリーズ搭載のAMD Dual Graphics構成時,ビデオ再生時に画面表示が乱れ,緑色が表示される問題
- CrossFireX構成時に「Call of Duty: Black Ops」をDirectX 9モードで実行すると,ミッションの読み出し時にハングする問題
- 「Total War: Shogun 2」でテキストがちらついて見える問題
- 「Star Wars: The Old Republic」で,矢印キーを使うと,ゲーム内のデモシーンで画面がちらつく問題
- CrossFireX構成時に「DiRT Showdown」の「8 Ball」でハングする問題
- CrossFireX構成時に「Max Payne 3」をDirectX 11モードで実行すると,画面に何も表示されない問題
- 「Max Payne 3」でゲーム内の設定を変更しようとするとアプリケーションがクラッシュする問題
●Catalyst 12.8で解決した問題(Windows XP)
- 中国でサービスされているダンスゲーム「QQ Dancer」において,画面に何も表示されなくなることのある問題
●ノートPC向けCatalyst 12.8の制限事項
- 本バージョンのリリース後に発表されたノートPCは非対応
- Switchable Graphicsが有効なノートPCは非対応
- 東芝製ノートPC,ソニー製「VAIO」シリーズのノートPC,パナソニック製ノートPCは非対応(※従来同様,ドライバはPCメーカーから提供される)
- 関連タイトル:
AMD Software
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Windows 8.x
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