ニュース
遅延低減技術「Anti-Lag 2」が半年ぶりに復活した「AMD Software 24.6.1」が登場
本ドライバは,7月2日にリリース予定のアクションRPG「The First Descendant」と,7月10日リリース予定のサバイバルシューター「Once Human」に対応したドライバだ。どちらも性能向上は謳われていないので,AMDが動作を確認したという理解でいいだろう。
Adrenalin 24.6.1ではそのほかにも,2023年10月から一時的に無効になっていた遅延低減技術「Anti-Lag 2」が半年以上の時を経て復活したことが大きなトピックだ。Anti-Lag 2は,Radeon RX 7000シリーズの大きな特徴としてアピールされていた新世代の遅延低減技術だったが,有効化すると一部のオンラインゲームでチート対策が発動し,アカウントがBANされたこともあるという深刻なトラブルが発生(関連記事)。そのため全面的に使用できない状態になっていた。
2024年5月末に,改定されたAnti-Lag 2のプレビューが公開となり,「Counter Strike 2」だけで利用できるようになっていたが,Adrenalin 24.6.1に合わせて,正式リリースとなったわけだ。なお,Anti-Lag 2が利用できるタイトルは,現時点でCounter Strike 2のみ。深刻な問題を引き起こしただけに,AMDも慎重に展開していくようだ。
リリースノートによると,RDNA世代以降のGPUにAdrenalin 24.6.1をインストールして,ゲーム内の設定を有効化することでAnti-Lag 2が機能するそうだ。Anti-Lag 2を有効化することで,「Radeon RX 7900 GRE」において最大40%,「Ryzen 7 8700G」の統合GPUにおいても,最大27%の遅延低減効果が得られるという。Counter Strike 2をプレイしているRadeonユーザーは,試してみるといいだろう。
ゲーム関連では,HYPR-RX最適化タイトルとして新たに「龍が如く8」「Overwatch 2」など5タイトルが追加された。HYPR-RX対応タイトルの詳細に関しては公式サイトを参照してほしい。
ゲームと直接の関係はないが,Adrenalin 24.6.1では,Windows 11 24H2への対応が謳われているのもトピックだ。Windows 11 24H2は,Microsoftが推進する新しいPCブランドである「Copilot+ PC」にしか配信されないアップデートとされ,現時点で対応している製品はQualcomm製のSoC「Snapdragon X Elite」搭載ノートPCに限られる。だが,Copilot+ PC基準を満たすNPUを統合したノートPC向けAPUとして「Ryzen AI 300」シリーズを発表している。
早ければ7月にも搭載製品が登場すると見られているので,Adrenalin 24.6.1の段階で,Windows 11 24H2対応を行ったのだろう。ただ,Adrenalin 24.6.1のリリースノートにRyzen AI 300への対応は明記されていなかった。もっとも,x86 CPU搭載機には,Copilot+の配布が2024年末になるという情報もあるので,状況が変わる可能性はある。
そのほかにもAdrenalin 24.6.1では,DirectX 12のソフトウェア開発キット「Agility SDK 1.613」および「Agility SDK 1.614.0」への対応が行われている。これらのバージョンには,注目の新機能である「Work Graph」や「Shader Model 6.8」が含まれており,AMDは2024年3月に開発者向けのドライバをリリースして対応していた。それがAdrenalin 24.6.1で,正式版ドライバでも対応したというわけだ。ゲーマーに直接的に関係する情報ではないが,頭の片隅に入れておくといいかもしれない。
●Adrenalin 24.6.1の対応GPU
- Radeon RX 7000シリーズ
- Radeon RX 6000シリーズ
- Radeon RX 5000シリーズ
- Radeon RX 7000M/7000Sシリーズ
- Radeon RX 6000Mシリーズ
- Radeon RX 5000Mシリーズ
●Adrenalin 24.6.1の対応APU
- Ryzen 7000シリーズ
- Ryzen 6000シリーズ
- Ryzen Mobile Processors with Radeon Graphics(※RDNA世代以降)
●Adrenalin 24.6.1が統合するコンポーネント(※比較対象はAdrenalin 24.5.1)
- Display Driver Version:24.10.21.01-240620a-404579C
-AMD -Soft ware -Adre nalin -Edi tion (←23.40 .33.01 -2405 08a1 -402 593C -AMD -Soft ware -Adre nalin -Edi tion) - UI:2024.0508.1945.2016
- AMD Windows Driver version:32.0.11021.1011(←31.0.24033.1003)
- 2D Driver:8.1.1.1634
- Direct3D Driver:9.17.11.0267(←9.17.11.0260)
- OpenGL Driver:24.06.240303_ca9407b(←24.05.231107_282afec)
- Audio Driver:10.0.1.38(←10.0.1.30)
- Vulkan Driver:2.0.302(←2.0.299)
- Vulkan API:1.3.280(←1.3.277)
●Adrenalin 24.6.1における最適化
- 記載なし
●Adrenalin 24.6.1における新要素
- 「The First Descendant」「Once Human」に対応
- Expanded HYPR-Tuneタイトルに5タイトルを追加
- 「Counter Strike 2」の「Anti-Lag 2」サポートに対応
- Agility SDK 1.613/1.614.0に対応
●Adrenalin 24.6.1で解決した問題
- 「Fallout 3」「Fallout: New Vegas」が起動できないことのあった問題
- AMD Radeon RX 7900シリーズで,「HELLDIVERS 2」プレイ中に断続的なドライバのタイムアウトやゲームのクラッシュが発生することのあった問題を改善(※完全には解決していない?)
- 「HELLDIVERS 2」プレイ中に,オーバーレイ表示のパフォーマンス情報が更新されないことのあった問題
- 特定のFreeSync対応ディスプレイと,ハイブリッドグラフィックス構成のノートPCを組み合わせると,PCがフリーズしたりフレームレートが低下することのあった問題
●Adrenalin 24.6.1における既知の問題
- ドライバアップデート後にRadeon Softwareの「仮想超解像度」や「ディスプレイの色の強化」設定が無効になることがある(※Adrenalin 24.7.1を目処に解決予定)
- 「Dying Light 2 Stay Human: Reloaded Edition」を,Radeon Boostを有効化してプレイすると,表示が乱れることがある。この問題はRadeon Boostを無効化することで一時的に回避できる
- Radeon Softwareで録画またはストリーミングとHDRを有効化すると,
「Ghost of Tsushima DIRECTOR'S CUT」プレイ中にゲーム内グラフィックスが断続的に壊れることがある - グラフ作成・データ分析ソフトウェア「Origin」「Origin Pro」使用中に,拡大縮小された3Dモデルに黒い破綻が断続的に見られることがある
- AMD Softwareで,AV1コーデックを選択して録画すると,音声と動画が同期しないことがある(※2024年第3四半期を目処に解決予定)
- 関連タイトル:
AMD Software
- この記事のURL:
(C)2019 Advanced Micro Devices Inc.