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NVIDIA,新世代グラフィックスチップ「GeForce 7800 GTX」を発表
■大幅なアーキテクチャ改変が行われたGeForce 7
総トランジスタ数は実に3億200万で,常識破りだったGeForce 6800 Ultraの2億2200万から,さらに約1億トランジスタの規模拡張が行われたことになる。一方,コアの動作クロックは430MHz。GeForce 6800 Ultraの400MHzから,わずか30MHzの上昇に留まっている。
グラフィックスメモリバスはGeForce 6800 Ultraから据え置きの256ビット。組み合わせられるグラフィックスメモリは動作クロック600MHz(1.2GHzデータレート)のGDDR3 SDRAMである。
頂点シェーダを内包する頂点パイプラインの本数はGeForce 6800 Ultraの6本に対して8本に拡張されている。ピクセルシェーダを内包するピクセルレンダリングパイプラインの本数もGeForce 6800 Ultraの16本に対して24本と,1.5倍に増強された。しかも,各ピクセルシェーダでは内蔵の積和算器が倍増されており,1.5倍となったパイプライン本数と相まって「GeForce 7800 GTXは,同クロック換算でGeForce 6800 Ultraの3倍(1.5×2)のシェーダ性能を持つ」とNVIDIAは説明する。
GeForce 7800 GTXのインタフェースはPCI Express x16ネイティブ。AGP版は今回発表されていない。AGP版登場の可能性については「我々のPCI Express−AGPの相互変換チップ『HSI』(High-Speed Interconnect)を利用すれば,技術的には可能」だそうだが,具体的なスケジュールに関しては触れられなかった。
前述したように,プログラマブルシェーダアーキテクチャとしてはSM3.0に据え置かれたGeForce 7800 GTX。だが,これらパイプラインの増強や細かい拡張が行われたことにより,NVIDIAはGeForce 6シリーズの「CineFX 3.0」から一歩進めて,GeForce 7800 GTXのアーキテクチャ名を「CineFX 4.0」と呼んでいる。
GeForce 7800 GTXでは,アンチエイリアス(以下AA)処理にも改善が見られる。このエンジンもGeForce 6の「IntelliSample 3.0」から「IntelliSample 4.0」とバージョンが上がっているのだ。
地面に草が生えていたり,金網が重なっていたりする場合――つまり,透明テクセルを持つテクスチャの貼られたポリゴンが複数レイヤーで重なって表示される場合――従来のAA処理では情報が欠落するばかりで,正しいAAが実現できなかった。この点IntelliSample 4.0では,透明度に配慮したマルチサンプル処理を行うことで,この問題を解決したという。また,IntelliSample 4.0エンジンは,ATI TechnologiesのRadeonが持つ「3Dc」相当の法線マップ圧縮メソッドまでサポートするとしている。
単にプロセスをシュリンクさせたリファイン版ではなく,物理的なパイプラインを増やしているあたりに,NVIDIAの「本気とやる気」が感じられる。確かに,フルモデルチェンジではないが,ビッグマイナーチェンジと呼ぶに相応しいアーキテクチャの改変とは言えるだろう。このようなアーキテクチャ改変は,GeForce 3(NV20)に対するGeForce4 Ti(NV25)を彷彿とさせる。
■PureVideoはH.264デコードアクセラレーションをサポート
GeForce 6800 Ultraで初めて搭載されたプログラマブルビデオプロセッサ(Programmable Video Processor,以下PVP)は,GeForce 7800 GTXでも搭載される。PVPそのものの機能はGeForce 6800 Ultraとほぼ同一のようだ。したがって,PVPによって実現されるビデオアクセラレーション&映像高品位化機能である「PureVideo」は,GeForce 7800 GTXでも当然利用できる。
なお,Blu-rayやHD DVDの映像フォーマットとして採用が決定している「MPEG4-AVC/H.264」形式(以下H.264)のデコードに対応したPureVideoを2005年12月ごろに提供すると,NVIDIAはアナウンスしている。現在NVIDIAは,CyberLinkやInterVideoと共同で,PureVideoがH.264のデコードアクセラレーションを実現する仕組みを開発中という。近い将来,「PowerDVD」や「WinDVD」などのDVDプレイヤーソフトの将来バージョンで,PureVideoによるH.264アクセラレーションを利用できるようになるのではないだろうか。
■GeForce 7800 "Ultra"はどうなる?
気になる消費電力と発熱に関しては,別途ベンチマーク記事(「こちら」)で検証しているので,ここでは簡単に触れるに留めるが,NVIDIAは「チップ規模が増大し,動作クロックも若干上がっているが,プロセスルールが0.11μmへシュリンクした効果で,ピーク時の総消費電力はGeForce 6800 Ultraよりも下がっている」という。実際,GeForce 7800 GTXは熱設計面で改善を見ているようで,リファレンスカードのチップクーラーは1スロットタイプになっている。
ここ最近のハイエンドGeForce製品としては久々のシングルスロットデザインとなったのだ。
最後に,読者の中には,「7800 "Ultra"は出ないのか?」という疑問を持つ人も少なくないだろう。このあたりの話題や,より深いGeForce 7800 GTXアーキテクチャについては,3Dゲームエクスタシーの連載で触れたいと思う。(トライゼット 西川善司)
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